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09.願い③
「あの勇者、やっと魔王討伐特典を使ったんだって?」
「うん、いつまでも使ってくれないから何回も督促してやっとだよ」
なんか、仕事が残っているのって気持ちが悪いよねと話しあうのは、二柱の神だ。
一柱は水色の長い髪を垂らし、もう一柱は緑色の長い髪。面倒くさいので、水神と緑神と呼称する。
草も樹も何もない、光だけが溢れる真っ白な世界の中心で、緑神が持参したマフィンでティータイムを愉しむ二柱は、先日、十五年振りに連絡があった勇者について噂をする。
「で、どんなお願いだったんだよ」
緑神がマフィンを二つに割りながら質問をした。
「ん。それが、やっぱり変わっていて。勇者が元居た世界の「宝くじ」という券の当選券が欲しいと言ったんだ」
「へぇー。相変わらず何考えているかわかんない勇者だな」
「元の世界に帰らなければ、美女エルフ白魔導士と、猫耳小悪魔剣闘士、それに、王国の姫、三人に囲まれたハーレムを形成するはずだったんだろ?」
「……全然目もくれなかったけどね」
「魔王から接収した金銀財宝も使い放題だったんだろ?」
「……全然目もくれなかったけどね」
「で、自分の世界に戻ったんだっけ」
「そうそう。戻っても勇者チートでエリートサラリーマンだったらしいよ?」
「なんかムカつく」
「まあ、特典なんてなくったって自力で何でもできちゃうから、不要だったんだろうな」
「なんか、勇者なのか? 俺達神よりも能力ありそう」
「ある意味、真の魔王かも知れん」
ぶるぶると震えだす二柱だった。
「でも、一回だけ使える特典を使ったならもうかかわらなくて済むんだろ?」
ここで、水神の震えがより一層強くなった。
「うううううう。あの勇者、また連絡寄こしてさ。自分と嫁を異世界へ界渡りさせろと宣ったんだよ……」
「え? でも、願いは一度しか叶えられないよな?」
「お前、断れるか?」
水神の震えが緑神に伝染する。
「無理。断れない! むり……ムリ」
水神と緑神は願った。
「もう勇者ハルからの連絡がありませんように。どうぞ叶いますように」
「うん、いつまでも使ってくれないから何回も督促してやっとだよ」
なんか、仕事が残っているのって気持ちが悪いよねと話しあうのは、二柱の神だ。
一柱は水色の長い髪を垂らし、もう一柱は緑色の長い髪。面倒くさいので、水神と緑神と呼称する。
草も樹も何もない、光だけが溢れる真っ白な世界の中心で、緑神が持参したマフィンでティータイムを愉しむ二柱は、先日、十五年振りに連絡があった勇者について噂をする。
「で、どんなお願いだったんだよ」
緑神がマフィンを二つに割りながら質問をした。
「ん。それが、やっぱり変わっていて。勇者が元居た世界の「宝くじ」という券の当選券が欲しいと言ったんだ」
「へぇー。相変わらず何考えているかわかんない勇者だな」
「元の世界に帰らなければ、美女エルフ白魔導士と、猫耳小悪魔剣闘士、それに、王国の姫、三人に囲まれたハーレムを形成するはずだったんだろ?」
「……全然目もくれなかったけどね」
「魔王から接収した金銀財宝も使い放題だったんだろ?」
「……全然目もくれなかったけどね」
「で、自分の世界に戻ったんだっけ」
「そうそう。戻っても勇者チートでエリートサラリーマンだったらしいよ?」
「なんかムカつく」
「まあ、特典なんてなくったって自力で何でもできちゃうから、不要だったんだろうな」
「なんか、勇者なのか? 俺達神よりも能力ありそう」
「ある意味、真の魔王かも知れん」
ぶるぶると震えだす二柱だった。
「でも、一回だけ使える特典を使ったならもうかかわらなくて済むんだろ?」
ここで、水神の震えがより一層強くなった。
「うううううう。あの勇者、また連絡寄こしてさ。自分と嫁を異世界へ界渡りさせろと宣ったんだよ……」
「え? でも、願いは一度しか叶えられないよな?」
「お前、断れるか?」
水神の震えが緑神に伝染する。
「無理。断れない! むり……ムリ」
水神と緑神は願った。
「もう勇者ハルからの連絡がありませんように。どうぞ叶いますように」
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