ハプロック神話

アンジェロ岩井

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第3章「ホリィ・ソルジャーズ」

第139話「ハンプティダンプティーその6」

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そう笑っていた、イーサカとは正反対にスティーブンは苦々しい表情を浮かべていた。
「くそう、ヤングが動くとはな…だがまぁいいさ、3人まとめて始末してやるさ、貴様とイーサカとメアリーを始末したら後は非力な老人とガードゴーストを持っていない医者だけだ…簡単なことさ、直ぐに始末してやるぜ」
スティーブンが苦しそうな笑みを浮かべた後にイーサカは気持ちの良い笑みを浮かべてこう言った。
「いいや、てめえはこのまま俺たちにやられるのさ、そうスティールウィンドゥとデビルカウとネックレスショットガンの前に敗れるんだよ…」
イーサカは懐を襲っていたハンプティダンプティの一匹を払いながら言った。
「ふん、勝てるものか…僕のガードゴーストは最強なんだ!この無限に湧き出るハンプティダンプティを倒せるものか!」
そう言って襲い掛かってこようとした、スティーブンを倒そうとしたヤングとイーサカをメアリーが手で止める素振りを見せた。
「おい、何をすんだ…こいつはおれ達で倒すんだぜ」
そう言うイーサカにメアリーはこう告げた。
「いいや、この人はあたしが倒すわ…だって彼はあたしなんですもの…彼は昔のあたしよ、そう誰からも愛されずに過ごしたあたしに…」
そう真剣な表情を見せたメアリーにイーサカとヤングは押し黙った。
「……いいだろう、てめえがやりな、メアリー…てめえが過去の自分と決別するためにな…」
メアリーは、黙って頷くとネックレスショットガンをスティーブンに向けた。
「ふん、君にできるもんか…君みたいな非力な女の子に僕を殺せるものか…」
スティーブンの言葉にメアリーは、静かに答えた。
「いいえ、あなたはあたしなのよ…誰からも愛されなかったあたしよ」
その言葉に逆上したのか、スティーブンは大量のハンプティダンプティを一気にメアリーに向けた。
「君が僕だと…ふざけんじゃあない!君と僕は絶対に違う人間なんだよぉぉぉぉぉ~~!」
だがメアリーはその激昂の言葉に動揺することなく黙々とショットガンを発砲した。ショットガンの弾はスティーブンの足に当たった。
「ぐっ、おっ…のれ…」
そう言うとスティーブンは、足の痛みに耐えられなかったのかその場に崩れ落ちた。それを見たメアリーは涙を流した。
「終わったわ…あたしの過去と…そして…孤独を嘆くだけの何もしないあたしに…」
そう言っているとスティーブンがニヤリと笑い、再びメアリーに向かってハンプティダンプティを出した。
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