ハプロック神話

アンジェロ岩井

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第3章「ホリィ・ソルジャーズ」

第208話「カールの記憶ーその16」

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カールは、イーサカの性格を見越した上でこの非道な計画を実施したのだ。カールの予想は当たった。イーサカは今背中に大怪我を負ったのだ。
「ふふ、イーサカ、貴様もお人好しだなぁ~そんなガキ見逃せば良かったのにな、貴様もカレタカも…カレタカもオレを庇わなければ死ななかったのにな…」
カールは、一瞬悲しそうな顔を見せたが、すぐに顔を先程の冷徹な顔に戻した。
「さてと…貴様には死んでもらおうか!イーサカッ!ブラッディメモリーッ!」
カールは、第二の能力でイーサカを仕留めようとした。だがイーサカは一瞬にしてツタをカールに巻きつけることで、それを封じた。
「ぐっ!やはり貴様…スティールウィンドゥ以外の能力も使えるなッ!それを知りながら私に隠していたのか…」
イーサカは、その質問に答えることはなかった。するとナイフが飛んで来たのだ…
「何ィ!私のナイフだとッ!」
カールは、一瞬焦った表情を見せたが、すぐに落ち着きを取り戻してナイフを消した。
「…ナイフを消しやがったのか」
「私のガードゴーストだ…消せないだろう?それよりイーサカ貴様…」
カールは、一息ついた後に本題を尋ねた。
「何故背中にナイフが刺さったのに無事なのだ?」
だがイーサカは答えなかった。
「無視か…まぁいい、貴様を始末することには変わらないからな」
カールは、イーサカを追いかけた。
イーサカは、子供を抱えて逃げながらある事を考えていた。
【危なかったぜ、あの時にスティールウィンドゥで背中を守らなかったらおれは死ぬいや少なくとも重傷を負うことは確実だっただろう…危ない所だったぜ】
そう考えていると、イーサカは目の前にある孤児院に気がついた。イーサカは子供を降ろして目線を合わせてこう言った。
「すまなかったな、ボウズ…お前の両親を守れなくて…」
子供は下を向いたまま俯いていた。
「悪いが、おれはここで去る…後でおれの叔父の会社に取り計らってお前のことは保証する…本当にすまねえ」
イーサカが、その場を立ち去ろうとすると男の子に背後からある言葉をかけられた。
「…僕、大きくなったら騎兵隊になろうと思ってたけど…」
男の子は、大きな声でこう叫んだ。
「でも、考えが変わったんだ!僕大きくなったら、あなた達と過ごしたいんだ!」
イーサカは、黙ってその場を離れた。そして少年は、それを追う男を見つめていた。
イーサカは、後ろから追う男を凝視した。
【やれやれ、面倒くさい野郎だぜ…早え所カタをつけねえとな…】
イーサカが、そう考えているとカールがある恐ろしいことを考えていた。
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