転生からの魔法失敗で、1000年後に転移かつ獣人逆ハーレムは盛りすぎだと思います!

ゴルゴンゾーラ三国

文字の大きさ
34 / 493
第二部

33

しおりを挟む
「そういえば、明日からマレーゼは何するの? ずっと家にいるのも退屈でしょ?」

 昼食を取りながら、フィジャがそんな風に聞いてきた。

「今日までは休みだから、街中の案内でも、って思ったけど、明日からボクも仕事だし」

 確かに、一日中家にいるのも暇だ。時間をつぶすものが何もない。

「うーん、とりあえず明日はやりたいことがあるから、暇ってわけでもないけど……」

 明日は結婚の証にと買ったチョーカーに魔法付与をする予定だ。一日かかるものではないし、多分一時間もあれば終わっちゃうとは思うけど。でも、折角一日使えるなら、クール時間を設けて重複付与にするのもありだ。
 健康でいられるように、病魔払いを付与する予定だったけど、幸運とか、ダメージ軽減とか……後者はウィルフさんに持ってこいだろう。

 明日以降は道を覚えるために街中を歩くのもいいかな、と思っているが、一週間もすれば慣れるはず。長期的になにか時間をつぶせるものが欲しいな……。

 あ、そうだ!

「フィジャ、図書館ある? あと、文具店とか。文字を勉強したいんだ」

 会話はできるが、文字の読み書きはできない。フィジャの店で、伝票とかメニューとか、そういうもののために読み書きはできた方がいいはずだ。そうじゃなくても、出来て損はない。

「図書館かあ。あるけど、ちょっとここからだと遠いよ。歩けなくはないけど」

 大体、フィジャの足で三十分くらいかかるそうだ。わたしだともう少しかかるかな?
 まあでも、そのくらいなら歩けない範囲じゃない。交通手段が乏しかった田舎国の出身を舐めないでもらおう!

「大丈夫、歩けるよ。街に慣れるために、多少距離があった方がいいし」

 そう言うと、今日は図書館に行って貸し出しカード作ろうか、と提案された。ありがたい。
 子供向けの絵本から初めて……とりあえず、フィジャの家にいる間は児童文学くらいは読めるようになるのを目標にしよう。最低でも、辞書なしで絵本を読めるようにはなりたい。

「あ……っと、フィジャはよく図書館に行くの?」

「うん。レシピ本とかよく借りるよ」

「そっか」

 一瞬、本とか紙とか貴重なのでは……? と思ったけれど、全然そんなことはないようだ。まあ、キッチンもガスコンロっぽかったし。原動力がガスかは知らないし、デザインもファンタジーっぽい、丸みがあって白とベージュ基調な感じだったけど、機能は現代日本のものとそう変わらなかった。

 インフラ系だけでなく、いろんなものの生活水準が日本と変わらないとみていいかもしれない。あ、トイレは水洗でした。お風呂はなくて、シャワーだけみたいだけだったけど! シーバイズは銭湯がいくつもあって、お風呂にはことかかさなかったので、その点はショックである。
 やっぱり心はどこかまだ日本人だし、お風呂には入りたい。

 話戻って。

 本が読めるようになれば、歴史の本も読めるし、マナー教養の本も読める。本当は言語理解〈インスティーング〉が使えればよかったのだが、体質に合わない魔法なのか、一つ覚えるたびに二週間くらい酷い頭痛に悩まされるのだ。二度と使わないと誓った魔法の一つである。あの苦痛をまた味わうくらいなら、一から勉強した方がよっぽどいい。
 世界が広がることへわくわくしながら、わたしは早く行きたい、と言わんばかりに、スープを一気に飲み干した。
しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

