転生からの魔法失敗で、1000年後に転移かつ獣人逆ハーレムは盛りすぎだと思います!

ゴルゴンゾーラ三国

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第四部

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 少し付き合え、とイエリオの家で言われた後。わたしは、ウィルフさんに連れられ、冒険者ギルドへと連れて来られていた。
 冒険者ギルド、と言っても、この街のものである。支部ではなく、わたしがウィルフさんを迎えに行った、本部の方。
 てっきりそのまま隣街に行くものだと思っていたが、どうやら違うようだ。この街の冒険者ギルドのギルド長が、ウィルフさんとわたしに頼みたいことがあって、わたしはウィルフさんに呼び出されたようだ。

 着けば詳しいことは分かる、と言わんばかりにウィルフさんは詳細を教えてくれなかった。隠すつもりはないのだろう、ただ、わたしに説明するのが面倒なだけで。
 ウィルフさんと二人きりになるのは、フィジャの為にディンベル邸へと魔法の研究書を探しに行ったときくらいだ。この機会に、少しくらい仲良くなれないかな、と思いながら、ウィルフさんの後をついていく。ただの、名前を知っている他人から、仲のいい知人くらいに昇格したい。フィジャたちレベルの友人を目指すのは……ちょっとまだ、時期が早いと思うので。

 冒険者ギルドに着くと、やっぱり、ひそひそと、あまりいい雰囲気ではないざわめきが聞こえてくる。でも、ウィルフさんは気にしていないのか、特に目もくれず、迷いなく歩いていく。
 そして、三階の奥の部屋にたどり着くと、ウィルフさんはノックをした。

「入るぞ」

「あっ、はい、うん、大丈夫です!」

 返ってきた声に、わたしは思わず、え、と声をこぼしそうになった。聞き覚えのある声。ドア越しで、少しこもって聞こえるけれど、知っている声だ。

 ウィルフさんが扉を開ける。

 その先に、見知った顔がいた。重厚な机と椅子に見合わないほど小柄な体で、『ちょこんと座っている』という表現がふさわしい――羊のような角を持った、女の子。

 まさかのルーネちゃんだった。

 気弱で他人と話すのが苦手だが、采配能力のあるギルド長、とイエリオに評価されていた人が、まさかルーネちゃんだったとは。

 でもそうか。だから避難していた支部で、ルーネちゃんの安否を確認したとき、ちょっと変な顔されたのか。ギルド長という立場ならあれこれ指示を出しているはずで、ああして混乱もなく現場が回っているのなら、無事に決まっている。
 ルーネちゃん、見るからに後方支援タイプの人間みたいだし。え、流石にそうだよね? 前線でゴリゴリ戦うタイプじゃない、よね……? 采配能力を評価されているのならそうだと思うのだが。

 ルーネちゃんの左右には、二人の男性が控えている。
 二人とも筋肉質で、いかにも冒険者、という体躯をしている。右側の方はおそらくライオンの獣人で、左側の方はトラの獣人と思われる。その二人は、ルーネちゃんと同じデザインの首輪をしていた。

 えっ、アレもしかして例の、ルーネちゃんの夫さんですか!? 体格差えぐい……。ていうか、わたしからしたら、どう見ても捕食する・されるの関係にあるようにしか見えないんだが……。ああいうカップルが成立することもあるんだ……。

 獣人ってすごい。

 目に入る情報全てに追い付けなくて動揺しまくりのわたしをよそに、ルーネちゃんは「あの、えっと、お話するので、座ってください」と、ルーネちゃんがいる机の前にある、向かい合う様にして置かれた応接用のソファを案内してくれた。
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