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第二部
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あまりの不快さと気持ち悪さに思わず殴ってしまったが、大丈夫だろうか、これ。……うーん、人を突き落とすくらいならすぐに釈放されてしまう国だったらセーフでしょセーフ。なんとかなる、なんとかなる。
今はそれより、この男をどうするか考えないと。二人は刑務所行きが確定みたいだから(流石にこの短期間で刑務所に行ったとは思えないが、本人たちは行くつもりでフィジャを害したんだろう)、まあいいとしても、この男は、こうしていつでもわたしの目の前に現れることが出来る。毎回殴るわけにも行かない。
かといって、記憶をいじるのも難しい。あれは本当に高度な魔法なので、わたしなんかが使えるはずもないし、わたし程度の、肩書のない一般の魔法使いは、魔法陣自体を知ることすらできない。
どうしたら諦めてくれるだろうか。そう思いながら、わたしの一撃で完全に気絶してしまった男を見下ろす。
「……変態〈トラレンス〉でごそっと見た目、変えちゃうか?」
可能か不可能かでいったら可能ではあるけれど、もうこの姿で工務店にも、フィジャの店にも挨拶に行っている。はたから見たら、フィジャたちは婚約者に逃げられてすぐに次の女を見つけた男たち、ということになってしまう……。
これは最終手段だな……。
というかそもそも、この男の為だけに、この見た目を変えるのも、それはそれで癪である。向こうが悪いのに。
一体何が彼らに気に入られてしまう原因になったのか……。いくらわたしが獣人目線で美人に変態〈トラレンス〉しているからって、他にも、それなりの人が探せばいるはずなのに。
何か考えて対策しておかないとなあ。今は寝てないからあんまり魔力が回復していない上に、しろまるにごそっと持っていかれたし、あの様子じゃフィジャの腕を治すのにも相当魔力を使うはず。なので、残りの魔力は温存しておきたい。
今すぐに魔法でどうこうするのはちょっと難しい……かな? 帰りは鉢合わせないように気をつけないと。
わたしはささっと男を避けて、病院内へと入った。こっそり、受付で人が倒れてますと、一応報告だけしておく。放置するのもそれはそれで、ちょっとだけ気が咎める。治療を受けて、帰りに鉢合わせない確立を上げたい、という思いのが強いけど。
病室につくと、フィジャはもう帰り支度を済ませて――ベッドに腰かけて、頭を抱えていた。
「えっ、嘘、フィジャどうしたの!? どこか痛い? 調子悪い?」
わたしは慌ててフィジャに駆け寄った。今日、退院の予定ではあったけど、体調が悪いなら、一度医者に掛け合ったほうがいいんじゃないだろうか。
わたしはしゃがんで、フィジャと目線を合わせようとする。
「み、見ないで……大丈夫、だから」
フィジャが、絞り出すように言った。声は震えているが、体調が悪い、ということはなさそうだ。
むしろ、耳まで真っ赤にして顔を隠す様子は、どこか照れているような……?
今はそれより、この男をどうするか考えないと。二人は刑務所行きが確定みたいだから(流石にこの短期間で刑務所に行ったとは思えないが、本人たちは行くつもりでフィジャを害したんだろう)、まあいいとしても、この男は、こうしていつでもわたしの目の前に現れることが出来る。毎回殴るわけにも行かない。
かといって、記憶をいじるのも難しい。あれは本当に高度な魔法なので、わたしなんかが使えるはずもないし、わたし程度の、肩書のない一般の魔法使いは、魔法陣自体を知ることすらできない。
どうしたら諦めてくれるだろうか。そう思いながら、わたしの一撃で完全に気絶してしまった男を見下ろす。
「……変態〈トラレンス〉でごそっと見た目、変えちゃうか?」
可能か不可能かでいったら可能ではあるけれど、もうこの姿で工務店にも、フィジャの店にも挨拶に行っている。はたから見たら、フィジャたちは婚約者に逃げられてすぐに次の女を見つけた男たち、ということになってしまう……。
これは最終手段だな……。
というかそもそも、この男の為だけに、この見た目を変えるのも、それはそれで癪である。向こうが悪いのに。
一体何が彼らに気に入られてしまう原因になったのか……。いくらわたしが獣人目線で美人に変態〈トラレンス〉しているからって、他にも、それなりの人が探せばいるはずなのに。
何か考えて対策しておかないとなあ。今は寝てないからあんまり魔力が回復していない上に、しろまるにごそっと持っていかれたし、あの様子じゃフィジャの腕を治すのにも相当魔力を使うはず。なので、残りの魔力は温存しておきたい。
今すぐに魔法でどうこうするのはちょっと難しい……かな? 帰りは鉢合わせないように気をつけないと。
わたしはささっと男を避けて、病院内へと入った。こっそり、受付で人が倒れてますと、一応報告だけしておく。放置するのもそれはそれで、ちょっとだけ気が咎める。治療を受けて、帰りに鉢合わせない確立を上げたい、という思いのが強いけど。
病室につくと、フィジャはもう帰り支度を済ませて――ベッドに腰かけて、頭を抱えていた。
「えっ、嘘、フィジャどうしたの!? どこか痛い? 調子悪い?」
わたしは慌ててフィジャに駆け寄った。今日、退院の予定ではあったけど、体調が悪いなら、一度医者に掛け合ったほうがいいんじゃないだろうか。
わたしはしゃがんで、フィジャと目線を合わせようとする。
「み、見ないで……大丈夫、だから」
フィジャが、絞り出すように言った。声は震えているが、体調が悪い、ということはなさそうだ。
むしろ、耳まで真っ赤にして顔を隠す様子は、どこか照れているような……?
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