転生からの魔法失敗で、1000年後に転移かつ獣人逆ハーレムは盛りすぎだと思います!

ゴルゴンゾーラ三国

文字の大きさ
32 / 493
第二部

31

しおりを挟む
 キッチンに二人で並んで料理を作る。とはいえ、わたしはフィンネルの料理が分かるわけではないので、あくまで補助的な立ち位置だ。それにプロが作った方が絶対おいしいものが出来上がるしな……。
 フィンネル国では主に麺料理が食べられているようで、日本でいう米のように、大体の主食がパスタらしい。パスタとサラダ、それにスープをあわせる、というのが一般的なランチスタイルのようだ。

 イナリさんが夕飯にパンを選んでいたし、てっきり小麦粉文化なのかと思っていたが、イナリさんは特殊ケースらしい。一昨日の夕飯の話をしたら「また手抜きして!」とぷんすこしていた。まあ、日本とシーバイズという、二つの国を経由してきたわたしにも、あれは手抜きだと分かるけれど。あれが手抜きじゃなかったら、フィンネル国の食文化に絶望していたところだ。

「マレーゼは料理できるの?」

 わたしの包丁を持つ手が危なっかしくないからか、フィジャに聞かれる。わたしの担当はサラダなのだが、いや、そりゃあいくら料理自慢じゃないとはいえ、トマトを切るくらいはできますって。……いや、これがトマトなのかちょっと微妙だけど、一番近い野菜は間違いなくトマトだろうし、言語増加〈イースリメス〉もそう翻訳しているからきっとトマト。なんかちょっと見た目が違う気もするけど、トマトとする。

「まあ、多少は? プロのフィジャよりはできないだろうけど、普通に食べられるものを作ることはできるよ」

「そうなんだ。じゃあ安心かな。ボク以外、みんな料理できないし。料理担当はボクとマレーゼで折半だね」

 イナリさんは料理しないことがなんとなくわかっていたが、イエリオさんとウィルフさんもダメだったか。まあ、あの二人が料理するところは、あんまり想像できない。

「おいしいものができるように頑張る」

「あはは、食べられるものを作れる時点で十分だよ」

 うーん、フィジャにそう言われてしまうとは、あの三人の腕前はどんだけ酷いんだろう。というより、イエリオさんはともかく、イナリさんとウィルフさんはあんまり味に頓着しないタイプに見える。イナリさんは味がなくてもいいって感じっぽいし、ウィルフさんに至っては、安全に食べられればそれでいいっていう極端なタイプに見える。完全に偏見だけどね。あんまり遠からず、ってところはあると思うけど。イナリさんは味つけしてない丸パンをそのまま平然とした顔で食べてたし。

「でも、シーバイズの料理が作れるなら、イエリオが騒ぎそうだなー。再現料理をぜひ! って」

「あー、確かに」

 目を輝かせながら言う姿が簡単に想像できる。
 とはいえ……。

「ちょっと難しいと思うけどね」

 シーバイズの料理に欠かせないのが、シオイモとエンエンマメである。両方とも海水で育つ変わった植物で、味付けをしなくとも塩の味がすでについている芋と豆だ。
 シーバイズ料理、と言われるものには必ず入っているもので、わたしもシーバイズ人になってから毎日食べていた。シーバイズ人にはとりあえずシオイモとエンエンマメさえ与えておけば何とかなる、とまで言われるソウルフードだ。
しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜

具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです 転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!? 肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!? その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。 そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。 前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、 「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。 「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」 己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、 結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──! 「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」 でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……! アホの子が無自覚に世界を救う、 価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!

異世界推し生活のすすめ

八尋
恋愛
 現代で生粋のイケメン筋肉オタクだった壬生子がトラ転から目を覚ますと、そこは顔面の美の価値観が逆転した異世界だった…。  この世界では壬生子が理想とする逞しく凛々しい騎士たちが"不細工"と蔑まれて不遇に虐げられていたのだ。  身分違いや顔面への美意識格差と戦いながら推しへの愛を(心の中で)叫ぶ壬生子。  異世界で誰も想像しなかった愛の形を世界に示していく。​​​​​​​​​​​​​​​​ 完結済み、定期的にアップしていく予定です。 完全に作者の架空世界観なのでご都合主義や趣味が偏ります、ご注意ください。 作者の作品の中ではだいぶコメディ色が強いです。 誤字脱字誤用ありましたらご指摘ください、修正いたします。 なろうにもアップ予定です。

甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜

具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」 居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。 幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。 そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。 しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。 そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。 盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。 ※表紙はAIです

眺めるだけならよいでしょうか?〜美醜逆転世界に飛ばされた私〜

波間柏
恋愛
美醜逆転の世界に飛ばされた。普通ならウハウハである。だけど。 ✻読んで下さり、ありがとうございました。✻

ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます

五珠 izumi
恋愛
城の下働きとして働いていた私。 ある日、開かれた姫様達のお見合いパーティー会場に何故か魔獣が現れて、運悪く通りかかった私は切られてしまった。 ああ、死んだな、そう思った私の目に見えるのは、私を助けようと手を伸ばす銀髪の美少年だった。 竜獣人の美少年に溺愛されるちょっと不運な女の子のお話。 *魔獣、獣人、魔法など、何でもありの世界です。 *お気に入り登録、しおり等、ありがとうございます。 *本編は完結しています。  番外編は不定期になります。  次話を投稿する迄、完結設定にさせていただきます。

ブラック企業に勤めていた私、深夜帰宅途中にトラックにはねられ異世界転生、転生先がホワイト貴族すぎて困惑しております

さら
恋愛
ブラック企業で心身をすり減らしていた私。 深夜残業の帰り道、トラックにはねられて目覚めた先は――まさかの異世界。 しかも転生先は「ホワイト貴族の領地」!? 毎日が定時退社、三食昼寝つき、村人たちは優しく、領主様はとんでもなくイケメンで……。 「働きすぎて倒れる世界」しか知らなかった私には、甘すぎる環境にただただ困惑するばかり。 けれど、領主レオンハルトはまっすぐに告げる。 「あなたを守りたい。隣に立ってほしい」 血筋も財産もない庶民の私が、彼に選ばれるなんてあり得ない――そう思っていたのに。 やがて王都の舞踏会、王や王妃との対面、数々の試練を経て、私たちは互いの覚悟を誓う。 社畜人生から一転、異世界で見つけたのは「愛されて生きる喜び」。 ――これは、ブラックからホワイトへ、過労死寸前OLが掴む異世界恋愛譚。

面倒くさがりやの異世界人〜微妙な美醜逆転世界で〜

波間柏
恋愛
 仕事帰り電車で寝ていた雅は、目が覚めたら満天の夜空が広がる場所にいた。目の前には、やたら美形な青年が騒いでいる。どうしたもんか。面倒くさいが口癖の主人公の異世界生活。 短編ではありませんが短めです。 別視点あり

『異世界転生してカフェを開いたら、庭が王宮より人気になってしまいました』

ヤオサカ
恋愛
申し訳ありません、物語の内容を確認しているため、一部非公開にしています この物語は完結しました。 前世では小さな庭付きカフェを営んでいた主人公。事故により命を落とし、気がつけば異世界の貧しい村に転生していた。 「何もないなら、自分で作ればいいじゃない」 そう言って始めたのは、イングリッシュガーデン風の庭とカフェづくり。花々に囲まれた癒しの空間は次第に評判を呼び、貴族や騎士まで足を運ぶように。 そんな中、無愛想な青年が何度も訪れるようになり――?

処理中です...