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4.なんだか可愛い動物病院
しおりを挟む何度もくり返すが、俺には金がない。
そんな俺が今、えらくファンシーな動物病院の前でうろうろとしているのは、スマホで触手生物についての情報を見てしまったからだ。
ネット情報、マジ怖い。
木製の扉にある大きなドア窓には、ご丁寧に薄ピンクのカーテンがきっちりと閉じられていた。
そこにかかっているプレートには、午前の診療は終了しましたという文字。
病院と名の付くものに縁がなさすぎて、営業時間の概念が開店時間と閉店時間しかなかった俺は、触手生物を閉じ込めた靴箱を抱えて途方に暮れていた。
まさか病院という施設が、こんなに長い昼休憩を取っているなんて考えてもいなかったのだ。
調べた中で一番近かったこの動物病院でも、アパートから徒歩三十五分。何度も往復するのは嫌すぎる。
迷惑かもしれないが待たせてもらおうと、俺は動物病院のかわいい玄関アプローチにあるレンガの階段に腰掛けた。
触手生物を閉じ込めた靴の箱は、ガムテープで封をしてある。
靴の箱なのは、そこそこ丈夫でちょうどいい大きさの入れ物が他になかったからだ。
きちんと綺麗にしてから使っているので、箱が汚いわけではない。数少ないタオルだって中に敷いてある。それでもちょっとかわいそうな気がしてくるが、こうでもしないとうっかり脱走してしまったら大変だ。
正直にいうと、隙間から触手が出てきたらと思うだけでお尻がぞわぞわし始めてしまう俺には、情けないことに封でもしないとこうして運ぶことができなかったのだ。
「急患かな?」
心細い気持ちで十五分ほど座っていただろうか。
背後でチリリンとドアベルが鳴って振り返れば、開いた扉から白衣を着た先生が顔を出していた。
年は三十代後半くらいだろうか。身長が高くがっしりした体格は、立っているだけで少し威圧感がある。それでも笑うと目尻が下がって、マスクで半分隠れた顔からでも人の良さが伝わってきた。
「あ、すいません。俺、初めてで、診療時間を確認せずに来ちゃって」
「とりあえず入っていいよ。今日は往診も手術も入ってないから」
マスク越しでもはっきりと聞こえる声は、体格に似合った低い声だった。
短く清潔に整えられた黒い髪に、人当たりがよく優しい話し方は、みんなの人気のクマ先生という感じだろうか。ほっとした俺は、先生のお言葉に甘えて動物病院に入らせてもらった。
人間の病院とはまた違う嗅ぎ慣れない匂いは、消毒液となにかが混ざったような、でも不快じゃない匂いがした。
どうやら先生一人で診療をしているらしく、他に人の気配はない。
入り口で手を消毒しながらキョロキョロしている俺に、先生は問診票を手渡してくれた。
俺は近くにあった椅子に靴の箱をそっと置いて、問診票を書きはじめた。
しかし住所、氏名、電話番号まで書いて、すぐに手が止まってしまう。
ペットの名前、品種、性別、誕生日、ペット保険の有無、予防接種歴、来院目的……全部で十二項目のすべてにおいて、書けるところが圧倒的に少ないのだ。
ど、どうしよう。種類すら触手生物で合ってるのか自信ないよぉ。あ、毛色のところはなんとか俺でも書けるかも。俺は毛色の欄に、透明ときどき薄水色に薄紫の縞模様と書いて、おどおどしながらペンを置いた。
空欄のままの来院目的にどうしようかと悩んだが、そうでなくても話しにくい内容を文字にして書くなんて、俺には到底できそうもなかった。
缶コーヒーを両手に持った先生が奥の部屋から戻ってきて、問診票を受け取る代わりに左手の缶コーヒーを俺に渡してくれた。
「今日は特別だ。内緒で頼むよ」
「あ、ありがとうございます」
スマートな立ち振る舞いの先生が、問診票に目を通して少し困ったように笑う。
「南出さんは、爬虫類でも保護したのかな。その箱の中? えっ、ちょっとそれ、ちゃんと空気穴ある?」
