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第六部
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この時代での魔法は、おとぎ話のようなもの。いつぞやのジグターさんの反応が一般的だと思っていたんだけど……。
「……あいつらはメネールの子孫だ。生き残った弟子の中で子をもうけたのはメネールだけ。だからこそ、魔法というものを継承させようとしたんだろう」
流石の師匠も、少しばかり周りを気にしながら教えてくれた。
メネールと言えば、わたしの妹弟子だ。師匠の何番目の弟子かは分からないが、わたしの二人後に入った子。ふわふわとした髪を持つ人形みたいに可愛い顔の子。あざとい系、と言うのだろうか。あざとくはあるけど、接する相手で対応を変えるわけじゃないので、そこまで嫌われるような子でもなかった。
「将来の夢? お嫁さんに決まってるじゃない! メメをお姫様抱っこできるくらい、たくましくて格好良くて優しい人と結婚するの!」なんて言うような子だったけど、世界が滅んでも子供を作ろうとするなんて……。
……ん?
「ベイカーさんとティカーさんって、熊……ですよね? あれも変態〈トラレンス〉なんですか?」
「違う。メネールが熊の獣人と結婚して熊の獣人を産んだ。その子がまた子を産んで……おい、マレーゼ。今何を考えた。師匠に言ってみろ」
「な、何でもないです。何も考えてないです。本当に、ええ、本当に!」
大嘘。
人間と獣人とで子供できるんじゃん! とか普通に考えた。
メネールは間違いなく人間だった。というか、あの時代に、人間以外に人間の形をした生き物はいなかった。獣人、という概念すらない。
普通に子供、できるんだ……。そして父親側の種族と同じ獣人が生まれてくるんだ……。
ウッ、ちょっと今、イエリオの方を見る勇気がない。絶対顔が真っ赤になってしまう。
「い、いや、それにしても、そういう、そういうの、本当にいたんですね」
わたしは誤魔化すように話題を変える。声が震えていたので、何も隠せていない気がするけど。
「そういうの?」
「魔法という文化を受け継ぎ、次代につなぐ、みたいな……。わたしの、と、同じだなって」
ぺらぺらと本当のことを全て言うわけにはいかないので、少し言いよどむ。
この研究所での、わたしの設定。シーバイズの文化を先祖代々受け継いでいる、と言うやつ。それが本当の人がいたとは。
「あいつらには魔力路の神経がないからな。次に残せるものは、ほとんどんない」
ああ、なるほど。それで師匠を頼ったのか。千年間継承させてきたものを、自分たちが打ち切るのに耐えられなかったのだろうか。
「まあ? メネールと結婚した獣人はどっかの間男たちと違ってしっかりメネールのためにシーバイズ式の結婚を執り行い、それもちゃんと残したし、あの熊兄弟ですら知っていたというのに、獣人式の結婚しかしていないようだが?」
「ぐっ……。い、いえ! それを知ったからには私達だって!」
わたしたちの会話の様子をうかがっていたイエリオが、慌てたように口をはさむ。
そういうことか……それで、イエリオは島長への挨拶、とか言い出したのか。
「……あいつらはメネールの子孫だ。生き残った弟子の中で子をもうけたのはメネールだけ。だからこそ、魔法というものを継承させようとしたんだろう」
流石の師匠も、少しばかり周りを気にしながら教えてくれた。
メネールと言えば、わたしの妹弟子だ。師匠の何番目の弟子かは分からないが、わたしの二人後に入った子。ふわふわとした髪を持つ人形みたいに可愛い顔の子。あざとい系、と言うのだろうか。あざとくはあるけど、接する相手で対応を変えるわけじゃないので、そこまで嫌われるような子でもなかった。
「将来の夢? お嫁さんに決まってるじゃない! メメをお姫様抱っこできるくらい、たくましくて格好良くて優しい人と結婚するの!」なんて言うような子だったけど、世界が滅んでも子供を作ろうとするなんて……。
……ん?
「ベイカーさんとティカーさんって、熊……ですよね? あれも変態〈トラレンス〉なんですか?」
「違う。メネールが熊の獣人と結婚して熊の獣人を産んだ。その子がまた子を産んで……おい、マレーゼ。今何を考えた。師匠に言ってみろ」
「な、何でもないです。何も考えてないです。本当に、ええ、本当に!」
大嘘。
人間と獣人とで子供できるんじゃん! とか普通に考えた。
メネールは間違いなく人間だった。というか、あの時代に、人間以外に人間の形をした生き物はいなかった。獣人、という概念すらない。
普通に子供、できるんだ……。そして父親側の種族と同じ獣人が生まれてくるんだ……。
ウッ、ちょっと今、イエリオの方を見る勇気がない。絶対顔が真っ赤になってしまう。
「い、いや、それにしても、そういう、そういうの、本当にいたんですね」
わたしは誤魔化すように話題を変える。声が震えていたので、何も隠せていない気がするけど。
「そういうの?」
「魔法という文化を受け継ぎ、次代につなぐ、みたいな……。わたしの、と、同じだなって」
ぺらぺらと本当のことを全て言うわけにはいかないので、少し言いよどむ。
この研究所での、わたしの設定。シーバイズの文化を先祖代々受け継いでいる、と言うやつ。それが本当の人がいたとは。
「あいつらには魔力路の神経がないからな。次に残せるものは、ほとんどんない」
ああ、なるほど。それで師匠を頼ったのか。千年間継承させてきたものを、自分たちが打ち切るのに耐えられなかったのだろうか。
「まあ? メネールと結婚した獣人はどっかの間男たちと違ってしっかりメネールのためにシーバイズ式の結婚を執り行い、それもちゃんと残したし、あの熊兄弟ですら知っていたというのに、獣人式の結婚しかしていないようだが?」
「ぐっ……。い、いえ! それを知ったからには私達だって!」
わたしたちの会話の様子をうかがっていたイエリオが、慌てたように口をはさむ。
そういうことか……それで、イエリオは島長への挨拶、とか言い出したのか。
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