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第一部
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結局、二度目の人生で、『アルコルズ・キス』という物語の全てを知ることはできなかったし、『わたくし』が死なないためにはどうすればよかったのか、分からないまま高校の卒業式を前に、『わたし』は事故で命を落とした。
そして、その後、三度目の人生として、再びレインカルナ王国に、サネア・キシュシーとして生を受ける。
わたしが二度目のサネア・キシュシーに生まれなおっている、とわたしの意識が芽生えたのは五歳のとき。別の世界に生まれ変わって、『アルコルズ・キス』という作品をしったときと同じくらい、衝撃を受け、信じられなかった。
しかし、わたしが現実を認められなくても、時は進む。一度目の『わたくし』のように死なないためには、惚けていないで、行動せねばならない。
『アルコルズ・キス』の全容は分からないままだったが、わたしが悪役ということだけは明確に知ることができていた。その情報しかないものの、それだけでも理解できていたのは、一度目と違って、大きなアドバンテージのように思えたのだ。あのときのわたしにとっては。
なのでとにかく嫌われぬよう振る舞うことに努めた。神経をとがらせ、言葉一つ、癖一つ、セルニオッド様と、フィトルーネ、そしてその周りにいる男たちに悪い印象を持たれないように、それはもう、頑張った。結果は悲しいものだったが。
一度目のサネア・キシュシーと変わらず、婚約破棄となってしまったのだ。
ただし、全く同じ展開にはならなかったのが幸いだった。
一度目とは違い、死罪ではなく追放ということに。王都の地は二度と踏めないものの、領地にて幽閉という処遇。
あまりいい結末とは言えないが、前回よりは良くなった……はず。まあ、獄中で流行り病にかかり、そのまま死んだのだけれど。
そうして、『わたくし』はまた、『わたし』として、別の世界――『アルコルズ・キス』が存在する世界へと転生。
――それぞれ同じことが二度ずつ起これば、誰に言われずとも理解した。してしまった。
わたしは、レインカルナ王国と『ルコルズ・キス』をただの物語とする世界とを、順番に転生し、行き来している、と。
レインカルナ王国に生まれるときは必ずサネア・キシュシーであり、五歳のときに意識は覚醒する。同時に、五歳までの記憶は曖昧になる。というより、思い出せはするものの、それが『今回』だったのか、それとも『以前の回』だったのか、途端に自信がなくなるのだ。
もう一つの世界に生まれるときは、同一人物にはならず、時代も多少のブレが生じるが、生まれた瞬間から自我がある。
もう何度も行き来して、見つけた法則だ。
わたしは乙女ゲーム、『アルコルズ・キス』を履修し、婚約破棄フラグを確認する。フィトルーネ視点でしか見ることができないからややこしくはあるけれど、何が駄目だったのか、どう動くべきなのかくらいは確認できる。
そして、サネア・キシュシーに生まれ変われば、ゲームで得た知識を元に婚約破棄フラグ回避に努める。
次に、サネア・キシュシーとして死に、新たに別の世界へ『わたし』として生まれれば、駄目だったところをゲームや関連書籍を見ながら反省する。そして、次回の『わたくし』はどう行動するべきか、趣味レーションを脳内で行う。
その繰り返し。
そして前回、ようやく『わたくし』は婚約破棄されず、無事に結婚することができた。……まあ、結局は浮気され、冷えきった夫婦中となってしまったのだが。おかげで、正妃にもかかわらず子供の一人もできずに大変だった。
最もわたし自身、繰り返される転生の中で、すっかりセルニオッド様にときめくことはなくなってしまったので、浮気くらいどうでもいいのだが。そこは第二王子と公爵令嬢。恋愛的な感情でどうこうなる婚姻関係ではない。
とはいえ、ここまで来てはもはや婚約破棄は負けそのもの。今更引くのは悔しい。
前回は初めて結婚までたどり着いたのだ。今度こそ、それなりに幸せな結婚生活を送って見せますわ!
そして、その後、三度目の人生として、再びレインカルナ王国に、サネア・キシュシーとして生を受ける。
わたしが二度目のサネア・キシュシーに生まれなおっている、とわたしの意識が芽生えたのは五歳のとき。別の世界に生まれ変わって、『アルコルズ・キス』という作品をしったときと同じくらい、衝撃を受け、信じられなかった。
しかし、わたしが現実を認められなくても、時は進む。一度目の『わたくし』のように死なないためには、惚けていないで、行動せねばならない。
『アルコルズ・キス』の全容は分からないままだったが、わたしが悪役ということだけは明確に知ることができていた。その情報しかないものの、それだけでも理解できていたのは、一度目と違って、大きなアドバンテージのように思えたのだ。あのときのわたしにとっては。
なのでとにかく嫌われぬよう振る舞うことに努めた。神経をとがらせ、言葉一つ、癖一つ、セルニオッド様と、フィトルーネ、そしてその周りにいる男たちに悪い印象を持たれないように、それはもう、頑張った。結果は悲しいものだったが。
一度目のサネア・キシュシーと変わらず、婚約破棄となってしまったのだ。
ただし、全く同じ展開にはならなかったのが幸いだった。
一度目とは違い、死罪ではなく追放ということに。王都の地は二度と踏めないものの、領地にて幽閉という処遇。
あまりいい結末とは言えないが、前回よりは良くなった……はず。まあ、獄中で流行り病にかかり、そのまま死んだのだけれど。
そうして、『わたくし』はまた、『わたし』として、別の世界――『アルコルズ・キス』が存在する世界へと転生。
――それぞれ同じことが二度ずつ起これば、誰に言われずとも理解した。してしまった。
わたしは、レインカルナ王国と『ルコルズ・キス』をただの物語とする世界とを、順番に転生し、行き来している、と。
レインカルナ王国に生まれるときは必ずサネア・キシュシーであり、五歳のときに意識は覚醒する。同時に、五歳までの記憶は曖昧になる。というより、思い出せはするものの、それが『今回』だったのか、それとも『以前の回』だったのか、途端に自信がなくなるのだ。
もう一つの世界に生まれるときは、同一人物にはならず、時代も多少のブレが生じるが、生まれた瞬間から自我がある。
もう何度も行き来して、見つけた法則だ。
わたしは乙女ゲーム、『アルコルズ・キス』を履修し、婚約破棄フラグを確認する。フィトルーネ視点でしか見ることができないからややこしくはあるけれど、何が駄目だったのか、どう動くべきなのかくらいは確認できる。
そして、サネア・キシュシーに生まれ変われば、ゲームで得た知識を元に婚約破棄フラグ回避に努める。
次に、サネア・キシュシーとして死に、新たに別の世界へ『わたし』として生まれれば、駄目だったところをゲームや関連書籍を見ながら反省する。そして、次回の『わたくし』はどう行動するべきか、趣味レーションを脳内で行う。
その繰り返し。
そして前回、ようやく『わたくし』は婚約破棄されず、無事に結婚することができた。……まあ、結局は浮気され、冷えきった夫婦中となってしまったのだが。おかげで、正妃にもかかわらず子供の一人もできずに大変だった。
最もわたし自身、繰り返される転生の中で、すっかりセルニオッド様にときめくことはなくなってしまったので、浮気くらいどうでもいいのだが。そこは第二王子と公爵令嬢。恋愛的な感情でどうこうなる婚姻関係ではない。
とはいえ、ここまで来てはもはや婚約破棄は負けそのもの。今更引くのは悔しい。
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