「す、すみません。でも出てきちゃったらって思ったら。えっと、厳密には拾ったわけでもないんですけど」
「詳しい話はあとで聞くから、とりあえず早く診察台にいいかな?」
犬の足跡マーク付きの木製プレートが吊り下げられたかわいい診察室に入ると、俺は先生に急かされるまま診察台の上に靴箱を乗せた。
本当に動物病院かと疑いたくなるような、これまたかわいい木製の診察台だった。
先生は靴の箱の蓋に張ってあったガムテープを剥がし、のぞき込みながらそっと箱を開け、首を傾げている。
「箱から逃げたのかな。そんなに小さい子だったの?」
「あ、やばい! 先生、こいつ起きちゃったかも!」
「ん?」
「先生、早く箱を閉じて! 透明だと、逃げられたら分かんなくなっちゃうよ!」
手にした缶コーヒーを放り出す勢いで靴の箱の蓋を閉めた俺は、おそるおそる箱を持ち上げた。
軽い。明らかに軽かった。試しに靴箱を軽く振ってみたが、手応えは悲しいほどにない。
「先生、ごめんなさい。……逃げられちゃった。俺がちゃんと説明しなかったからだ。どうしよう」
「とりあえずドアに鍵をかけたから、早く見つけてあげよう。この部屋の中にはいるんだから、きっと大丈夫。あと、探しながらでいいから、事情を教えてくれるかな?」
俺は申し訳なさで泣きそうになりながら、説明をした。
恥ずかしいとか言いづらいとか、四の五の言っている場合じゃない。俺は引っ越しをしてからの出来事を、夢かもしれないあの出来事もふくめて、正直に全部ぶちまけた。
「じゃあ、南出さんの箱の中に入っていたのは、触手生物らしき生き物なんだね?」
「たぶん。俺もちょっと見ただけなんだけど、分かる範囲で調べたら、似たような触手生物が出てきたんだよ。でも、その、種類によっては、人体に有害だって、書いてあってぇ……」
スマホ情報では、無害なペットの他にも病気を媒介する触手、強い催淫作用や依存性、果ては致死性の高い毒を持つ触手、卵を産み付ける触手までいると記されていた。
犬猫のように身近なペットの一つではあるが、野生の触手もふくめたらその種類は多岐にわたっている。今でも新種が発見され続けているのが触手生物だ。
俺のアパートにいた触手生物に毒がある可能性を考えはじめたら、お金がないとか言っている場合ではなかったのだ。
「そうだな。種類によっては」
先生が頷きながら肯定しているのを見て、俺はあらためて事の重大さに押しつぶされそうになった。
そんな危険な生き物を、動物病院で逃がしてしまったのだ。なのに言い訳ばかりが口を衝く。
いざというときに人間の本性があらわれるっていうのなら、きっと俺はどこまでも最低な人間なのだろう。
「俺、怖くなっちゃって。恥ずかしくて誰にも相談できないし、でもお尻はなんか変だし。触手は全然動かないし。もしかしてこのまま触手が弱って死んじゃったらって思ったら、どうしていいか分からなくなって。動物病院に連れていって治療をしてもらうついでに、なんとか上手く誤魔化して、毒のある種類かどうかだけでも教えてもらえたらなって思って……」
「そうだったんだね。一人で怖かったな」
「……ごめんなさい。本当に、ごめんなさい! 先生まで毒でどうにかなっちゃったら、俺……俺ぇ、どうしようぅ」
俺は床を這いずりまわり、手探りで逃げた触手を探しながら、みっともなくぼろぼろと泣きだしてしまった。
先生が優しくて苦しい。
本当は、新生活だって不安でいっぱいだった。勉強についていけるのか、四年間の学費や両親への負担も心配だったし、知らない土地での慣れない生活も憂鬱だったのだ。
その上、得体の知れない触手生物に襲われて。先生の優しさに泣きだしてしまうくらいには、俺も限界だったのだろう。
「よしよし、大丈夫だ。あれほど見事な擬態はなかなかお目にかかれないんだぞ。獣医として不謹慎かもしれないが、実はちょっと楽しみでもあるんだ。だから、そんなに気に病むことはない」
「先生なら、あの子の種類、分かる?」
先生はためらいがちに、触れるか触れないかの力加減で俺の頭を撫でた。
