ハーレム系ギャルゲの捨てられヒロインに転生しましたが、わたしだけを愛してくれる夫と共に元婚約者を見返してやります!

ゴルゴンゾーラ三国

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 オクトール様との婚約が決まって早いもので、もう三か月が経った。――そう、三か月が経ってしまった。

 先日のシャローネに招待された舞踏会も、シルヴィアに招待されたパーティー同様、成功を収めたと言ってもいい。
 ただ、それでも、思ったよりもわたしたちの評価が上がらないのが現実だった。
 オルゴンド家とつながりのある貴族家や平民からの評価はかなり覆ったと思うのだが、問題は上位貴族。オルゴンド家は、財力だけならトップクラスの貴族なので、お金で解決できるこは大抵なんとかできるものの、逆に言えば金銭ではどうにもならないことには結構弱い。

 上位貴族のほとんどは、オルゴンド家に財力では負けていても、由緒正しき、代々続くお家がほとんどなので、オルゴンド家を『金に物を言わせている新興の成金貴族』としか見ていない家がそれなりにある。
 もちろん、オルゴンド家当主の手腕を見込んで取引している上位貴族家もあるのだが。ちなみにわたしの家もその一つ。
 なので、オルゴンド家の派閥では好印象に変わっても、この国の貴族の主軸になる派閥には、あぶれ者同士の傷の舐め合い、という非常に屈辱的な評価になってしまっているのが現状である。
 アインアルド王子の言う通りになりつつあるのが非常に腹立たしい。

 オクトール様との婚約発表のパーティーまであと二か月ほど。本番までに、何かしら手を打っておきたい。
 正直、ギャルゲーがベースの世界で、恋愛重視の世の中なのだから、わたしとオクトール様の仲がいいという話になればいい、と思っていたのだが、そんなに簡単な話ではなかったようだ。
 確かにこの世界は『シックス・パレット』の世界観そのまま。浮気がばれて失敗するルートも勿論存在するのだが、この世界はハーレムエンド達成の先にある。
 あのゲームの中に浮気システムがあったからこそ、一夫多妻が当たり前という価値観になっているのが強いのかもしれない。
 そのせいで余計に選ばれなかった人間へのアタリが強くなっているのかも。

「――というわけで、何か作戦はありませんか?」

 ゲーム世界云々の話を抜き、やんわりと手詰まりだと言うことをオクトール様に伝える。勉強会そのものが始まったばかりの頃は、魔法道具の勉強後は互いに慣れるために触れあいでも、という話をしていたが、今ではすっかり作戦会議の場となっていた。
 オクトール様はあごに手をやり、少し考える素振りを見せた。

「……一度、僕たちの印象を高めるのを諦めて、別の角度から王位を狙うのはどうだ?」

「と、言いますと?」

 確かに、次代の王になるためには、人脈を広げて好印象を与え、支持してくれる貴族を増やすのが一番王道なやり方ではあるものの、なにもそれ一つしかないわけではない。
 誰もが認めるような実績を残したり、王に名指しされたり――外道な話になるが、候補者が自分の他に一人もいなくなれば王になれる。あとは、今回は使えないけど、他の国の王女を娶るとか。

「僕ができるとするならば――旧魔女の魔法の再現か。ただの旧魔女の魔法では兄上に劣るので意味はない。狙うのは、『伝説の魔女』だ」

「――!」

 そこを引っ張ってくるか、と、わたしは目をまたたかせた。
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