わたくしレベルの悪役令嬢になれば婚約破棄フラグ管理は完璧ですわ!~今度はハッピーエンドを目指します~

ゴルゴンゾーラ三国

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第一部

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 二人に手紙を託してから数日。わたしはずっと、セルニオッド様のことを考えていた。わたしは、ごろり、と寝返りを打つ。ルリィが起こしに来るよりも、早く目が覚めてしまったのだ。
 最近は、ずっとそう。眠りが浅くて、寝ている気がしない。ふとした瞬間、今までの失敗を悪夢に見て、目が覚める。

 もう一度寝る気にもなれなくて、わたしは自分の言動を、思い出している。
 しかし、ずーっと振り返ってみても、何か悪いことをしたようには思えないのだ。
 でも、それは、以前のセルニオッド様と比べて、というのが大きい。

 勿論、今の彼は、前回までのセルニオッド様と全然違う性格をしているから、全く同じように比べているわけではない。今の彼と、五歳の誕生日パーティーで知り合ったばかりの頃は別として。
 だからこそ、世間一般の考えとして、何か嫌われるようなことをしたかしら……と考えていたのだ。

 根本的に以前の彼と比較していることは、否定できない。もう数えきれないくらい、二つの世界を行き来する『繰り返し』の日々を過ごしているのだ。どうしても、無意識に前の彼と比べてしまう。
 だからだろうか。それ故に、本当に何もなかったの? と聞かれると、自信がない。

 ――いや、わたしは、いつだって、自身がない。だって、ちゃんとやれていたら、今もこんな風に、何度目か分からない、子供のサネア・キシュシーをやっていない。

 うまくやれたと思っても。
 その保証は、どこにもない。

 ――今回みたいに。

「――……フィトルーネの情報も、手に入れられたらいいのに」

 わたしは布団の中にもぐり、そんな叶わないことを独り言つ。
 子供のできることなんて、本当に少ない。
 今回がおかしいだけで、普段なら、セルニオッド様とアメジク様、それからランセルテくらいにしか、何か手を打つことはできない。

 フィトルーネもまた、そこまで関わり合いがない家の子だ。ルイネオスに比べたらまだマシな気もするが、母親同士が個人的な、子供に経験を積ませるためのお茶会を開くほどの仲でもない。そうなると、本当にお手上げだ。
 五歳になってから、今までの『わたくし』では考えられないほどの情報を得ることができた。だから、本来やれる範囲以上に、もっと、と欲張りになっているのだろうか。

「……でも、今までも、頑張らなかったわけじゃないのよ」

 前回も、その前も。その前の、前も。ずーっと、振り返っても。事態を飲み込めなかった最初の頃や、投げやりになっていた頃を除けば、毎回、本気で取り組んでいた。

 生き残るつもりで、頑張ってきた。

 それでも、うまくいかなかったのだから――本当は、このくらい、幼少期からできていなければいけなかったのかもしれない。

 不安になりながら、泣きそうになったとき、扉が開く音がした。
 ルリィがわたしを起こしに来たのね。

「――おはよう、ルリィ」

 わたしは笑顔を作って、布団から出て、起き上がった。
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