ぐすぐすと鼻を鳴らしながら顔を上げれば、先生は思いのほか近くに座っていて、俺とまっすぐに目線を合わせてくれていた。
「いくつか心当たりはあるけど、やっぱり実物を見ないと断定は難しいかな。南出さんが見た触手生物は小型で、体色は薄水色に薄紫の縞模様か。色は鮮やかなはっきりした色だった?」
「ううん。薄い色で、どちらかというと優しい色合いだったよ」
「ならやっぱり、危険な触手生物ではないと思うんだ。触手生物に限定していえば、危険な触手生物は警告色で判断できることが多いんだ。見た目のかわいさや獰猛さよりも、色が重要だったりするんだよね。その色合いの小型触手生物なら、有害な触手粘液が付着しても洗い流すか、もしくは時間経過で粘液が乾けば、諸症状も落ち着く程度だろう。どう? 少しは安心してもらえたかな?」
マスクで分かりにくいけれど、先生の目はふんわりと笑ってくれている。
俺が頷いたのを見て、先生はティッシュを箱ごと俺の手に乗せると、また触手探しに戻っていった。
優しい。涙と鼻水で酷い顔面状態の俺は、ありがたく使わせてもらおうとしゃがみ込んだままティッシュを手に取った。
それから目元を拭って、マスクを顎にずらすとティッシュで思いきり鼻をかんだ。
その音に紛れて、背後でぼたりと嫌な音が聞こえた気がしたのだ。
首筋に覚えのある濡れた感触。
俺は慌ててうなじに手をやるが、触手生物はすばやく服の中に侵入してしまった。
俺が服の襟元から手を突っ込むより早く重力で背中を滑り終えた触手生物は、デニムパンツのウエスト部分からにゅるりと中に入りこむ。
それは明確に目指す先を持つ意思のある生き物の動きだった。
触手生物の知能の高さに恐れおののきながら、俺は尻のあわいを移動する触手を服の外から押さえ込むのでやっとだ。ひゃっとか、ぎゃっとか言葉にならない悲鳴を上げながら、なんでスキニーパンツにしなかったのだろうかと埒もないことを考えた。現実逃避だ。知っている。
先生はすぐに事態を察したらしく、座ったままの俺のデニムパンツのボタンを外して、中に手を突っ込んだ。
ちょっと待って。助けようとしてくれているのは分かるけど、それ以上そこはまさぐらないで。俺が涙目で睨みつければ、先生は急に真っ赤になって固まってしまった。
完全に八つ当たりだ。
恥ずかしさから先生を睨みつけただけなのだが、その視界がゆらりと滲む。手の力も抜けて、触手が尻のあわいでうごめくたびに、ぞわぞわとした感覚が背中を走った。はあはあと息が上がっていく。
そういえばさっき先生は、触手粘液が有害とかいっていなかったっけ? え、これ、やばい? ぬるぬるが……。
「あ、あの、南出さん? 大丈夫?」
俺は涙目で首を横に振った。まったく大丈夫じゃない。
触手生物は押さえつけられた本体の代わりに、細い触手を尻の穴に伸ばしている。
触手が穴のしわの一本一本を撫でるたびに、ぬるつきが増していく。
俺は必死に歯を食いしばり力の入らない両手で尻を押さえたが、じりじりと移動する触手本体が、俺の穴に到着するのはすぐだった。
「あっ、や、だっ、だめっ! せんせっ、たすけてぇ!」
俺はたまらず助けを求めて先生の顔を見上げたが、先生がなにかするより早く、触手本体は俺の尻の穴に身を埋めてしまった。
俺は情けなく口を開けたまま、動けない。
しびれた感覚と穴の入り口に居座る触手生命体の質量。認めたくないが、俺のちんこは俺の気持ちを無視してデニムの中で窮屈になっている。
先生の前なのに。
俺は恥ずかしくて死にそうだ。
「み、南出さん。触手生物が、あの、その、……中に?」
「ンうっ、お、おれぇ、たすけてって、いったのにぃ」
恐怖と恥ずかしさと快楽でパニックになった俺は、先生の腕を掴んで小さな声でなじった。
それでも先生はそんな俺を見て、顔を赤らめて硬直しているだけだ。
金縛りにでもあっているのか? 今まさに俺の中で、触手生物が安全な場所を探すようにじわじわと奥へと移動しているのに!
