ハプロック神話

アンジェロ岩井

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第6章 ディスピアランス・サーガ

幻想液ーその②

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「君を狙おうとしたんだけれど……彼がボクの拳銃に気が付いたらしくてね……銃弾をモロに喰らったらしいね」
ドラはその言葉通りにその場でウウと蠢く。
「うわァァァ~」
アロはサンダースピリッツを出して雷の剣を出して、ヤンに飛びかかるが、それは謎の液体に跳ね飛ばされることによって失敗に終わる。
「うう」
アロは飛びかかった衝撃によって、跳ね飛ばされて、また勢いよく尻餅をつく。
「これで終わりだよ」
ヤンは拳銃の銃口をアロに向ける。
「そうはさせねぇ !」
イーサカは背後から風の魔人を召喚すると、ヤンに複数の風を飛ばす。
「やれやれだよ、随分と小賢しい真似をするじゃあないか」
ヤンは再び液体を身に纏うと、イーサカに向かってその液体を数滴飛ばす。
「やれやれ、小賢しいのはお前の方なんじゃあないのか」
イーサカは風の魔人の拳を使って液体を跳ね除けたが、その瞬間に跳ね飛ばした左の方の拳に穴が開く。
「何ィィィィィ~~信じられねぇ……おれの自慢のガードゴーストの拳に穴を開けさせるなんて……」
イーサカは呆気に取られたように口を大きく開ける。
「歴戦戦士ともあろうものが、随分と弱腰ですね……そうか、あまりガードゴーストを使っていなかったせいか !」
ヤンは呑気そうに右手をグーに左手をパーにしてそれをくっ付けて音を鳴らす。
「やれやれ、お前のニヤケ面を消すには充分過ぎるほどのパワーはあると思うがな」
「なら、やってみて下さいよ……最もボクを殺せるかどうかはあなたの努力次第ですけれどね」
「てめぇを早くブッ殺さないと、ドラの治療が出来ないんでなッ!」
イーサカは自身の自慢のガードゴーストースティールウィンドゥを構え、ヤンの方向に進んで行く。
「甘いよ、ボクを殺すためにゴリラみたいに拳を連打すればいいってものでもない……」
その瞬間にヤンの体にツタが巻きつく。
「何だって……ぼくの体にツタが……」
ヤンは思わず冷や汗を垂らす。この状態では、仮に自分のガードゴーストから液体を飛ばせたとしても拘束されているという事実だけは変わらないためである。
「やれやれだよ、どうしてぼくがこんな目に……」
「さてと……これからそのツタでお前を圧迫させて殺すかもしれんが……お前への慈悲なんてもんは一向に湧かねぇ……ドラを背後から撃ったお前だけにはなッ!」
イーサカがツタでヤンを絞め殺そうとした時だった。ヤンは再び自分の体に液体を身に纏ったのだ。
「何……だと……」
イーサカは思わず首の後ろをこする。その液体でヤンが何をするのかが、全く持って意味が分からなかったためである。
「君はぼくを甘く見過ぎだ……」
ヤンがそう呟くと、ツタがヤンの体から離れる。
「何だと……」
「ぼくはの殺し屋だぜ……」
ヤンはイーサカに拳銃を向けた。
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