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しおりを挟むもし連絡を疎ましく思われているのでないとしたら、返事が返ってこない理由は何だろう。
「答えにくい質問だった、とか?」
「イトコがいる・いないが?なんで?」
「わかんないけど、チョコの主が本当にイトコさんで、イトコさん本人から口止めされてるとか」
「え?ん?」
口に出してみて、我ながら名推理だと思った。これなら説明がつく。
……バカ兄貴には難しかったみたいだけど。
「だからぁ、チョコをくれたのはイトコさんだったんだよ。で、兄貴がこの間会ったのもその人。成田先生はその橋渡しをしてたってこと」
「橋渡し?」
「もしかしたらチョコも代わりに入れたのかもしれないし。手紙も伝言を伝えようとしたなら、成田先生の字でもおかしくないよね」
そしてそう考えれば、塾長に挨拶に行った日、兄に会いに行くことも可能だったはずだ。成田先生なら来訪者の予定を知っていて、事前にそのことを伝えておくことができただろうから。
「俺、成田のイトコなんて知らないけど?」
「忘れてるだけで、どこかで会ったんじゃない?自分の記憶力をあんま過信しない方がいいと思うよ」
「ぐぬ……!」
悔しいが言い返せない、と表情が語る。兄なりに自覚はあるんだな。
「でも、じゃあ、なんで成田が知らんぷりするんだよ?」
「だから本人から口止めされてるんじゃないのって」
「何のために?」
「知らないよそんなこと」
うざったい。少しは自分の頭で考えればいいのに。
「ぬおー!分からん!頭パンクしそうだから走ってくる!」
「はいはい、行ってらっしゃい。あっ、食器洗ってから行ってよ!?」
「帰ったらやる!今無理!」
はぁ。昔からこうだ。キャパオーバーになると何をしていても放り出して走りに行ってしまうのだ。
……本当に、チョコの主は何を考えてこの兄に惚れたんだろうか。私にはとても理解できない。
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