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3、狼に助けられた
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フワッと上質な手触りに歓喜の声を上げるのを必死に堪える。狼は舐めるの止めて大人しく目の前に座っている。頭、胸、背中を順に撫でる彼?彼女?は嫌がる仕草も無く、されるがままに身を任せてくれている。ゆっくり尻尾を揺らしているあたり心地いいのだろうか?時より目を細めていた。
「すごく綺麗な毛並みね、貴方は独り?とても人に慣れているようだけど、この辺に人の住む場所はあるのかな?」
動物相手にいつも独り言を呟く私にとって当たり前のように話かけていた。返答を期待している訳ではないけどなんとなく聞いてみてしまい、自分の言動に笑みを溢す。
「ふふっごめんねー何言ってるか分かんないよねーそれにしても本当に綺麗だねー」
『人里は山を二つ超えた所にある、オレはいま単独行動しているだけだ住処に戻れば仲間がいる―――人間の女、お前は何故この森で一人でいる』
「えっ山二つ!?そりゃ人の気配がまるでしないわけだ、狼で単独行動なんて珍しいね?私がひとりでいるのは・・・」
そこで私は言葉を無くす、目を大きく見開いて狼を凝視する。いま確かにこの狼から声が発せられた。私の問いに彼が(オレと言っていたので多分、オス)答えてくた、しかも人の言葉で―――
混乱して言葉を失っている私を余所に彼は怪訝そうな声で言った。
『女、ひとりでいる理由はなんだ?ここは人が滅多に立ち入らぬ森―――魔物が出たらどうするつもりだった?』
その言葉には僅かに咎めるような響きがあった、だがいまの彼女にとってそれに気づく余裕はない。
「きっきみ!しゃべっオオカミが喋って・・・えっ?えっ!」
震える声でなんとか言葉にしよとするが、言葉にならない。
『言葉が話せて当然だろうオレの種族は魔物の中で幻獣と呼ばれる高位種だ、幻獣を見たのは初めてなのか?オレを見て脅えていなかった―――意思の疎通が可能なことを知っていたからではないのか?
彼女は無言で首を激しく横に振る。
『知らずにいた?よく怯えて逃げださなかっものだな』
今度は狼が驚いたように目を見開く。
「普通の狼だと思ったから・・・もしかしたら見逃してもらえるかも?って・・・」
そう口にして落ち着きを取り戻したのか大きく息を吐き狼の目を真っ直ぐ見つめた。その瞳はどこか輝きに満ちているように見える、その瞳に狼は僅かにたじろいだ。
「あなたの名前を聞いてもいい?あっ私は蒼岸彰アキラって呼んでよろしく!」
そう言って彰は微笑んだ。その表情に狼は無意識に尾を揺らす。
『オレの名はヴァレリだ、よろしく頼むアキラ』
お互いの自己紹介が済んでニコニコと嬉しそうにする彰にヴァレリは何がそんなに嬉しいんだろうと不思議なものを見るような目で彰を見る。
狼と喋れることが嬉しくてついヴァレリをじっと見ていた、そうしたらヴァレリが不思議そうな目で私を見ながら首を傾げるものだから脳内で悶絶した。咄嗟に発狂するのを我慢した私を褒めて欲しい。
「すごく綺麗な毛並みね、貴方は独り?とても人に慣れているようだけど、この辺に人の住む場所はあるのかな?」
動物相手にいつも独り言を呟く私にとって当たり前のように話かけていた。返答を期待している訳ではないけどなんとなく聞いてみてしまい、自分の言動に笑みを溢す。
「ふふっごめんねー何言ってるか分かんないよねーそれにしても本当に綺麗だねー」
『人里は山を二つ超えた所にある、オレはいま単独行動しているだけだ住処に戻れば仲間がいる―――人間の女、お前は何故この森で一人でいる』
「えっ山二つ!?そりゃ人の気配がまるでしないわけだ、狼で単独行動なんて珍しいね?私がひとりでいるのは・・・」
そこで私は言葉を無くす、目を大きく見開いて狼を凝視する。いま確かにこの狼から声が発せられた。私の問いに彼が(オレと言っていたので多分、オス)答えてくた、しかも人の言葉で―――
混乱して言葉を失っている私を余所に彼は怪訝そうな声で言った。
『女、ひとりでいる理由はなんだ?ここは人が滅多に立ち入らぬ森―――魔物が出たらどうするつもりだった?』
その言葉には僅かに咎めるような響きがあった、だがいまの彼女にとってそれに気づく余裕はない。
「きっきみ!しゃべっオオカミが喋って・・・えっ?えっ!」
震える声でなんとか言葉にしよとするが、言葉にならない。
『言葉が話せて当然だろうオレの種族は魔物の中で幻獣と呼ばれる高位種だ、幻獣を見たのは初めてなのか?オレを見て脅えていなかった―――意思の疎通が可能なことを知っていたからではないのか?
彼女は無言で首を激しく横に振る。
『知らずにいた?よく怯えて逃げださなかっものだな』
今度は狼が驚いたように目を見開く。
「普通の狼だと思ったから・・・もしかしたら見逃してもらえるかも?って・・・」
そう口にして落ち着きを取り戻したのか大きく息を吐き狼の目を真っ直ぐ見つめた。その瞳はどこか輝きに満ちているように見える、その瞳に狼は僅かにたじろいだ。
「あなたの名前を聞いてもいい?あっ私は蒼岸彰アキラって呼んでよろしく!」
そう言って彰は微笑んだ。その表情に狼は無意識に尾を揺らす。
『オレの名はヴァレリだ、よろしく頼むアキラ』
お互いの自己紹介が済んでニコニコと嬉しそうにする彰にヴァレリは何がそんなに嬉しいんだろうと不思議なものを見るような目で彰を見る。
狼と喋れることが嬉しくてついヴァレリをじっと見ていた、そうしたらヴァレリが不思議そうな目で私を見ながら首を傾げるものだから脳内で悶絶した。咄嗟に発狂するのを我慢した私を褒めて欲しい。
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