ハプロック神話

アンジェロ岩井

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第3章「ホリィ・ソルジャーズ」

第194話「カールの記憶ーその2」

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イーサカは屋根の上で微笑を浮かべているカールに向かって叫んだ。
「おい!そんな所に突っ立ってねぇで!こっちに降りてきなッ!タップリと礼をしてやるからよ!」
だがカールは、相変わらず微笑を浮かべたままであった。
「ヘラヘラと笑ってねぇで降りて来いって言っているんだぜ!さっさと降りこいよ!」
それを聞いた後にカールは微笑を浮かべるのをやめて、イーサカの怒鳴り声に静かに答えた。
「…何故私が貴様の下に降りて来なければならんのだ…私は降りんぞ…どうしても降ろしたいのなら自分でやってみろよ、イーサカ?」
イーサカは、それを聞くと眉間の額を寄せながらイーサカはカールにジャンプをした後に風で勢いを付けてカールに近づこうとした。だが近づけなかった。いや何か妙な圧力を感じて近づけなかったのだ。
「…どうして、おれは…飛んだはずなのに、この場に居るんだッ!」
「…ふふ、イーサカつまり貴様はおれのことを無意識に恐怖してそれで引いたのだろう?」
「…違う、オレは妙な圧力を感じたから近づけなかっただけなんだッ!」
カールはそれを聞くと、ふふと笑いを浮かべた。
「違うな、貴様は無意識に私のことを恐れたのだ、だから自分に都合の良い言い訳を考えて自分や仲間を納得させているだけだ!」
イーサカはゴクリと唾を飲んだ。
「イーサカ…こう考えたことはないかな?『世界はどうしてこう理不尽なことに満ち溢れるているのだ』とな…考えても見ろよイーサカ?白人どもは自分が勝手にアフリカから連れてきた黒人を差別し、更には貴様らハプロック族を始めとするインディアンをも差別する…それなのに奴らは『愛は大事だの』『神を囲む家族』だのそんなことを言っているのだ…だから私はこの世界をリセットする…ガードゴースト所持者のみが生き残る世界をな…」
イーサカはある事を考えた。奴の言うことは正論だと…だがここでもう一つさっきイーサカが考えていたのとは正反対の考えである、そう屈服してはいけないそう考えると、カールが求めていた答えとは正反対の事を言った。
「くどいぜ、おれはそんな言葉に騙されたりはしねぇ!それにここでてめえに屈服したら死んだジャッカルや、おれ達にてめえを倒すのを任せてくれたコチーズとヤングに申し訳が立たねぇ!だからせめて死ぬんだったらてめえの第二の能力を見抜いてから死んでやるぜ!」
カールは、残念そうな顔をした後に嬉しそうな表情を見せた。
「…なら、死んでしまえ!イーサカ!お前にその世界に行く資格はない!」
カールは、1799年から今の今まで自分と契約してきたガードゴースト『ザ・メカニック』を出した。
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