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レフィリア編

レフィとアルの夜

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レフィテリアも、皇太子のもとにいくために退室した。
国を上げての誕生祭が終わった。
皇妃は皇子をだいて自室へと戻っていた。
レフィリアが遅れて入室した。
「王妃殿下、お疲れでしょう。どうかご休憩ください。その間、皇子殿下のお世話はお任せください」
「レフィ、貴女も疲れているでしょうに」
「はい。でも王妃殿下がお休みの間ぐらい皇子殿下のベットのそばについているぐらいなんでもありませんわ」
レフィは王妃に笑顔で答える。
王妃は少し微笑んで
「そうね。この子はあなたのだんな様ですものね。しばらくお願いするわ」
王妃の胸の中で寝息をたてている皇子を受け取り自分の胸の中で抱き止める。
「はい。どうぞ後ゆっくりお休みください。」
レフィはしばらくそのまま抱きかかえたままソファに腰を下ろしじっとその顔を見つめる。
何度見ても天使のようなあいらしいさだ。
柔らかそうな頬を見ている内にどうしても触れたい誘惑にかられてしまう。
指先でそっとほほにふれる。
ぷにっとした柔らかな感触がつたわる。
柔らかくて暖かい。
皇子は眠ったままくすぐったそうな笑みを浮かべた。「くうーーっかわいい。愛らしい笑顔」
皇子殿下、殿下の事は必ず私がお守りします。」レフィリアは殿下の頬にキスをする。
「私、何してるの」
急に恥ずかしくなり、顔が真っ赤に染まる。そんなレフィをみて、メイド達がクスクスと笑う。
「きゃーっ、貴女達、いたの?もう、見ないでよ」
赤く染まった顔が更に赤くなる。
レフィは照れ隠しに言う。
「いえ、とても可愛かったものでつい」
「まったく……」
レフィは、恥ずかしさをごまかすように、殿下の頭を撫でた。
「レフィテリア様、お着替えをなさいませんと、風邪をひかれてしまいますよ」
「あ、そうよね。」
レフィは慌てて部屋を出る。
メイド達に手伝ってもらいドレスを脱ぎ、部屋着に着替える。「ふう」
再び皇太子のもとに向かう。皇子は相変わらずすやすや眠っている。
レフィは皇太子のベッドの横の椅子に腰を下ろしそのかわいい寝顔みてるうちに自然とほほが緩んでいた。「こんな時間もいいかも」
レフィは思わずつぶやく。
ふと視線を感じてそちらを見ると、リズがこちらを見ていた。
「リズ、まだ帰ってなかったの?」
「うん、もう少しだけ一緒にいてもいい?」
「もちろんよ」
レフィは笑顔で答える。
「レフィ、今日は本当におめでとう。私、すごく嬉しいよ」
「ありがとう。リズにはいつも感謝しているわ」
「ううん、いいんだよ。レフィの力になれてよかった」
「私、リズに出会えてほんとうに良かったと思っているのよ」
「ありがとう、私もレフィに出会えて幸せだよ。親友だもんね!」
「そうね」
二人は微笑む。
「ねえ、レフィ、あのこと聞いた?」
「あの事?」
「うん、皇帝陛下が退位されるって話」
「ええ、聞いたわ。でも、どうして?」
「皇太子殿下が成人されたら帝位を譲るみたい」
「ええ!?」
「レフィは知らなかったんだ」
「ええ、初耳だわ」
「そうかぁ、レフィも知らないんだね」
レフィは少し考えてから言った。
それはきっとリズなりの優しさなのだと思った。
だからあえてその事に触れずに言った。
それに、今はまだ心の整理がつかないし、考えたくないのだ。
だから、今はこのままの関係でいたいと思う。
レフィは、皇太子の顔を見て思う。
「リズ、そろそろ帰りましょうか」
「そうだね」
二人は部屋を出て、それぞれ自室に戻った。
☆☆☆
誕生祭から数日後、レフィリアは、正式に婚約者として城に部屋が用意されて城へと引っ越してきた。そして、皇太子のいる皇妃の部屋の隣が与えられた。部屋の中に入るとそこには、家具などが既に運び込まれていて、後は自分で好きに模様替えをして良いということになっていた。
まずは窓際にある机の上に花を飾ったり、棚にぬいぐるみなどを置いたりする。
次にベットメイクをしなくてはならなかったのだが……。
レフィは、皇子を抱っこしたままどうしたものかと考えていた。
さすがに、レフィが一人でベットメイクをするのは無理がある。
すると、扉がノックされて、メイド長のリザが入ってきた。
レフィは、ホッとして、リザに事情を話して手伝うように頼んだ。
二人で皇子をベットに寝かせる。
レフィは、ベットに横になりながら、改めて皇子の顔を眺めていた。
本当にかわいいわね。
この子が私の将来の旦那様なのね……。
そんな事を考えていると、いつの間にか眠っていたようだ。
気づくと夕方になっていた。
隣では、リズが寝ている。
レフィは起こさないように静かに起き上がると、身支度を整えた。
リズは、まだぐっすりと寝ている。
レフィは、部屋を出て、隣の部屋へと向かう。
コンコンとドアを叩く。
しばらく待っても返事がない。
もう一度、今度は強めに叩いてみる。
やはり反応はない。
留守なのかしら? とりあえず、メイドを呼び出すベルを鳴らす。
しばらくして、メイドがやってきた。
部屋にいない旨を伝えると すぐに探してきますと言って走って行った。
しばらく待つと、メイドに連れられて皇太子が現れた。
皇太子は、少し不機嫌そうな顔で言った。
レフィはその表情に一瞬戸惑ったが、気を取り直して、挨拶をする。
レフィは、皇子の世話について、メイドに説明を受ける。
皇太子は黙ったままそれを聞いていた。
一通りの説明が終わると、メイドが退出した。
二人きりになったところで、レフィは皇太子に話しかける。
レフィは、皇子がかわいくて仕方がなかった。
皇子が自分を必要としてくれるのが嬉しかった。
レフィは、自分が皇子のお嫁さんになるのがとても楽しみだった。レフィは、皇子が眠ってしまったので、そのままソファで眠った。
翌日、朝早くから、リズが訪ねてきた。
「おはよう。昨日は遅かったのね」
「うん、ちょっといろいろあってね」
「そう、疲れてるなら休んでた方がいいんじゃない?」
とドアがノックされる。
「うん。」
部屋付きのメイドが応対してる。
「レフィリア様。サラ様が緊急のご用件でお会いしたいそうです」
「サラ様?」
聞き覚えの名前だ。
レフィは、急いで部屋を出て隣の応接室へ向かうと、そこには見慣れない女性が座っていた。
年齢は二十代後半ぐらいだろうか。
黒髪の綺麗な女性だ。女性は、立ち上がると、優雅に礼をした。
「初めまして。私は、先日、皇妃様付きのメイドになったサラと申します」
「あ、はじめまして。レフィリア・フォン・ウオルドです」
「あなたがレフィリア嬢ですね」「はい」「実は、折り入ってお願いしたいことがございまして」
「私にですか?」
「はい」
「私にできることであれば……」
「ありがとうございます」
「それで、お願いというのは?」
「はい、皇妃様のことです」
「皇妃様?」「はい、皇妃様が体調を崩されていることは知っていますよね?」
「ええ、存じております」
「最近になって、熱が下がらず、意識もはっきりしない状態が続いているのです」
「え?」
「私達も出来る限りの事はしているんですが、なかなか良くならず困っているところなのです」
「そうだったのですね」
「レフィリア様にお見舞いいただければと思いまして」
「はい、すぐにまいります」
「ありがとうございます!こちらへどうぞ」
レフィは、サラのあとに続いて皇妃の部屋へと向かった。
コンコンと扉をノックする。
「失礼します。レフィリアです」
「どうぞ」
中に入ると、ベッドには苦しそうにしている皇妃の姿があった。
「レフィリア、来てくれたのね」
「はい、心配だったので様子をうかがいにまいりました」
「ありがとう」
「あの、大丈夫なんでしょうか」
「ええ、ただの風邪だと思うんだけど、薬を飲んでも全然効かないのよ。このままだと命の危険もあるかもしれないって言われてて」
「そんなに悪いのですか!?」「うん、でも、レフィリアの顔を見たら元気が出たわ」
「少しでもお役に立てるのなら良かったです」
「ねえ、レフィ、手を握らせてもらえないかしら?」
「手を握るだけでいいのですか?」
「ええ、できれば抱きしめて欲しいけど、無理でしょうから」
「皇妃様は私にとっては、お母様も同然の方です。」
そっと皇妃の手をにぎり抱き締める。
「サラさん、クロエ様をお呼びください。あのかたは、強力な治癒魔法が使えます。私がお手紙を書きます。きっと助けてくださいます」