異世界推し生活のすすめ

八尋
恋愛
 現代で生粋のイケメン筋肉オタクだった壬生子がトラ転から目を覚ますと、そこは顔面の美の価値観が逆転した異世界だった…。  この世界では壬生子が理想とする逞しく凛々しい騎士たちが"不細工"と蔑まれて不遇に虐げられていたのだ。  身分違いや顔面への美意識格差と戦いながら推しへの愛を(心の中で)叫ぶ壬生子。  異世界で誰も想像しなかった愛の形を世界に示していく。​​​​​​​​​​​​​​​​ 完結済み、定期的にアップしていく予定です。 完全に作者の架空世界観なのでご都合主義や趣味が偏ります、ご注意ください。 作者の作品の中ではだいぶコメディ色が強いです。 誤字脱字誤用ありましたらご指摘ください、修正いたします。 なろうにもアップ予定です。

【完結】身分を隠して恋文相談屋をしていたら、子犬系騎士様が毎日通ってくるんですが?

エス
恋愛
前世で日本の文房具好き書店員だった記憶を持つ伯爵令嬢ミリアンヌは、父との約束で、絶対に身分を明かさないことを条件に、変装してオリジナル文具を扱うお店《ことのは堂》を開店することに。  文具の販売はもちろん、手紙の代筆や添削を通して、ささやかながら誰かの想いを届ける手助けをしていた。  そんなある日、イケメン騎士レイが突然来店し、ミリアンヌにいきなり愛の告白!? 聞けば、以前ミリアンヌが代筆したラブレターに感動し、本当の筆者である彼女を探して、告白しに来たのだとか。  もちろんキッパリ断りましたが、それ以来、彼は毎日ミリアンヌ宛ての恋文を抱えてやって来るようになりまして。 「あなた宛の恋文の、添削お願いします!」  ......って言われましても、ねぇ?  レイの一途なアプローチに振り回されつつも、大好きな文房具に囲まれ、店主としての仕事を楽しむ日々。  お客様の相談にのったり、前世の知識を活かして、この世界にはない文房具を開発したり。  気づけば店は、騎士達から、果ては王城の使者までが買いに来る人気店に。お願いだから、身バレだけは勘弁してほしい!!  しかしついに、ミリアンヌの正体を知る者が、店にやって来て......!?  恋文から始まる、秘密だらけの恋とお仕事。果たしてその結末は!? ※ほかサイトで投稿していたものを、少し修正して投稿しています。

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

花嫁召喚 〜異世界で始まる一妻多夫の婚活記〜

文月・F・アキオ
恋愛
婚活に行き詰まっていた桜井美琴(23)は、ある日突然異世界へ召喚される。そこは女性が複数の夫を迎える“一妻多夫制”の国。 花嫁として召喚された美琴は、生きるために結婚しなければならなかった。 堅実な兵士、まとめ上手な書記官、温和な医師、おしゃべりな商人、寡黙な狩人、心優しい吟遊詩人、几帳面な官僚――多彩な男性たちとの出会いが、美琴の未来を大きく動かしていく。 帰れない現実と新たな絆の狭間で、彼女が選ぶ道とは? 異世界婚活ファンタジー、開幕。

この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜

具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです 転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!? 肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!? その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。 そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。 前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、 「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。 「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」 己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、 結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──! 「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」 でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……! アホの子が無自覚に世界を救う、 価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!

天使は女神を恋願う

紅子
恋愛
美醜が逆転した世界に召喚された私は、この不憫な傾国級の美青年を幸せにしてみせる!この世界でどれだけ醜いと言われていても、私にとっては麗しき天使様。手放してなるものか! 女神様の導きにより、心に深い傷を持つ男女が出会い、イチャイチャしながらお互いに心を暖めていく、という、どう頑張っても砂糖が量産されるお話し。 R15は、念のため。設定ゆるゆる、ご都合主義の自己満足な世界のため、合わない方は、読むのをお止めくださいm(__)m 20話完結済み 毎日00:00に更新予定

眺めるだけならよいでしょうか?〜美醜逆転世界に飛ばされた私〜

波間柏
恋愛
美醜逆転の世界に飛ばされた。普通ならウハウハである。だけど。 ✻読んで下さり、ありがとうございました。✻

甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜

具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」 居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。 幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。 そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。 しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。 そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。 盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。 ※表紙はAIです

処理中です...