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第一章 魔法学校入学前
00.プロローグ
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私の名前は柊千里
IT企業の社長の父と、大学教授の母の元に生まれた。
物心つく前に母親は先立ち、父と二人暮らし。
だが状況とは裏腹に、私は順風満帆な生活を送って来た。
幼少期から英才教育を施され、小中高と受験をこなし、進学校に入学。
容姿端麗、頭脳明晰、運動神経抜群。
入試の成績はトップ。
その後の期末試験等も、常にトップをキープし続けた。
まるで絵に描いた様な優等生。
生まれながらの勝ち組。
全校生徒の信頼は勿論の事、教師からの信頼も厚い。
入学して間も無いにも関わらず、その知名度は生徒会長にも及ぶ。
私は何不自由なく、学生生活を謳歌していた。
クラスでイジメが発覚するまでは。
やはりどの学校にもイジメは存在するものだ。
国内最高の進学校だとしてもそれは同じ。
ターゲットとなったのは、クラスで浮いてた地味な印象の女の子。
成績が悪く、お世辞にも容姿が優れているとは言えない生徒だった。
かと言って何か特別な才能を宿している訳では無い。
運動神経も低く、喋るのも下手。意思も弱い。
虐めるには格好の的だろう。
勉強、部活、人間関係。
日頃のストレスを彼女に宛てがう。
周囲もそれを見て見ぬ振りをする。
だが私はそれを無視出来なかった。
小中同様、『助けよう』と動く。
自分の信念に従う。
『誰かが困っていたら無償で助ける』
それが私の信念。
だがその結果、いじめのターゲットが私へと移った。
一部の女子にとっては私は嫉妬や妬みの対象。
先陣を切って私を虐めていたのは、『自分の好きな人が私に好意を持っていた』と言う女子。
要するにただの嫉妬。逆恨みも甚だしい。
その私に好意を抱いている男子も、私を助けてはくれなかった。
下手に助太刀してクラスで孤立するのを恐れたのだろう。
先陣を切って私を虐めてたのは、クラスの中心人物の女子なのだから。
まあ、所詮『その程度の恋心だった』と言う事だ。
助けた女子も直ぐに向こうに寝返る。
教師や生徒会長に相談しても、手を差し伸べてはくれない。
父に相談した際には『家柄を出せ』と助言されるだけ。
私が反論すると、『力を使わないのは愚か者のする事だ』と説教を食らった。
でも結局私は権力を使わなかった。
それは私の信念に反する。
だから私は潔く虐めを受け続けた。
何日、何ヶ月、一年。
上履きを隠され、机に落書きをされ、暴力を振るわれる。
トイレに入れば上から水を掛けられ、弁当には虫が入っていた事もあった。
その時から私は現実から逃げるように、二次元にハマった。
特にハマったのは、中世ヨーロッパが舞台の『ラブラブパニック』と言う乙女ゲーム。
主人公の『ラヴィ・プラネス』が魔法学校で恋をする物語。
ラヴィ・プラネスは私と境遇が似ていた。
母親と二人暮らし。
母親と同じ類い希な優しい心を持つ。
『誰かが困っていたら無償で助ける』
まるで私に生き写しの様に。
それがどれだけ私のイジメで冷え切った心を温めてくれたか。
『ラブラブパニック』だけが私の唯一の心の拠り所だった。
家に帰り、『ラブラブパニック』をやる事だけを生き甲斐に辛い学校生活を乗り切って来た。
今日家に帰ったらどのルートをクリアしよう、どのエンディングを見よう。
そう考えれば自然と心は軽くなる。
気持ちが楽になる。
たった数年間イジメに耐えれば良い。
そうプラス思考に捉えられるぐらいに。
だが悲劇は唐突に訪れる。
それは移動教室の時、階段を降りようとした時だった。
私の身体が衝撃と同時に宙に舞う。
..............え?
驚きで漏れ出た声。
咄嗟に振り返ると、視界には嘗て救った彼女が映っていた。
彼女の瞳にはハイライトが灯っておらず、目の端に涙が浮かぶ。
例のいじめっ子に強要され、保身の為に突き飛ばしたのだろう。
私の心に後悔が残る。
だが後悔は彼女に対してでは無い。
まだ『ラブラブパニック』をクリアしていないのに!
イケメン王子の攻略ルートを!
全エンディング視聴後に解放される隠しルートを!
『ラブラブパニック』をクリア出来なかった自分に対して、だ。
死の淵。
時がゆっくりと穏やかに流れていく。
走馬灯が流れる。
過去の映像が蘇る。
『ラブラブパニック』でイケメン達と過ごした記憶。
それ見た瞬間、全身が恐怖に包み込まれた。
.............死にたくない! 死にたくない!
.............何で私が! こんな仕打ちを!
.............自分の身を犠牲にして人を助けて来た私が!
私を虐めた彼女が憎い。
私を裏切った彼女が憎い。
人助けなんてしなきゃ良かった。
憎悪が湧く。
怒りが湧く。
憎しみが湧く。
殺意が湧く。
ありとあらゆる負の感情が私の心を支配する。
だが今更後悔したところでもう遅い。
ここは現実世界。
魔法を使える二次元では無い。
宇宙空間とも違う。
重力が存在する。
現実はどこまでも無常で残酷だ。
人間は愚かで浅はか。
私は重力に導かれるように、頭を強打する。
それと同時に宿る強烈な激痛。
血が噴き出し、意識が遠退く。
ここまですね........
