52 / 54
番外編 かわいい人.10
しおりを挟むティフォは抵抗らしい抵抗もできないまま、二度三度とくっついては離れるだけのキスを受け入れる。
頰を撫でるアキラの柔らかな手が、小さく震えているのに気付いた。
うるんだ黒い瞳をふんわりと細めたアキラは、こつんと額を合わせて吐息だけでつぶやく。
『すき……』
ぎゅううっと心臓が雑巾絞りをされたように痛い。ティフォは触手で顔を覆った。
その触手越しにアキラからのキスの雨が降ってくる。
青くゆだった顔がおさまらない。
『ティフォ。そんなに俺のキスが嫌? かわいいティフォの顔を見せて?』
触手の隙間からアキラを見上げれば、不安げに眉を下げるアキラと目があった。
「い、嫌じゃない……から、困ってる」
『よかった。俺の初めてのキスが、好きな人に嫌がられてなくて』
がばりと覆いかぶさってきたアキラは、許可を得たとばかりに喜々としてティフォの口内を舌でもてあそんだ。
ティフォの口内にびっしりと生える大臼歯の突起を熱心に愛撫されれば、どんどんと力が抜けていく。
「ま、待って。い、嫌じゃないけど、いいとも言ってないんだからね!?」
ティフォの叫びもむなしく、かさかさに乾燥していたシワだらけの触手が、ぬたぬたと濡れはじめてしまうのだった。
『こんなにすぐ気持ちよくなっちゃう体、一人でどうやって慰めてたの? 俺、ちょっと心配なんだけど』
ティフォの触手のぬめりで体を濡らしたアキラは、思わせぶりな手つきで触手をなぞっていく。
ティフォの体はひくひくと震え、さらに触手を甘い粘液で滴らせた。
「ムームだけだ、よ。私が、こんなふうになるのは、ムームだけ……。んっ!」
アキラはたまらねぇなと小さくつぶやいて、口でぬちゅりと触手をくわえ込んだ。
柔らかな髪を揺らしながら頭を前後に動かせば、飲み込みきれずに口からあふれ出た触手粘液が糸を引いてしたたり落ちる。
ティフォは快楽でぐにゃぐにゃにとけながら、愛しいアキラをうっとりと見つめた。
不埒なアキラの手と口は、ティフォを優しく愛撫していく。
かつてムームがなぞった性感帯を一つ残らずたしかめるように、ゆっくりと時間をかけてすみずみまで愛されて――。
ティフォが気付いたときには、触手の奥に慎ましやかに存在する総排出腔を見せつけるような体勢をとらされていた。
「ふえ?」
『いい子、いい子。もっと気持ちよくしてやるから、もう少しそのままで、な?』
「はあ、んっ、だ、だめぇ。そこは、赤ちゃんできちゃうから、ぁ」
アキラの指が、ティフォのつるりとしたスリット状の総排出腔を撫でる。
それだけで待ちきれないとばかりに中からこぽりと粘液が濡れでて、ティフォは自分の躰のはしたなさに震えた。
とにかく恥ずかしい。
年老いた体で未来ある若者にこんな痴態を見せて、いったい自分は何をしているのだろうかと、なけなしの理性が訴えている。
『かわいいな。子作りエッチ、期待してるの?』
「ち、ちが! や、やっぱり、もうやめ……」
『違う? ここの赤ちゃんの部屋に、俺のペニスが欲しくないの? 俺は、ここに入りたい。俺のペニスを入れて、こすって、奥までかき混ぜたい』
「ひゃ、はぁ、んっ!」
アキラの体に似つかわしくないサイズの生殖器を擦りつけられ、ティフォの腰は無意識のうちに迎え入れるように動く。それでもアキラは入ってこなかった。
ティフォが期待と羞恥にぐちゃぐちゃになりながらアキラを見れば、アキラは苦しそうに歯を食いしばっていた。
『でも、ティフォが嫌なら、我慢する。俺、ティフォに嫌われたくない。好きだよ。好き。好きなんだ』
枯れたとばかり思っていたティフォの体は、本能に忠実だった。
愛しい人が欲しくてたまらないと訴えている。
総排出腔の奥で卵が降りてくるのを感じながら、ティフォは震える触手で体を開き、アキラにおねだりをするのだった。
「う、も、くださいっ! わ、私のここに……お願いアキラぁ、きてぇ……」
『嬉しい。ティフォ、しっかり見ててね。俺のペニスがティフォのここに入るとこ。まだきれいな色の未使用ペニスがやらしく色付くくらい、これからいっぱい、エッチ、しようね?』