こうしている間にも触手があのねばねばの粘液を直腸壁に塗りたくっているのかと想像してしまい、俺は半狂乱でデニムパンツを下着ごと脱いだ。
靴が邪魔して脱ぎきれなかった下服が足元でからまっている。
さらに動きにくくなった気がするが、そんなことに構っていられない。俺の体はどんどんと熱くなっていく。
「やあぁ! とって! せんせぇ、これとって! やだこわい!」
腰の高さの診察台に上半身を乗せ、自分で尻を広げて訴える。
首をひねって振り返ってみても、絶賛金縛り状態の先生は動かない。俺はバカになった頭と処理しきれない感情に、また涙がこぼれた。
メリメリと音が聞こえそうな質量が奥に移動して、俺の知らない気持ちのいい部分を押し上げる。
前回の寝込みに襲われたときのアレは、触手の先っぽのいたずらだったに違いない。今回の触手本体の大きさとは、まるで雲泥の差だった。
俺はみっともなく泣き、喘ぎ、それでも勇気を振り絞って、自分で自分の尻に震える指を突き立てた。
金縛りで役立たずの先生に頼るのはやめて、自ら触手本体の撤去に挑んだのだ。
俺の濡れた穴はすんなりと人差し指を迎え入れたが、俺の努力もむなしく触手生物の体に指先が一瞬触れただけだった。到底捕まえられそうにない。
触手は逃げるようにさらに奥を目指す。
「んっ。せんせ、おれっ、しんじゃうよぉ」
「す、すまん! 南出さん、大丈夫だからな! なにがあっても死なせないから! 責任は取る!」
何一つ大丈夫じゃない。
俺が尻を丸出しにしてえぐえぐと泣いて訴えて、ようやく先生の金縛りが解けただけだ。ヤブ医者なのか? もう一度いうが、何一つ大丈夫じゃないからな!
しかし俺の心からの叫び声は喘ぎ声にしかならなかった。
ろれつの回らない舌っ足らずな声が甘えるように響いて、それを否定したくても、口を開けば嬌声が飛び出してくる。
先生は手術用みたいな薄い手袋をすばやくはめると、俺の尻を掴みのぞき込んできた。
「少し我慢してくれ」
そう言うなり先生は、穴に添えた右手の人差し指と中指を、性急にねじ込んできた。
それを抵抗なく受け入れてしまう俺の穴は、もう前までの排泄孔ではなくなっているのだろうか。
先生の息を感じるだけで、きゅんきゅんと物欲しそうな動きをしてしまうのだ。
先生は治療の一環で処置をしてくれているだけなのに、俺の体ときたらはしたなく悦んでしまうのを止められない。そんな自分が怖い。どうしよう。もっと太いのが欲しい。さっきの気持ちいいところを、ぐりぐりされたい。
先生は容赦なく俺の穴を開き、指でぐぽぐぽと中を確認している。
気持ちがいいところをかすめるのは、切ないくらいに一瞬だった。
「ああ、すごいな。触手生物が透明擬態をしているから、奥まで中が丸見えだ。ピンク色で、とても綺麗だ」
「やああぁ、いわないでぇ、も、いっ、イっちゃうよぉ!」
先生は穴を広げたまま、執拗に指をぐちぐちと出し入れしている。
先生に奥まで見られているのだと自覚しただけで、触手粘液で敏感になった俺はあっけなくイってしまった。
先生は宥めるように俺の尻を撫でるが、それにさえ俺の体はひくひくと跳ねてとまらない。
「そんなに締め付けると取り出せなくなる。力を抜けるか? 触手生物は身を守るために奥に向かってる。このままでは私の指でも届きそうにないから、触手生物のほうから出てきてもらおう。南出さん、あと少し頑張るんだ」
先生は優しくそういうと、診察台に飛び散っていた俺の精液を拭い取って、穴の入り口に塗りたくった。
「ひゃ、あっ、なにするのぉ」
「美味しいエサで釣ろうかと思ってな。触手生物の一番の大好物がなにか、南出さんは知ってるか?」
先生は背後から俺の尻を撫でながら、ささやいた。
「精液だよ」
震えながら首を振る俺を診察台に押さえつけた先生は、かちゃかちゃと白衣の下のベルトを外していく。
