上 下
4 / 4

大成

しおりを挟む
    それから数年が経った。誠土は本や資料を持って講義室に入り「それじゃ、授業を始めます。」と言って授業を始めた。誠土は大学の教授、医学研究者として活躍しているのだ。誠土はコンプレックスを乗り越えるためにホワイトボードに「留年生です。何かわからないことがあれば教えます。」と書いて首からぶら下げ。現役生に教えることで克服し、なおかつ人に教えることが好きだと気づき、医師ではなく医学教授になったのである。
    仕事を終え、誠土は小鳥遊と居酒屋で酒を飲む。誠土は小鳥遊に「俺がこんな人と流暢に喋れられるようになるとは思わなかったな。雨宮のやつ、俺が死ななくてさぞ悔しがるだろうな。」と言うと小鳥遊は「いや、喜ぶだろうね。」と言った。誠土は笑いながら「まぁあんないいやつだから冗談で死んでくれって言ったんだな。」と言う。しかし小鳥遊は真剣な顔でこういった。「雨宮はお前が留年したこと知ってたぞ、留年したって泣きわめいてるのが外から聞こえたらしい。そんで雨宮はお前に嫌われてることも知ってた。だからもしかしたら『死んでくれ』って言えばムキになって精一杯頑張りだすと思って言ったらしい。」誠土はそれを聞いて何も答えなかった。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...