ひとりで生きたいわけじゃない

秋野小窓

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【2】事件、告白、旅立ち

2-1:城崎side

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 あれからまたカフェに通うようになった。青木からは意味深な視線を送られるけど、そんなものは無視だ。

 直居君とも1回会えたが、今までどおり一言二言雑談を交わし、すっかり元通りの関係に戻れている。
 自分の気持ちは自覚したが、だからと言って性急に口説くつもりもない。なんといっても彼女がいるみたいだし。今はただ、少しずつ仲を深められたらそれでよい。

 金曜の夜、20時過ぎに仕事を終える。今日は日中外出していたから、カフェには行けていなかった。

 ーー直居君、いるだろうか。夜行くのは初めてだが、せっかく早めに上がったし立ち寄ってみるか。
 会社から出て、歩いてすぐのカフェに向かう。と、途中で私用のスマホが震えた。

 誰だろう?知らない番号からの着信だ。

 もしかして!
 はやる気持ちで通話ボタンを押す。

「っ直居君!?」

 新しい番号から連絡が来るとしたら、最近の心当たりはたった一つだ。
 しかし、電話口から聞こえてきたのは別人の声だった。

「あの、直居の彼氏ですか?」

 若い男性の声。あ、ヤバい。もしかして浮気相手って男女問わず何人かいたりするのか……?

「彼氏ではないですが、なんでしょうか」

 努めて冷静に返す。相手は痺れを切らしたように、

「オレ、あいつの友達なんですが、今から言う場所に来てくれますか」

 早口で言う。こちらが返事をする前に、ビジネスホテルの名前を告げられた。
 なんでホテルに呼び出されなくちゃいけないんだ?

「あの、キミ……」
「早く!時間がないんです」

 切羽詰まった声に嫌な予感がする。事情は知らないが、直居君のことで何かあるのは間違いない。

「ーーわかった、すぐに向かう」
「着いたらこの番号に連絡ください」

 すぐに電話は切れた。
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