「わかりました。今すぐ呼んで参ります。それまでどうかよろしくお願いします」
「はい、お任せ下さい!」
サラは慌てて出ていった。
「レフィ、ありがとう。もう十分だから離してもらってもいいかしら」
「はい。すみません」
「レフィのおかげでだいぶ楽になったわ。ありがとう。あとは自分でなんとかしてみるわ」
「はい、ずっとお側におりますので何かあればいつでも言ってください。」
「ええ、頼りにしてるわ。皇太子殿下のことをお願いします」
「はい。殿下のことは、お任せください。」
皇太子のいるベッドに行き抱き上げ、再び皇妃の枕もとに連れて行くと、皇帝もかけつけていた。
皇太子は、状況を察したのか、ジワッと涙をうかべて悲しそう表情をうかべるが体調の悪い皇妃を気遣ってか声を出してはなかない。
「レフィリア、ありがとう。これで安心して逝けるわ。今まで貴女のお陰でどれだけ幸せな時をすごせたことでしょう。こんどはあなたに幸せになってほしいの。皇太子殿下と二人でね。愛しています。レフィ、さようなら」
「止めてください。皇太子はまだ生まれたばかりで私は未熟者です。皇帝妃様がいなくては幸せになれません。」
「ふふっ、そうかしら?私はあなたのことなら何でも知っているのよ?あなたが、どれだけ優しい子なのかを」
「皇妃様……」
「ほら、泣かないで?あなたは笑顔の方が似合うんだから」
「はい……、皇妃、クロエ様を呼んでます。あの方ならきっと、たすけていただけます。それまで、頑張ってください」「わかったわ。じゃあ、一つ約束してくれる?」
「はい。なんでも言いつけてください」
「もし、私が死んだとしても、絶対に自分を責めたりしないでね。そして、皇太子を大切に育ててくれる?」
「その約束するのはまだ早いです」
「そうね。まだ死ぬつもりはないから、その時が来たらの話ね」
「必ずたすけます。信じて待っていてください。はいその時は、必ず」「うん。お願いね。それじゃあ、最後にお願いがあるの」
「はい。なんなりと」
「キスして欲しいの。だめ?」
「いえ、もちろんです。喜んで」
レフィは、そっと皇妃の唇に触れるだけのキスをした。
「ありがと。すごく嬉しい」
皇妃がしずかに目を閉じた。
「皇妃様!ダメです!行っちゃ嫌です!私を置いていかないでください!皇妃様ー!!」
同時に皇太子が声を上げて泣き出した。
「皇妃様!皇妃様!皇妃様ー!!!」