「私も協力して、もう少し精液を増やしてあげるから。ほら、触手もエサに気付いたみたいだ」
先生は俺の尻の間にちんこを挟んで手で押さえ、ちんこのカリ首を穴に引っかけるようにして擦りつけはじめた。
こんなの嘘だ。こんなの知らない。いくら口でそう言っても、俺の体は快楽に貪欲だった。
触れてもいない俺のちんこはまた大きく膨らんで、先走りでぐっしょりと濡れている。
自分でいうのもなんだが、うっかり入ってしまいそうなくらい緩んだ穴なのに、先生のちんこはいつまで待っても入ってこなかった。
堪えきれなくなった俺がちんこを迎えるように尻を動かせば、先生にお尻をぺちんと叩かれる。
「あンっ! なんでぇ。いじわるしないで、せんせ」
診察台に顔をつけたまま、お尻だけ高く突き上げてとんでもないことをねだっている。
恥ずかしくて頭が沸騰しそうな自分と、すぐそこまで来ている射精感に夢中になっている自分とで、俺の心はめちゃくちゃだ。
「今、私は、あくまで治療中なんだよ。だから、死ぬほど我慢してるんだ。本当に、頼むから、これ以上誘惑しないでくれ」
先生は低い声でそういうと、痛いくらいの強い力でお尻を掴んだ。
グッと先生の指がめり込み、お尻の形が変わる。
今の俺はその痛みにさえこんなにも気持ちがいいのに、先生はちんこを入れるつもりがないだなんて。こんなにも先生のちんこが欲しくて、腹の底がきゅうきゅうとなっているのに? 入れてくれないの?
先生が俺の背後で激しく腰を振れば、先生の陰嚢が遅れてぺちぺちと俺の穴を叩く。
俺はその感覚にすら物欲しそうに喘いだ。取り繕うのをやめれば、気持ちよさがさらに増すと気付いたからだ。
快楽に占領された頭で、先生のちんこを穴に迎え入れようと何度も腰を動かしたが、先生は俺をいさめるばかりだ。
自分で自分を慰めようにも、もう腕を動かすこともままならない。
「も、おねがい、いれて。んっ、ちんこ、せんせいのちんこ、ほしいよぉ」
先生はぐすぐすと泣いてねだる俺を見て、急に俺から身を離すと激しく手でちんこを擦った。
赤黒いちんこの鈴口を俺の緩んだ穴に押しつけ、びゅるびゅると射精をして、器用に精子だけを俺の中に流し込む。
情けない俺のちんこは、中に精液をかけられただけで触れてもいないのに、ぴゅっぴゅと精子をもらしてしまった。
「くっ。南出さんは、すごく可愛いのに、こんなにいやらしいのか。たまらないな」
先生はそういいながら、優しくお尻を撫でてくれた。
俺のふわふわした頭は先生に褒められたと喜んで、可能なかぎり身をよじって先生にキスをねだった。
顎に引っかかっているだけのマスクからだらしなくよだれが垂れるのも気にせず、精一杯、舌を伸ばして欲しがってみせる。ソーシャルディスタンスもなにもあったものじゃないけれど、だって先生がもっと欲しいんだ。
先生はこぼれた精液を押し込むように尻の穴に指を出し入れしながら、マスクを外して優しいキスを与えてくれた。
「ふぁ、ん。うれしい。すきぃ。もっと。ね、せんせ、もっとキスしよ」
先生は、マスクのない顔も男らしくて格好よかった。
俺は意味の分からない多幸感に包まれながら、先生の与えてくれるキスを受け入れた。
生まれて初めてのキスは、ちんこの直接的な気持ちよさとはまた違うじんわりとした気持ちよさだった。
不慣れなせいで上手く動かない俺の舌を、先生は舐めてすすって甘噛みする。上顎をつたう先生の舌が気持ちいい。
そうやって深くなるキスにうっとりしていた俺を、ムードをぶち壊す急激な排泄感が襲ってきた。
つまり尻からうんこが出そうな非常事態だ。いや、中にいた触手生物か? やっぱりうんこか? うんこの可能性が一パーセントでもあるのならダメだ。
穴の中まで見られた仲でも、排泄行為は見られたくない。排泄とは人間としての尊厳にかかわる行為だろ。知らんけど!
