ハプロック神話

アンジェロ岩井

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第3章「ホリィ・ソルジャーズ」

第163話「コロッセオーその2」

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コチーズが何故追ったのかというと、やはりあの年であれだけ笑えるのは少しおかしい、それにロビーにあったテレビにも面白い要素があるとは思えなかった。パントマイムをしている人もいなかったし、雑誌を読んで笑っていたのだと解釈しても、あの老人はそんなものを読んでいなかった、雑誌を読んでいたと解釈するのは少し無理がある、となると…考えたくはなかったが、あの老人は入院中の自分を襲いに来たガードゴースト所持者ではないか…そう考えると色々と辻褄があった。ともかく追わなければ…そう考えていると巨大な剣を地面に突き刺している先程の老人が見えた。やはり異常だ…コチーズは思わず老人に詰め寄ろうとした。
「一体何をしようとしているんです!!こんな所に剣を突き刺したして!あなたもしかしてガードゴースト所持者ですか!?」
老人はその通りと言わんばかりの笑みを浮かべた。
「ほぉ~この能力は『ガードゴースト』というのか?なるほど主人を守る守護精霊だからガードゴーストか、中々いいネーミングセンスじゃあないか、うんワシは気に入ったぞい」
コチーズは呆気に取られた、何かがおかしい、そう感じずにはいられなかった。普通の刺客ならガードゴーストという名称のことなんか知っているに違いない、一体何者なんだこいつはと考えていると、その肝心の老人の元に吸い寄せられてしまった。
「こっ、これは一体どういうことなんだ!!」
コチーズが叫んでいると、テッドがわざわざ自身の能力を解説してくれた。
「ふっふっ、わしは殺し合いの場所を作り、そこに人を二人おびき寄せるそして、どちらかが死ぬまでは出ることができん、まさに無敵の能力じゃあ」
その言葉の通りにコチーズの他に若い看護師の女性がこのコロッセオに引っ張られていた。
「はっ、ここは何処なの?あたしは確か仕事を終えて帰ろうとして…」
その女性の疑問に答えるべく、テッドは大声を出して答えた。
「ふっふっ、ようこそお嬢さん!仕事帰りの所悪いが、あんたにはその男を殺さんとここから出られないんじゃよ、悪いのぉ~」
それを聞くと女性は激昂してここから出て行こうとした。
「ふざけないで!あたしにも事情があるのよ、帰らせてもらうわ!!」
だが女性は見えない壁の様な物に弾き飛ばされてしまった。
「きゃあ!どうして外に出れないのよ!?」
その女性の悲鳴を聞くとテッドは口元を歪めた。
「だから言ったじゃろう?あのインディアンの男を殺さんとあんたは外に出ることができないんじゃ」
何て卑劣な奴だろう…コチーズは怒りに燃えていた。そして気づいたらいつの間にか自身のガードゴーストであるミスターサンドマンを出していた。
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