皇妃は静かに息を引き取った。
レフィは、しばらくその場で泣いていた。
後ろから、肩に手がおかれた。
振り返るとクロエがいた。
「知らせ聞いて急いで転移魔法できたのだけれどまにあいませんでした。ごめんなさい。」
「クロエ様のせいではありません。私がもっと…早く…」
再び、レフィは泣き崩れしゃがみこむ。

「あなたはよくやってくれています。今はしっかり休みなさい。後のことはわたしに任せておきなさい」
「はい……」
「皇太子殿下は、私が預かります。部屋に戻りましょう」
「はい」
皇太子を抱き抱えたままクロエと一緒に部屋に戻ると、そこには、サラと、メイド達が待っていた。
「皇太子殿下は私があずかります。みなさんは退室してちょうだい」
「はい。よろしくお願いします」
サラと他のメイド達は、心配そうな顔をしていたが、クロエの言う通りに出て行った。
「レフィリア嬢、大丈夫ですか?」
「はい。申し訳ありません。取り乱してしまいました」
「仕方ないですよ。目の前で母同然の方が亡くなるなんて経験したら誰だって動揺しますよ」
「ありがとうございます。少し落ち着きました。」「そうですか。それは良かったです。では、こちらへどうぞ」
レフィは、ソファーに座らされた。
「レフィリア嬢、お茶でもいかがですか?」
「ありがとうございます。いただきます」
しばらくして、紅茶が出てきた。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
「あの、私にできることがあればおっしゃってください」
「ありがとうございます。でも、もう平気ですから」「そうですか。わかりました。何かあったら遠慮なく言ってくださいね」「はい」
「皇太子殿下は私が見ますから、ゆっくり休んでくださいね」「はい、わかりました。お言葉に甘えて今日は休ませてもらいます」
レフィリアは、自分の部屋に戻ろうとしたが、クロエがついてくる。
「あの、クロエ様?どうかされましたか?」
「レフィの部屋までお送りします」
「ありがとうございます。でも隣の部屋ですから」
「それでも、お一人で帰すわけにはいきません」
「ありがとうございます」
☆☆☆
部屋に戻ったレフィは、ベッドに入ったがなかなか寝付けなかった。
「皇妃様……。」
コンコンとノックの音で目が覚めた。
「はい?」
「クロエです。入ってもいいでしょうか?」
「はい。どうぞ」
扉を開けると、クロエと皇太子の姿があった。
「眠れませんか?」
「ええ、皇妃様のことを考えてしまってどうしても…私は、二度もお母様を亡くしてしまいました。」
「隣に座ってもいいかしら?」
「はい。構いませんが」
「失礼するわね」
クロエは、ベッドの端に腰掛けた。
「私もね、大切な人を亡くしているの」
「そうだったんですか」
「ええ、だからあなたの気持ちがよくわかるわ」
「ありがとうございます」
「私もね、その人のことを思い出すと悲しくて辛くて、胸が張り裂けそうになるわ」
「そうですよね」
「でもね、前を向いて歩いて行かなきゃいけないの。いつまでも、悲しみに引きずられていたら亡くなった人も浮かばれないし、あなたを見守ってくれてるわ」
「はい、わかっています。ただ、皇妃様のことを考えると、涙が出て止まらないのです」
「無理もないわ。大切な人を亡くしたんだもの」
「クロエ様は、どうやって立ち直ったのですか?」
「私は、その人との思い出の品を、全部捨てたの。それでやっと前に進めたの」
「そんなこと……私には無理。…クロエさまはおつよいのですね」
「私は強くなんか無いわよ?今でも辛い時はあるのよ?」
「そうなのですか?」
「当たり前じゃない。人間だもの」
「はい」
「レフィリア嬢、今度一緒に出掛けないかしら?」
「えっ?」
「気分転換にどこかに遊びに行きましょう?」
「いいのですか?」
「もちろん」
「行きたいです!」
「じゃあ、決まりね。また連絡するわね」「はい」
「じゃあ、そろそろ帰るね。おやすみなさい」
「おやすみ」
次の日
早朝、レフィリアは、激しいノックの音でたたきおこされた。
目を真っ赤に泣き腫らしたか顔のまま寝巻きのままでドアあける。
メイドのサラが立っている。
サラの表情がただごとではないことをものがたっている。
しかし、レフィリアの憔悴しきってる表情を見ていいよどんでる。
「お疲れのところ…申し訳ありません」
「私のような役立たずにできることがあるならなんでもおっしやってください」
「ご、御自身をそんなに卑下なさらないでください。皇子妃様も自分を責めないでとおっしゃられたではありませんか!昨日のこともお忘れですか!」
レフィリアはハッとする。
「ごめんなさい。そうでしたわ。それで?何かあったのですか?」
「すぐに皇太子殿下のもとにお願いします」

皇太子の部屋に行くとそこには、皇帝陛下がいた。
そしてそこには、皇太子殿下とクロエがいた。
レフィリアは、皇太子殿下を見る。
皇太子殿下の顔は青白く、目は虚ろで、頬はげっそりとこけていた。

「これは、どういことですの?!」
「おおお、レフィ!よく来てくれた。」
「陛下、いったい?」
「昨日、大泣きした後、一言も発しくなり、泣きもしなくなり乳母が乳をやろうとしも飲まないのだ。」

