貴方が探している聖女はボク(わたし)ですけど!

ゴルゴンゾーラ三国

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 ぱち、ぱちち、という、火花が爆ぜるような音で、意識が浮上する。ぼんやりとしたまま目を開ければ、目の前に、たき火があった。
 たき火を見て、寝ぼけていた頭が、一気に覚醒する。
 いつの間にか寝てしまっていたようだ。わたしは慌てて立ち上がる。
 一体どのくらい寝ていたのか分からないが、たき火が完成しているということは、そこそこ寝入ってしまったに違いない。

「ご、ごめ――わぁっ!」

 マグラルド様を放って、勝手に寝てしまった罪悪感から周りが見えていなかったが、マグラルド様が上半身の服を脱ぎ、体を拭いていた。非常に鍛え上げられた体は、わたしには毒だ。
 ばち、と思い切り顔を手で覆う。

「男同士なのだから、そこまで気にしなくとも構わない」

 なんて、マグラルド様は言うけれど、わたし、本当は男じゃないから!
 とは言えない。
 わたしは後ろを振り向き、しゃがみこむ。絶対に見ないぞ、という姿勢だ。
 背後から聞こえてくる、ちゃぷちゃぷと、布が水につけられる音が、妙に生々しくて、心臓が痛いくらいに早まる。

「ご、ご、ごめんね。あの、ボク、どのくらい寝てた……?」

 動揺からか、自分の声が情けないほどに震える。
 カチン、と何か、金属が擦れ合うような音がする。剣の音にしては軽いし小さい。なんだろう、これ。

「そうだな……一時間弱、と言ったところか」

 マグラルド様がそう言うと、カパ、と今度は何かがハマる音がした。……ああ、これ、懐中時計の音か。

 ――……って、一時間!?

「ごっ――、ごめん!」

 わたしは反射的に振り返りそうになって、ギリギリのところで、立ち上がるだけに留まる。外を見れば、陽が沈み始めている。
 まさか、こんなところで寝てしまうなんて……。

「気にするな。休んでいいと言ったのは僕だ。それよりも、ほら。お前も体を拭くか?」

 「湯を沸かしたから、使うといい」とマグラルド様が言ってくれる。たき火の準備をして、たき火を作り、湯まで沸かすとは、もしかして、一時間眠っていたというのは嘘なんじゃないの……? 絶対もっと寝てたって……。

「あ、や、体はいいかな……。あの、ほら、えっと……そう! ボク、体に傷跡があって、あんまり他の人には見られたくないっていうか……」

 わたしは手探りで言い訳を探し、断る。
 いや、言い訳自体はいつものものなんだけど。リリリュビさんたちにもこれで通して、肌が見えるようなことは避けている。実際は傷なんてなくて、性別を偽っているから脱げないだけなのだが。

 普段ならすんなり出てくる言い訳も、今は出てこない。一時間以上も眠りこけっていたことへの罪悪感もそうだが、なんというか、その、マグラルド様の上半身裸の姿が、刺激が強すぎるんだよ……!
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