「せんせ、おれ、ト、トイレ!」
ここでもらすわけにはいかない。
俺は必死になって尻の穴を閉じようと内太ももに力を入れたが、足の間に陣取った先生は、尻を割り広げて真剣に穴を観察している。
「力を入れないで。もう少しで触手生物が出てくるから」
「ほんと? う、うん、ち、じゃない?」
「大丈夫だ。万が一の場合でも、犬の排便で慣れているから。ほら、力を抜いて」
先生はそういいながら、俺のちんこをあやすように握ってきた。
待ってそれなにも大丈夫じゃないと反論したくても、俺のちんこは簡単に勃起するし、口からは喘ぎ声しか出てこない。体中の力が抜けて腰砕けのぐずぐずだ。もうやだ。
俺がろくな抵抗もできないうちに、めりっと穴を広げてそこそこの質量のなにかが顔を出した。
それは穴に留まって、舐めるようにうねうねと動いている。見て確認するまでもなく触手生物だ。本当に先生の精液に釣られて出てきたらしい。
俺の尻の穴は、触手生物がコンニチハしたとんでもない状態でも痛くなかった。
むしろ節操のない体がまた喜んで、あんあんと声が出てしまう。触手粘液のせいだとしても、あんまりじゃないか。帰ってこいよ俺の日常!
「すごいな。これはすごい擬態能力だぞ。南出さんも見たいよな?」
そういいながら先生は、俺の返事も待たずにアンティークな木製キャビネットの扉を開けた。
扉の内側が姿見になっている。
先生は俺を軽々と診察台に乗せると、鏡に向かって両足を大きく広げさせ、手袋をした手で触手をこねくり回しながら観察を始めたのだ。
このとんでもない状況で、触手生物の媚薬成分によって俺一人だけ気持ち良くてよがっているという状態を直視させられるとか、どんな仕打ち?
先生はそんなことお構いなしに、触手に夢中だ。さようなら俺の尊厳……。
「やはりこれはミミックテンタクロウスの一種だな。ほら、透明で分かりにくいが、頭部にあたる部分に触手を収納しているのが分かるだろう」
先生は嬉々としながら、触手に指を入れて確かめている。
今この状態でなにがどう問題かって、触手が透明で、俺の尻の穴で固定をされているってことだ。
鏡に映った俺の穴が、透明な触手のせいで奥まで丸見えになっている。
ぽっかり空いた穴からは、ピンク色の内臓が物欲しそうにうねっている様子まで、俺にもしっかりと見えた。
恥ずかしくて足を閉じたくても、先生がそれを許してくれない。
色素の薄い俺のちんこが、鏡の向こうでぴょこんと跳ねているのが目に入った。
「あ、あ、も、やっ」
「現在の光学迷彩の技術はこの生物の発見で飛躍したともいわれていて、周囲に合わせて体表の色素胞を拡大縮小させることで瞬時に色を変えるカメレオンタイプの触手生物なんだよ。何年か前に、小型でマンションでも飼いやすい触手として人気だった種類だ。軟体動物軟泥類透明目触手科に属するミミックテンタクロウスで間違いないだろうな。どうした、南出さん。大丈夫か?」
大丈夫じゃない。俺はまったく大丈夫じゃないぞ!
ようやく俺の惨状に気付いてくれた先生に、俺はヒンヒンと泣きながら早く入れてと懇願した。
なのに、なぜだか先生は困った顔をしている。
なんでだ。普通、この状態ならすることは一つだ。もういいだろ? なあ?