そして私は抗うすべもなく、エンディングを迎えた。
IT企業の社長の父と、大学教授の母の元に生まれた。
物心つく前に母親は先立ち、父と二人暮らし。
だが状況とは裏腹に、私は順風満帆な生活を送って来た。
幼少期から英才教育を施され、小中高と受験をこなし、進学校に入学。
容姿端麗、頭脳明晰、運動神経抜群。
入試の成績はトップ。
その後の期末試験等も、常にトップをキープし続けた。
まるで絵に描いた様な優等生。
生まれながらの勝ち組。
全校生徒の信頼は勿論の事、教師からの信頼も厚い。
入学して間も無いにも関わらず、その知名度は生徒会長にも及ぶ。
私は何不自由なく、学生生活を謳歌していた。
クラスでイジメが発覚するまでは。
やはりどの学校にもイジメは存在するものだ。
国内最高の進学校だとしてもそれは同じ。
ターゲットとなったのは、クラスで浮いてた地味な印象の女の子。
成績が悪く、お世辞にも容姿が優れているとは言えない生徒だった。
かと言って何か特別な才能を宿している訳では無い。
運動神経も低く、喋るのも下手。意思も弱い。
虐めるには格好の的だろう。
勉強、部活、人間関係。
日頃のストレスを彼女に宛てがう。
周囲もそれを見て見ぬ振りをする。
だが私はそれを無視出来なかった。
小中同様、『助けよう』と動く。
自分の信念に従う。
『誰かが困っていたら無償で助ける』
それが私の信念。
だがその結果、いじめのターゲットが私へと移った。
一部の女子にとっては私は嫉妬や妬みの対象。
先陣を切って私を虐めていたのは、『自分の好きな人が私に好意を持っていた』と言う女子。
要するにただの嫉妬。逆恨みも甚だしい。
その私に好意を抱いている男子も、私を助けてはくれなかった。
下手に助太刀してクラスで孤立するのを恐れたのだろう。
先陣を切って私を虐めてたのは、クラスの中心人物の女子なのだから。
まあ、所詮『その程度の恋心だった』と言う事だ。
助けた女子も直ぐに向こうに寝返る。
教師や生徒会長に相談しても、手を差し伸べてはくれない。
父に相談した際には『家柄を出せ』と助言されるだけ。
私が反論すると、『力を使わないのは愚か者のする事だ』と説教を食らった。
でも結局私は権力を使わなかった。
それは私の信念に反する。
だから私は潔く虐めを受け続けた。
何日、何ヶ月、一年。
上履きを隠され、机に落書きをされ、暴力を振るわれる。
トイレに入れば上から水を掛けられ、弁当には虫が入っていた事もあった。
その時から私は現実から逃げるように、二次元にハマった。
特にハマったのは、中世ヨーロッパが舞台の『ラブラブパニック』と言う乙女ゲーム。
主人公の『ラヴィ・プラネス』が魔法学校で恋をする物語。
ラヴィ・プラネスは私と境遇が似ていた。
母親と二人暮らし。
母親と同じ類い希な優しい心を持つ。
『誰かが困っていたら無償で助ける』
まるで私に生き写しの様に。
それがどれだけ私のイジメで冷え切った心を温めてくれたか。
『ラブラブパニック』だけが私の唯一の心の拠り所だった。
家に帰り、『ラブラブパニック』をやる事だけを生き甲斐に辛い学校生活を乗り切って来た。
今日家に帰ったらどのルートをクリアしよう、どのエンディングを見よう。
そう考えれば自然と心は軽くなる。
気持ちが楽になる。
たった数年間イジメに耐えれば良い。
そうプラス思考に捉えられるぐらいに。
だが悲劇は唐突に訪れる。
それは移動教室の時、階段を降りようとした時だった。
私の身体が衝撃と同時に宙に舞う。
..............え?
驚きで漏れ出た声。
咄嗟に振り返ると、視界には嘗て救った彼女が映っていた。
彼女の瞳にはハイライトが灯っておらず、目の端に涙が浮かぶ。
例のいじめっ子に強要され、保身の為に突き飛ばしたのだろう。
私の心に後悔が残る。
だが後悔は彼女に対してでは無い。
まだ『ラブラブパニック』をクリアしていないのに!
イケメン王子の攻略ルートを!
全エンディング視聴後に解放される隠しルートを!
『ラブラブパニック』をクリア出来なかった自分に対して、だ。
死の淵。
時がゆっくりと穏やかに流れていく。
走馬灯が流れる。
過去の映像が蘇る。
『ラブラブパニック』でイケメン達と過ごした記憶。
それ見た瞬間、全身が恐怖に包み込まれた。
.............死にたくない! 死にたくない!
.............何で私が! こんな仕打ちを!
.............自分の身を犠牲にして人を助けて来た私が!
私を虐めた彼女が憎い。
私を裏切った彼女が憎い。
人助けなんてしなきゃ良かった。
憎悪が湧く。
怒りが湧く。
憎しみが湧く。
殺意が湧く。
ありとあらゆる負の感情が私の心を支配する。
だが今更後悔したところでもう遅い。
ここは現実世界。
魔法を使える二次元では無い。
宇宙空間とも違う。
重力が存在する。
現実はどこまでも無常で残酷だ。
人間は愚かで浅はか。
私は重力に導かれるように、頭を強打する。
それと同時に宿る強烈な激痛。
血が噴き出し、意識が遠退く。
ここまですね........
そして私は抗うすべもなく、エンディングを迎えた。
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