ハーレム系ギャルゲの捨てられヒロインに転生しましたが、わたしだけを愛してくれる夫と共に元婚約者を見返してやります!

ゴルゴンゾーラ三国

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 婚約発表パーティーが終わると少しは落ち着くかな、などと思っていたのだが、全然そんなことはなかった。
 本当ならば婚約発表のパーティーって、貴族学院に入学する前か、在学中、遅くとも卒業後にすぐするものなのだ。でも、わたしは、第六夫人のハルシアの貴族学院卒業後すぐに行われた、アインアルド王子とハルシアの婚約発表パーティーと同時に婚約破棄され、その後にオクトール様との婚約が決まり、そこから準備してパーティーを行ったので、かなり異例の遅さである。

 わたしとアインアルド王子の結婚式の半年前くらいに、今のアインアルド王子第一夫人であるエルレナとアインアルド王子の婚約が決まり、同時にわたしが第二夫人に下げられ……次いで、比較的すぐに、わたしに代わってナノハが第二夫人となった。どんどんと『おさがり』になったわたしは、なあなあで結婚を引き延ばされ婚約破棄にまで至り……ということなのだが、こんなの、異例中の異例なのである。

 こうなると、間髪入れずに結婚式の準備をしなくては間にあわない。本来ならば、結婚式は貴族学院卒業から一年以内に行われるはずなのに、すでに半年以上婚約発表のパーティー準備に時間を費やしてしまったので、今から急ピッチで始めないと、一年以内に収まらないのだ。

 最初、わたしとしてはこれだけ婚約発表パーティーで忙しかったのだから少し休みたい、という気持ちが強かったし、オクトール様も今回開発した魔法道具関連の仕事で忙しくなるだろうしで、絶対遅らせた方がいい、と思いながらも、王族の妃になる人間が慣例を破るのはいけない、と周りから言われてしまった。
 それを言うなら、オクトール様は何年前に貴族学院を卒業したと思ってるんだ、と言うようなことを親に言い返してしまったが、男と女では違う、と怒られてしまった。

 そりゃあ確かに、この貴族世界は男は働くもので、女は家を守り子を産むもの、という感じなので、平民と違って共働き、みたいな生活にならない以上、行き遅れたら大変なのは分かるけども。
 でもそれって差別じゃない? とのらりくらりかわそうと思っていたのだが――。

「絶対、わたくし以外の女との結婚なんて、 認めませんわよ!」

 わたしはオクトール様との勉強会で、彼の元へ届いた令嬢の姿絵をゴミ箱に入れた。
 このクソ忙しい中で唯一会えるのは、細々と続いている勉強会くらいなので、わたしは時間の合間を縫ってオクトール様の元へとやってきていた。
 結婚したら王城に住むことになるのは確かなので、いつでも会えるようになるのだが、だからと言って今会うのを我慢する理由にはならない。そりゃあ、本当に時間が全くなければ諦めるけれども。

 憤慨するわたしに苦笑いしながら、オクトール様は「ベルメ、そこに捨てないで」とゴミ箱からお見合いの釣書がセットになった姿絵を拾い上げる。

「魔法塗料が使われているゴミはこっち」

 そう言って、オクトール様はゴミ箱とは別の箱に入れた。
 ……魔法塗料が使われているのは気が付かなかった。魔法塗料は魔法道具の一種で、普通の画材よりも発色がよく、より綺麗に絵を書くことができたり、普通の火ではなかなか燃えなかったりする。魔法の火でないと燃えないのだ。
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