「今ようやく人体に大きな害のない触手生物だと判明したんだ。本当によかった。それで、だな。南出さんさえよければなんだが。きちんとお付き合いをして、手順を踏んで、正常な状態で了承を得てから、こういう行為ができたらと思っているんだ。成人まで待つと誓ってもいい。一生、大切にする。だから、あの、前向きに考えてもらえれば、嬉しいんだが」
「はぁ!? ふっざけんなよ! いま! このじょうたいで! 言うことがそれか!? 童顔だけど十八歳超えてるし! もう一分一秒たりとも待てるわけないだろぉ!!」
俺はぶち切れた。
あんなにやらしいキスをしておいて、今さら手順を踏んで、じゃない。
俺のファーストキスだぞ。ついでに後ろのヴァージンも持ってけ泥棒! 俺は待てない。待てないったら待てないのだ。さんざん焦らされて、俺の尻の穴は我慢の限界だった。
俺は火事場の馬鹿力で、体格のいい先生を床に押し倒し、足元でもたついていたパンツを蹴飛ばすように脱いで上に乗り上げた。
「あの、ちょっと、南出さん?」
「もうせんせいは、だまってて! おれ、ちんこがほしくて、しにそうなの! おれのこと大切にしたいなら、せんせいのいきり立ってるこのでっかいちんこを、いますぐ! ここに! つっこんで!」
ここまできたら男は度胸だ。
俺は先生のちんこをむんずと掴んで取り出すと、のぞき込むようにしっかりと目視で確認しながら、有無をいわさず騎乗位で入れてやった。
俺の尻の穴は透明な触手で開きっぱなしだったから、初めての俺でも入れやすかったのは非常に助かった。
ただ触手のせいで足に力が入らず、自分の体重で先生のちんこを奥まで一気に迎え入れることになってしまったのは、とんでもない失敗だった。
先生のちんこの大きさと長さに、ちかちかと目の前に星が飛ぶ。
触手って凄いな。先生のでかいちんこが、ヴァージンの俺の尻でも全部入るんだもんな。尻が壊れなくて本当によかった。
でもでもだって状態だった先生も、今では黙ったまま、またしてもフリーズしている。
そういえば穴に入れる直前、触手が開いて、ちんこを迎え入れていたような気もするな。
触手よ。お前もずっとちんこが欲しかったんだな。俺もだ。というかお前のせいか? ああ、もうこの際なんでもいい。
「んっ、き、きもちい、いっ、いいよぉ! あああ!」
奥は硬いちんこでゴリゴリ押されて、入り口では触手がうねっている。
控えめにいってオープニングからフィナーレ状態の俺は、ものの数秒で盛大に射精をして、先生の上に倒れ込んだ。
ちんこはくわえ込んだまま、先生の逞しい胸の上で息を整える。まだイってない先生のちんこは硬いままだ。
俺は一回出して少し落ち着いた頭で自分の痴態を振り返り、かなり引いた。
先生の白衣を汚しまくった自覚もある。
おそるおそる見た先生の顔は、真っ赤になって苦しそうだった。
そうだよな。先生の気持ちを無視して、俺一人だけ気持ちよくなるなんて。こんなのほとんどレイプだよな。
俺は深く反省をした。痴漢ダメ絶対。
ここは誠心誠意謝ろうと口を開きかけたが、俺がなにかをいう前に噛みつくようなキスで塞がれてしまった。先生の大きな手が後頭部を掴み、まるで逃げられない。
あの治療の最中にしたやらしいキスともまた違う、激しいキスだった。
それでも先生のキスは気持ちがよくて、俺のちんこは性懲りもなくまた頭をもたげる。俺の反省なんて、快楽の前では風の前の塵に同じなのだ。
動かなくなった俺に文句をいうように、中の触手が動いている。
そうすると俺の尻の穴は切なくなるし、まだイっていない先生のちんこが中でさらに大きくなるしで、俺は体を震わせた。まだ大きくなるとか、先生のちんこ、凄すぎない?