ずくりと先端の侵入を許したティフォの総排出腔は、もっともっとと貪欲にぜん動しながらアキラを飲み込んでいく。
「あ、あ、あ、や、おっき……」
『うんっ。入った、ね。……はぁ、ティフォのなか、とっても気持ちいい。どこも痛くない? 大丈夫?』
「き、きもちいっ、あ! 気持ちいいぃ!」
『まだ体は子どもだけど、ねっ、ここは、ちゃんと射精もできる大人ペニスだから安心してね。うんと優しく種付けしてあげる。ムームを超えるくらい、いっぱい子作りしようね!』
ぐんと突き入れられ、なかの襞が子種をよこせとばかりにぐにぐにと痙攣した。
奥で優しくこねるように動かされれば、ぼこぼこと卵が排出されていくのが分かった。
アキラは卵をごりごりと押しつぶすようにしながら中で何度も射精をし、ティフォは意味のなさない喘ぎ声を上げ続けたのだった。
5
あなたにおすすめの小説
ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる
cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
「付き合おうって言ったのは凪だよね」
あの流れで本気だとは思わないだろおおお。
凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?
インテリヤクザは子守りができない
タタミ
BL
とある事件で大学を中退した初瀬岳は、極道の道へ進みわずか5年で兼城組の若頭にまで上り詰めていた。
冷酷非道なやり口で出世したものの不必要に凄惨な報復を繰り返した結果、組長から『人間味を学べ』という名目で組のシマで立ちんぼをしていた少年・皆木冬馬の教育を任されてしまう。
なんでも性接待で物事を進めようとするバカな冬馬を煙たがっていたが、小学生の頃に親に捨てられ字もろくに読めないとわかると、徐々に同情という名の情を抱くようになり……──
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
いつかコントローラーを投げ出して
せんぷう
BL
オメガバース。世界で男女以外に、アルファ・ベータ・オメガと性別が枝分かれした世界で新たにもう一つの性が発見された。
世界的にはレアなオメガ、アルファ以上の神に選別されたと言われる特異種。
バランサー。
アルファ、ベータ、オメガになるかを自らの意思で選択でき、バランサーの状態ならどのようなフェロモンですら影響を受けない、むしろ自身のフェロモンにより周囲を調伏できる最強の性別。
これは、バランサーであることを隠した少年の少し不運で不思議な出会いの物語。
裏社会のトップにして最強のアルファ攻め
×
最強種バランサーであることをそれとなく隠して生活する兄弟想いな受け
※オメガバース特殊設定、追加性別有り
.
Take On Me 2
マン太
BL
大和と岳。二人の新たな生活が始まった三月末。新たな出会いもあり、色々ありながらも、賑やかな日々が過ぎていく。
そんな岳の元に、一本の電話が。それは、昔世話になったヤクザの古山からの呼び出しの電話だった。
岳は仕方なく会うことにするが…。
※絡みの表現は控え目です。
※「エブリスタ」、「小説家になろう」にも投稿しています。
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。
かとらり。
BL
セシリオ・ド・ジューンはこの国で一番尊いとされる公爵家の末っ子だ。
オメガなのもあり、蝶よ花よと育てられ、何不自由なく育ったセシリオには悩みがあった。
それは……重度の被虐趣味だ。
虐げられたい、手ひどく抱かれたい…そう思うのに、自分の身分が高いのといつのまにかついてしまった高潔なイメージのせいで、被虐心を満たすことができない。
だれか、だれか僕を虐げてくれるドSはいないの…?
そう悩んでいたある日、セシリオは学舎の隅で見つけてしまった。
ご主人様と呼ぶべき、最高のドSを…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる