ハプロック神話

アンジェロ岩井

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第3章「ホリィ・ソルジャーズ」

第143話「ライフ・オブ・キッスーその3」

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「…ッく何だ!どうして木がおれの腕を拘束しているんだ!」
だがヤングがそう叫んでも答えは返ってこなかった。その間にもさっきヤングが砕いたのとは別の岩がヤングを狙ってやって来た。
「ばっ、馬鹿な!どうしてこんなにもガードゴーストが操れんだ…ガードゴーストは一つしか契約できないはずだ!」
だがヤングが叫んでも、それを聞く人はいなかった。そう叫んでいる間にも動く岩は木に拘束されているヤングに向かって寄って来た。
「ちくしょう!…やられちまうのか、おれは…おれは…」
ヤングがやられると焦っていると、その岩は何かいや何かではない、そう動く岩を壊したのはショットガンの弾だった。
「遅いから、見に来て見たら…やはり敵に襲われてたのね兄さん?」
メアリーだ…メアリーが中々返ってこない自分を心配してこんなところにまで来てくれたのだ…そう考えているとメアリーは、自身を拘束している木に向けてショットガンを向けた。
「そいつね?そいつが今兄さんを襲っている敵なのね?」
ヤングは、妹の疑問に素早く答えた。
「勿論その通りさ、あいつだよ!あいつが今おれを襲っている敵だよ!」
ヤングの力一杯の回答にメアリーはコクリと頷くとショットガンをヤングに向けた。
「わかったわ、ならそいつを吹っ飛ばすわ、あたしのガードゴーストで」
だがその回答にヤングは少し冷や汗を垂らした、そして自身が汗を掻いた理由を妹に説明した。
「なぁ、メアリー~来てくれたのはありがたいぜ、感謝してるよ、うん…だがこのままお前がネックレスショットガンをぶっ放したらオレまで吹っ飛んじまうんだがよぉ~」
メアリーは、ハァとため息を吐いた。
「確かにね、あたしが冷静じゃあなかったわ…わかったわ、この状況下であたしはどうしたらいいかしら?」
ヤングは、自身が今思い付いた名案を話した。
「イーサカだよッ、イーサカを読んできてくれ!あいつなら無敵の風で木だけを飛ばしてくれるはずさ…頼むぜ!」
メアリーは、わかったわと答えるとイーサカのテントに向かって走り出したが、だがメアリーはコケた。
「痛た…どうしてこんなところに不自然に小石が落ちているのかしら?転んでしまったじゃあない!」
メアリーがそう叫んでいると、小石が動き出した。
「どうして…どうして小石が動くのよおォォォォォ~」
メアリーは、あまりの不自然な小石に思わず叫んでしまった。そうしていると林の中から声が聞こえた。
「ふふ、おどろいたかしら?生き物が動くのはみんな私のガードゴーストの能力のせいよ」
そう説明したのは、今ジャッカルと同じテントで寝ている筈のポワカだった。

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