ハーレム系ギャルゲの捨てられヒロインに転生しましたが、わたしだけを愛してくれる夫と共に元婚約者を見返してやります!

ゴルゴンゾーラ三国

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 さて、どうしたものか。
 わたしは別に、アインアルド王子に破滅の道を歩んで欲しいわけじゃない。
 舐めくさった態度に腹は立つので、ぎゃふんと言わせて痛い目を見てほしいものの、人生を完全に詰ませたいという気持ちはないのだ。
 ある意味で、わたしが彼をこの道に導いたのだから。

 わたしたちを下に見たのも、わたしを『おさがり』にしたのも、それはアインアルド王子の意思。だから、それに関してはやり返したい。わたしが、侯爵令嬢、という立場でなければ、二発くらい殴らせて欲しいものだ。いや、わたしが今まで下がってきた回数分でもいいかも。

 でも、わたしを選ばなかったのは、わたしがハーレムエンドに導いて、そうさせたというのが強いだろう。

 だからこそ、プルプムが指定難病で身動きが取れなくなる、なんて未来は望んでいない。ゲーム中では死にこそしなかったが、ここは現実。これから彼女がどうなってしまうのか、正確なところは分からない。
 正直、国王がオクトール様を認め、同時に、プライドの高いアインアルド王子が、散々馬鹿にしてきたわたしたちに懇願してくる顔が見れただけで満足してしまった、まである。しかもこの国中の貴族が集まった場所で。

 国王の発言で王位継承位争いはオクトール様が抜きんでて優勢であると、貴族は皆認識しただろうし、散々馬鹿にしてきたわたしたちに、これだけの人数の前で頭を下げねばならないアインアルド王子のプライドはずたずただろう。
 ただ、グナダール草を譲ってくれ、と頼まれたのはオクトール様。わたしが彼を焚きつけたとはいえ、グナダール草を量産するための魔法道具を作り上げたのは彼だ。

 決定権は彼にあるな、と、無言でわたしの様子をうかがってくるオクトール様に、お好きにどうぞ、とジェスチャーで返す。
 わたしの言いたいことが伝わったのか、オクトール様は、国王に向けていた体をアインアルド王子に向きなおした。

「――では、兄上。条件があります」

 オクトール様の言葉に、アインアルド王子が軽く下げていた頭を上げた。

「――っ、俺が……、ぐ。――……クソッ、その条件はなんだ」

 文句を言い返したそうな様子のアインアルド王子だったが、彼は唇を噛みしめて、最後までは言わなかった。あまりにも悔しそうな表情を隠しもしないので、そのまま憤死してしまうのではないか、と逆に心配になってくる。
 そんなアインアルド王子とは対照的に、オクトール様は淡々と彼に条件を突き付けた。

「発言を撤回してください。――僕と、彼女が『選ばれなかった者』であるというあの言葉を」

 選ばれなかった者同士お似合い。
 かつて、わたしたちが婚約することになったすぐ後、廊下でアインアルド王子とエルレナがいちゃいちゃしているところに遭遇したとき、アインアルド王子がわたしたちに言い放った言葉だった。
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