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フィーナ・アルファドル
第7話 開戦
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「皆様、お忙しい中お集まり頂き誠にありがとうございます。本日は当店にようこそいらっしゃいました」
レノードが恭しく礼をするのは波の音が響く美しいレストラン…の地下にあるVIPルーム。
部屋は星空をイメージした美しい壁紙に大理石のテーブル。並べられた色とりどりのオードブルにワイングラスには香り高い上質なワイン。
VIPルームに集められたのはベークラ侯爵にレィフット王国からの使者数人とその護衛達。
レノードが一週間かけて口説き落とし、彼等は完全にレノードが自分達の味方だと思い込んでいた。
柔らかなソファに身を委ねて部屋を興味深く眺めている。
「地下室と聞きましたので薄暗いイメージがありましたが、あえて夜空をモチーフにするとはレノード様は芸術のセンスもありますなぁ」
「その壁の絵画も素晴らしい!壁を覆い尽くす程の大きさだが儚げで美しい」
「胸が踊りますなぁ、少年の頃は憧れました。地下の秘密基地にね」
無邪気にはしゃぐ姿はレノードには少しも愛らしく見えなかった。
フィーナに協力を頼んでから一週間、レノードは彼等に豪華な食事と上質な酒、そして甘い言葉をたっぷりと与えてきた。
そして引き出したのは苦々しい黒い陰謀。
リリアのテストにビーツをけしかけたのはベークラ侯爵とレィフットの審査員が手引きした計画だった。
ビーツが婚約破棄の件を忘れていたことを利用してベークラ侯爵がけしかけて審査員が立ち入り禁止だった校内に手引きした。
そしてうやむやにされたテストは不合格扱い。審査員は元々、テストの答案を酷い点数に改ざんしてリリアはもうテストを受けさせる価値もない愚かな女であったという報告をする予定だったのだ。
しかし、レノードの存在を知ってしまった。
リリアの親友の兄で、リリアを溺愛している独身の男。
それはとても使いやすそうな道具にでも見えたのだろう。
審査員はあろう事かレノードに、自分達に協力すればリリアを妻にする口実を作ってやると宣ってきた。
早い話が無理矢理にでも既成事実を作ってリリアをふしだらな女だという証拠を握らせてくれれば自分達が代わりに慰謝料を払いリリアと王太子との婚約を破棄させてやろうと。
レノードはキレた。
完全にキレた。
この人間の皮を被った汚物共には牢屋も勿体ない。
屑は屑入れに、きちんと処分しなければならないと。
この美しいVIPルームは、そのために作らせたダストシュートだ。
こいつらのためだけに作った屑入れだ。
「皆様、縁もたけなわ…本日はスペシャルゲストをお招きしております」
「ほう?誰かね?」
「それはそれは美しく、高貴な生まれの皆様に相応しい眩いお方です」
すっかり酒と美食に溺れた者達は女を用意したものと思ったか下品にも手を叩き口笛を吹いて急かした。
「では、お入りください」
レノード以外の全員が扉の方を向いたが、それはピクリとも動かず
開いたのは反対側の絵画。
壁いっぱいの額縁が開いた向こう側には…
「ご紹介致します、私の愛妹フィーナ・アルファドル…そして
レィフット王国王太子、アルフレッド殿下とその近衛兵団一同様でございます。皆様、大きな拍手でお迎えください!」
レノードが恭しく礼をするのは波の音が響く美しいレストラン…の地下にあるVIPルーム。
部屋は星空をイメージした美しい壁紙に大理石のテーブル。並べられた色とりどりのオードブルにワイングラスには香り高い上質なワイン。
VIPルームに集められたのはベークラ侯爵にレィフット王国からの使者数人とその護衛達。
レノードが一週間かけて口説き落とし、彼等は完全にレノードが自分達の味方だと思い込んでいた。
柔らかなソファに身を委ねて部屋を興味深く眺めている。
「地下室と聞きましたので薄暗いイメージがありましたが、あえて夜空をモチーフにするとはレノード様は芸術のセンスもありますなぁ」
「その壁の絵画も素晴らしい!壁を覆い尽くす程の大きさだが儚げで美しい」
「胸が踊りますなぁ、少年の頃は憧れました。地下の秘密基地にね」
無邪気にはしゃぐ姿はレノードには少しも愛らしく見えなかった。
フィーナに協力を頼んでから一週間、レノードは彼等に豪華な食事と上質な酒、そして甘い言葉をたっぷりと与えてきた。
そして引き出したのは苦々しい黒い陰謀。
リリアのテストにビーツをけしかけたのはベークラ侯爵とレィフットの審査員が手引きした計画だった。
ビーツが婚約破棄の件を忘れていたことを利用してベークラ侯爵がけしかけて審査員が立ち入り禁止だった校内に手引きした。
そしてうやむやにされたテストは不合格扱い。審査員は元々、テストの答案を酷い点数に改ざんしてリリアはもうテストを受けさせる価値もない愚かな女であったという報告をする予定だったのだ。
しかし、レノードの存在を知ってしまった。
リリアの親友の兄で、リリアを溺愛している独身の男。
それはとても使いやすそうな道具にでも見えたのだろう。
審査員はあろう事かレノードに、自分達に協力すればリリアを妻にする口実を作ってやると宣ってきた。
早い話が無理矢理にでも既成事実を作ってリリアをふしだらな女だという証拠を握らせてくれれば自分達が代わりに慰謝料を払いリリアと王太子との婚約を破棄させてやろうと。
レノードはキレた。
完全にキレた。
この人間の皮を被った汚物共には牢屋も勿体ない。
屑は屑入れに、きちんと処分しなければならないと。
この美しいVIPルームは、そのために作らせたダストシュートだ。
こいつらのためだけに作った屑入れだ。
「皆様、縁もたけなわ…本日はスペシャルゲストをお招きしております」
「ほう?誰かね?」
「それはそれは美しく、高貴な生まれの皆様に相応しい眩いお方です」
すっかり酒と美食に溺れた者達は女を用意したものと思ったか下品にも手を叩き口笛を吹いて急かした。
「では、お入りください」
レノード以外の全員が扉の方を向いたが、それはピクリとも動かず
開いたのは反対側の絵画。
壁いっぱいの額縁が開いた向こう側には…
「ご紹介致します、私の愛妹フィーナ・アルファドル…そして
レィフット王国王太子、アルフレッド殿下とその近衛兵団一同様でございます。皆様、大きな拍手でお迎えください!」
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