先生は怖いくらいの真顔で、ひくひくと痙攣する俺の太ももを掴んだ。そして力任せに上下に動かしはじめた。
その遠慮のない動きは、触手のせいで敏感な体にはキツすぎる。
「ひっ、ま、まって、とまって! あうっ! おれっ、きもちよすぎてぇ、しんじゃうよぉ!」
「南出さんがっ、ゴムもつけずに、入れるからっ! 触手粘液の、媚薬成分で……っ!」
先生はそういいながらも、下から腰を突き上げ続けていた。
上下に跳ねる俺の尻を手で押さえ込んで、休むことなくガツガツと腰を打ち付ける。先生のカリの高いちんこが、入り口から奥まで気持ちのいいところ全部を容赦なく刺激していく。
俺は先生の顔の横に両手をついた状態で、尻だけを上下に動かされ、奥へ奥へとちんこを受け入れるだけの筒になっていた。
「す、すまんっ。優しくしたいのに、くっ!」
「いい! きもちいいよぉ! これ、すきぃ。せんせのちんこ、だいすきぃ!」
先生の首にしがみついて俺がそう叫べば、先生は俺を強く抱きしめて、腹筋だけでがばりと起き上がった。そして俺の頭が床にぶつからないように、そっと横たえた。
その優しい動作とは裏腹に、先生は獣みたいに歯を食いしばって、ふうふうと荒い息をついている。
すごい。俺にはまったく我慢できなかったあの強制的な快楽を、先生は精神力だけで抑えようとしているんだ。強くて優しい先生に、俺は心も穴もキュンキュンとしてしまった。
さっき見下ろしていた先生の顔を、今度はうっとりと見上げる。
先生は、無意識に誘うように動く俺の尻を撫でながら、うっそりと笑ってぐっと尻を割り開いてみせた。
「ほら、見て。南出さんのアナルが、美味しそうに私のペニスを咥えてるとこ。南出さんは、誰とでもこんなことをするいやらしい子なのかな?」
先生は抱え上げた俺の膝を顔の近くまで折り曲げて、俺の尻を天井に向けてみせた。
そうすると、先生のちんこが刺さった俺の尻が、嫌でも目に飛び込んでくる。
俺はしっかり割れた先生の腹筋と、みっちりはまっているちんこに釘付けになってしまった。
ちょっと前までは慎ましかったはずの俺の尻は、先生の太いちんことそれにまとわりつく透明な触手生物をしっかりとくわえ込んでいる。
しわが伸びきって健気にも限界まで開いている尻の穴は、触手が透明だから俺の赤く色付いた直腸がうごうごとうごめいて、先生の赤黒いちんこを物欲しそうにしゃぶっているのまで丸見えだった。
「あ、あ、うそ。みないで。やだぁ。こんなのちがう。こんなやらしいの、ちがうよぉ。だって、だってぇ、おれ、はじめてだもん。せんせ、しんじてぇ」
「はは。南出さんは、本当にかわいい。外で心細そうに座っているのを見たときから、ずっとかわいいなと思ってたんだ。こういうことをするのは私とだけって約束してくれたら、これから先もずっと、南出さんが欲しいだけコレをしてあげる。気持ちいいの、好き?」
「すき、きもちいいの、すきぃ」
「いい子いい子。約束は?」
「うん。やくそく、する」
「誰とコレをするの?」
「えっちは、せんせいとだけ、いっぱいするぅ!」
「そう、いい子だ。いい子には、ご褒美だよ」
先生はそういうと、亀頭ギリギリまでちんこを引き抜いた。触手粘液をまとったぬるぬるの陰茎は、血管が浮いて痛そうなくらい張り詰めている。
俺も同じ男として、あの状態の辛さは想像できる。
突っ込んで擦ってとっとと吐き出したいだろうに、それでも先生は、ゆっくりと焦らすように亀頭の段差を俺の縁に引っかけている。これが大人の男の余裕か? 俺の尻の穴で、透明な触手生物がすがりつくように先生のちんこにまとわりついているのが感覚で分かった。
俺はその光景から目が離せない。
「せんせぃ、ちょうだい。ごりごりって、もっとほしっ、……んあああああ!」
はしたなくねだる俺に、先生は一気に根元まで叩き付けた。
「私のすべては南出さんのものだ。そして南出さんも、私のもの。南出さんは快楽に弱そうだからね。もっとしっかり、体に覚えてもらおう」
肌と肌がぶつかって、ばちゅばちゅと濡れた音を立てる。
掘削するような先生の激しい動きに、俺のシャツは胸元までめくれ上がった。
むき出しになった薄い腹に、俺のちんこがぺちぺちと揺れながらぶつかり、あちこちに汁を飛ばしている。
先生は腰を打ち付けながらも、その大きな手で、あらわになった俺の体をすみずみまで触れていく。
そして焦らすように到達した俺の乳首を、撫でて弾いて摘まむのだ。大きさに似合わないその繊細な手の動きに、俺は腹の底がぞくぞくして止まらない。
俺のちんこはだらだらと濡れっぱなしで、俺の薄い腹筋に幾筋もの涎を垂らしていく。
俺の体の中で、どんどん快楽の風船が大きく膨らんでいくのが分かって、怖くてたまらない。
大きく大きく、経験したことのないくらいに大きく膨らんだ快楽がついに腹の底で弾けて、俺はがくがくと体を痙攣させながら、先生の腕の中でついに意識を手放したのだった。
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