欲張りなお告げ

秋庭海斗

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万事、塞翁がキツめ

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 ちょっとキツネの話。

 2匹のキツネが、となり村まで行く
道すがら、たまたま一緒になった。

 AキツネとBキツネとしよう。

 途中、道端の賢者のコガネムシが
AとBの2匹にお告げをする。

「この先にきっと良いことがある」

 お告げを受けた2匹は浮かれた。

 そのまま、2匹はしばらく行くと
道の脇に一枚の金貨が落ちていた。

 先に見つけて拾ったAに向かって
Bキツネが嬉しそうに言った。

「お告げは本当だったんだね、
僕たちに良いことが起きた」

 その言葉を聞いたAキツネが言う。

「は?お告げなんて当たってないよ
【僕たち】ってナニ?
拾ったのは私・な・ん・だ・けど」

 Bキツネは、ポカンとした。

「はぁ?僕と君で見つけたんでしょ」

「ちがいます、私が拾ったの」

 Aキツネは強く独占を主張した。

◾️◾️◾️

「お~い、お前ら!ちょっと待て」

 彼方からイカツい猟師が2匹を
見るからに怒った様に呼び止めている。

「今、なにか拾ってなかったか?
もしも金貨なら俺のだ、落とし主は俺だ」

 それを聞いたAキツネがBに耳打ちする。

「わわわわ、ヤバい!
さあ、ふたりで分かれて逃げよう、
僕は右、君は左へ逃げろ!」

 Aキツネが走り出そうとすると
Bキツネがその背中に向けて言った。

「ふたり?なぜ?ふたりで逃げるんだい」

 Bキツネは、叫びながら猟師に駆け寄り
Aキツネを指し示した。

「アイツ、アイツが金貨を
持ち逃げしようとしてますぜ」

「そうかそうか、教えてくれてありがとう。
あいつを撃ち殺して金貨を取り返したら
半分の謝礼を払ってやるからよ!」

 猟師は腕自慢の鉄砲で狙いを定めた。

「コガネムシの予言は的中したね、
嫌な奴は居なくなり、あまつさえお小遣いを
もらえるなんて、幸運のなにものでもない」
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