ハプロック神話

アンジェロ岩井

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第3章「ホリィ・ソルジャーズ」

第146話「ライフ・オブ・キッスーその6」

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イーサカは勝ち誇ったような表情を浮かべた。
「おれも拘束する気か?やってみな…ちと体が鈍っていたんだ」
イーサカは拘束することはできんとばかりにスティールウィンドゥを出した。
「なっ、舐めてんじゃあないわよ!拘束するわ!」
そう言うとポワカは、デビルカウを拘束していた、木を解きそれをイーサカに向けた。
「ウラァ!」
そう叫ぶとスティールウィンドゥから風を出して遠距離から木を粉々に砕いた。
「ばっ、馬鹿な!こんな遠距離から!」
そう叫んでいるとイーサカがスタスタと近づいて来た。
「もう終わりか?なら今度はこっちからやらせてもらうぜ…」
その言葉にポワカは焦ったのか、ヤングとメアリーを拘束していた木と水の塊を解きそれをイーサカに向けた。
「どうこれは!この水の塊と木を倒すことができるかしら?」
イーサカは溜息を吐きながら言った。
「いいだろう…やってみな…」
そう言うとイーサカはスティールウィンドゥでまず木を砕きそして水を弾き飛ばした。
「どうした、これで終わりか?」
ポワカはぐっと歯ぎしりした後に、自身の天使のような姿をしたガードゴーストを出して、そのガードゴーストに後ろの岩にキスをさせてそれに生命を吹き込ませイーサカに襲わせた。だがイーサカにはそんな事は無意味だった。イーサカはスティールウィンドゥで向かってきた岩を破壊した。
「やれやれ、もう打つ手がないってことか?」
イーサカは近づき風を出してポワカを引き寄せた。
「さてと…てめえにはJ・KのことやそしてJ・Kが新たに得たという能力のことを喋ってもらわねぇと…」
イーサカがそう言っているとポワカが突如倒れた。
「てっ、てめえ…どうして刃物を胸に突き刺しているんだ!?」
イーサカがそう言っているとポワカは苦しそうな表情を浮かべながら答えた。
「ハァハァ…喋るわけにはいかないわ…私がJ・Kを裏切るわけにはいかないもの…あなた達の手にかかればきっとどんなことをしてでも私に話させるでしょうね…だから…だからわたしはこういう事をしたのよ…最後に言うわ…一族を…ハプロック族を裏切ってごめんなさい…でもわたしはJ・Kに恋をしたの…彼は孤独だった私に光を与えてくれたの…あの人は私の救世主であり、愛する人でもあるの…後悔はしていないわ…」
ポワカはそう言い終わると息を引き取った。イーサカは彼女の死を見届けるとヤングとメアリーにイーグルを呼んでくるように言った。そしてその後に一人で呟いた。
「人をここまで盲目的に従わせるJ・Kとは一体どんな人物なんだ…」
イーサカは、彼女の墓を作りその場を去り気絶しているジャッカルを起こしに行った。
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