ハーレム系ギャルゲの捨てられヒロインに転生しましたが、わたしだけを愛してくれる夫と共に元婚約者を見返してやります!

ゴルゴンゾーラ三国

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 気が付けばわたしはグレーリアとカリスに寝る支度をさせられ、ベッドに寝ころんでいた。馬車でオクトール様に褒められてからの記憶がない。
 「おやすみなさいませ」とわたしの部屋を出て行ったグレーリアとカリスの様子はいつもと変わらないようだったから、変なことはしていないはず。多分。……自信がない。
 ベッドに入って、体は疲れているはずなのに、頭と目はさえて全然眠れない。

 ――……ドレス似合ってる、って、何?????

 一人になって、オクトール様の言葉を噛みしめて、思い出して、わけが分からなくなっていた。
 誉め言葉――誉め言葉なのか?
 ドレスが似合っていたから、ただ言ってくれただけ、ということはないのか? いやでも、わざわざ口にするような人だったか?

 ――……分からない。
 オクトール様が分からない。

 理解するためには本人に聞かないといけないけど――聞くのが怖い自分がいる。

「……なに考えてんだろ、わたし」

 オクトール様のことを知ろうとするのは、彼を王位に就かせてアインアルド王子に一泡吹かせてやるためには必要なこと。
 でも、だからって、オクトール様の一言で動揺して、その真意を尋ねるのを怖がる必要がどこにあるというのか。
 この一夫多妻が当たり前の世界では、一人だけを愛してくれる男は、そうそういない。その上、そんな世界に、貴族として生まれたわたしは、一夫多妻が嫌だから結婚はしない、ということが許される立場ではない。

 だから、オクトール様は都合が良かった。
 社交界には出てこないし、まだわたしの他に婚約者も居なくて、今後も娶る相手が増える可能性は低くて。王族と貴族という、一夫多妻の制度をフルに使うような立場でありながら、一夫一妻をつらぬけると思ったのだ。

 それだけの――はずだったのに。
 気が付けば、たった一言だけでこんなにも振り回されている。
 異性として好きか、というと微妙なラインではあるが、前までのように、一切意識しないで接することができるかと言うと……。

「い、いや、そんなことないからっ」

 わたしはガバっと毛布を頭まで被り、毛布に包まる。
 こんな子供みたいな動揺をしていてどうする。いい大人なのに。
 もう寝よう。うん、寝てしまおう。
 寝れば多少はすっきりして、違った考えにも至れるはず。

 ――そう思って目をつむっても、わたしにドレスが似合うと言ってくれたオクトール様の顔が脳内にちらついて、どうにも眠れない。
 そして、気が付けば、朝になってしまっていたのだった。
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