ハプロック神話

アンジェロ岩井

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第3章「ホリィ・ソルジャーズ」

第191話「子供の世界ーその6」

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アンソニーは、それを聞くとコチーズの方に向かうのをやめてヤングの方へと向かって来た。アンソニーは頭ではコチーズを始末しなければならないことは分かっていた。だがJ・Kをあんな風に侮辱されて怒らずにはいられなかった。
「…貴様がオレに何をしようがそんなことはおれの関知するところではない…だが…だが、貴様の汚らわしい舌であのお方を侮辱するのだけは絶対に許さん!おれは貴様の様な奴に愚弄されるようなお方に使えたのではない!」
アンソニーはそう叫ぶと近くにある破片を全て浮かべてそれをヤングに向けて発射した。破片はまるで雨のようにヤングに降り注いだ。
「うげっ、ぐふ!がはッ」
ただでさえ弱っていたヤングの体は口から血を流すまでの重症を負ってしまったのだ。ヤングは死んだのかそれとも意識を失ったのかその場に倒れ込んだ。だがアンソニーはヤングに近付き倒れているヤングの体に向かって蹴りを浴びせた。
「死ねッ!今死ね!J・Kを侮辱したクズめッ!貴様なんぞには生きている資格なんかないッ!死ねッ!死んでしまえ!どうだッ!」
アンソニーが、ようやく蹴るのをやめるとヤングはその場で蛆虫のように倒れているだけであった。
「どうだッ!もう死んだだろう?それともまだ生きているのか…生きているなのなら…私が直々にトドメを刺す…ガードゴーストを使わずになッ!」
そうしているとアンソニーの左腕をある拳が破壊していた。アンソニーはその拳の主を見るとそれはコチーズだった。【恐らくヤングに夢中になっているうちに自分を攻撃したのだろう…しかしあの怪我で動けるとな…】アンソニーが思っていると拳は自身の左腕を攻撃しただけでは飽き足らずに今度は自分の胴体をも破壊しようとしていたのだ。だがアンソニーはチルドレン・ザ・ワールドでそれを防ぐとコチーズを再び空中に停止させた。
「後…後一歩だったのに…」
「ふん、私が何度も同じ手に引っかかるほどマヌケだと思ったのか?嬲りゴロシにしてやる…わたしとJ・Kを侮辱したものは絶対に許さんッ!」
アンソニーは、そう言うと先程ヤングにブツけた破片の無事な物を空中に浮かばせてそれをコチーズにぶつけよとした。だがアンソニーはこう考えた。【どうせ殺すのなら、ジワジワと嬲り殺した方が面白いと…】それを実行するために、アンソニーはコチーズの両腕を自由にした。
「どうして、僕の腕を戻したッ!」
「…決まっているだろうが、貴様に反撃のチャンスを与えるためだ…私は嘘は言わん、疑うんだったらそのまま掛かってこい…」
アンソニーは、両腕を動かせて嬉しそうにしているコチーズを見てニヤリと笑った。と言うのも奴を残酷に殺すためには少し希望を持たせた方がいいだろうと考えたためである。
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