「そんな…お乳を飲まなかったら死んでしまいます」
レフィリアは、皇太子に近づき抱き上げた。
皇太子は、力無くぐったりとしている。
息をしているか不安になるほど弱々しくなっていた。
レフィリアは、皇太子の胸に耳を当てる。
心臓は動いているようだ。
安心して一息ついたとき、
「ご病気でしょうか?」
「病院には違いはないけど…」
「クロエ様、お願いいたします。皇太子殿下に治癒魔法をお願い、皇太子殿下を助けて…」
「私からもお願いする。クロエ殿。皇妃を失い、その上、皇太子まで失う等耐えられん」
クロエは、首を横に振る。
レフィリアは、クロエに詰め寄る。
クロエの肩を掴み揺さぶるがクロエは動じていない。
かど
「申し訳ありません。魔法では治せないのです」
「なぜ?なぜなんですの!」
レフィリアは、泣き崩れてしまう。
レフィリアは、クロエから説明を受けた。
「これは、皇妃様を失った、悲しみのあまり、生きる気力を失い心を閉ざしてしまってるのです」
「」
レフィリアは、絶望感に打ちひしがれる。
目の前が暗くなっていく。
(ああ、私のせいだ。私がもっと早く皇妃様の異変に気づいていれば……)
レフィリアは、膝から崩れ落ち床に手をつきうなだれた。
ばんばんと拳を床を叩き始める。
「私は何ておろかなの!」
「皇妃様を失って自分だけが悲しいなんてことはないのに!皇太子殿下の方がどれだけ悲しい思いをしてるかもおもやれずに、自分だけ…皇太子殿下のお側についててあげなきゃいけないのに!なのに!なのに!」
レフィリアは泣きながら拳を何度も打ち続ける。やがて床が赤く染まり出す。
「レフィ、もう止めて、あなたまで死んでしまうわ?」
「そうだ、止めておくれ。レフィまで失つてしまう」
クロエと皇帝がなだめようとする。
「これは、私のせいです。違いますか?皇太子殿下のお側にいなかった私の責任です!違います?」
泣きながら再び拳をうちつける。
クロエも皇帝もなにもいえなかった。
「だめだよ…」
かぼそ声が響く。
レフィリアの膝の上にいた皇太子がレフリィアの手首を掴んだ。
「れふぃ…いたいいたい…だめ」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。そばにいてあげられなくて、ごめんなさいごめんなさい…、、お乳、お乳をお願い」
レフィリアが乳母を呼ぶ。
「乳母を!」
皇帝が乳母を呼び寄せる。
「お願いします」
レフィリアの手から乳母が抱き上げようとするが
「イヤーっ!れふぃーはなちゃないで!」
弱ってると思えない声で叫んだ。
「皇太子殿下、お側にいますから、お乳を飲んでください。」 
「いやー、れふぃからはなれにゃい」
「でも、お乳をのまないとしんじゃいますよ」
「れふぃの…おちち」
「はいーっ???????」
「レフィのお乳がほしいみたい」
クロエがさらっととんでもないことを言う。
レフィリアは、一瞬何を言われたかわからず呆然とした。
そして、自分の胸を見つめる。
レフィリアは、まだ子供を産んだことがない。
レフィリアは、15歳である。
本来なら、母乳が出るはずもない。
レフィは意を決した。
「クロエ様!お乳がでるようになる魔法はありませんか?」
メイドが、乳母、皇帝、クロエをのぞくその場にいる全員がなにを言い出すんだこの娘はと思った。
そんなばかげた魔法があるわけないだろうと思った。
「あるわよ」
「えーーーー??!!」
聞いたレフィリアも含め全員がおどろいた。

「実は、簡単なの。母乳を出すのは、あるホルモンのはたらきなの。しかも、このホルモンは、男性でも分泌するの。だから、魔法で分泌をうながしてやれば。皇帝陛下でもおちちがでますよ。」
「わしは遠慮しておく」
「では、陛下は部屋の外でお待ちください、殿方は退室願います。
レフィはヤル気満々みたいなので」
レフィリアは、 ぱあぁっ
と顔を輝かせる。
「まず、治癒魔法をかけます。その血まみれの手で殿下を抱いたらかわいそうです」
レフィリアは、素直にうなずく。
そして、治療を受ける。
みるみると傷口がふさがっていく。
レフィリアは、改めてクロエの凄さに驚く。
次に、クロエは、レフィリアの服を脱がす。
「レフリィア、本当にいいんですね。この魔法は、自然に解けるまで解除できない魔法ですよ」
レフィリアは、真剣な顔で こくりとうなづく。
「皇太子殿下は、私のお乳で育てますで育てます!」
レフィリアが宣言する。
クロエは、レフィリアの胸に手を当て魔法をかける。
すると、レフィリアの胸にぽこんと膨らみが出てきた。
クロエは、手を離す。
レフィリアは、自分の胸を触る。
ぷるんと揺れる感覚。
レフィリアは、嬉しさのあまり泣き出してしまう。
レフィリアは、皇太子を抱き上げて、 自らの胸に押し付ける。
すると、皇太子は、勢いよく吸い始めた。
レフィリアは、感動して泣きながら、 レフィリアのおっぱいを飲む皇太子を抱きしめた。
しばらくして、満足したのか、 皇太子は、寝てしまった。
レフィリアは、皇太子をベッドに寝かせて、 自らは、皇太子の横で添い寝をする。
しばらくすると、レフィリアも眠ってしまった。
翌朝、皇太子は、すっかり元気になっていた。
レフィリアも健康そのものになった。
皇太子も元気になりいつもの皇子様に戻った。
皇太子は、レフィリアにべったりだった。
まるで、お母さんに甘えるかのように……。
レフィリアも、母親のように世話を焼いた。
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