ハプロック神話

第4章「美しき羽の蝶」

ブルーバタフライーその⑤

「おい！何オレらのリーダーをいやらしい目で見ていやがるッ！」
やれやれとイーサカはそのニキビ面のブサイクな青年を凝視した。その青年は体格だけは一人前であった。と…言うのも、まるで仕事をしている百姓のような格好であったからだ。イーサカがそうやって観察していると青年が更に突っかかった。
「おい！無視するんじゃあない！てめえ～別の組織の者かよ！」
そうして突っかかっている青年を更に背の高い青年が止めた。
「…いい加減しろ、マルク…そいつが何をしたのか知らないが…まずは詳しい話を聞こうじゃあないか…あんたもそれで異論はないな？」
イーサカはああと短く答えた。
「よし！いいだろう…まずお前はオレの女に何をしたッ！」
イーサカはその美しいブラウンの長い髪をした青年の疑問に答えた。
「…コイツが敵に襲われていたもんだからな…それをおれが手助けした」
「よしッ！次の質問だッ！貴様はどうしてクウニャウマに近づいたッ！」
「…調査のためさ」
調査？と青年は首を傾げた。
「ああ、コチーズからの直々の依頼でな…J・Kーカール・ジェームズの娘のことについて調べて来いとのお達しでな…研究資金のこともあるからオレは従兄弟の命令に従って来たわけさ」
青年は納得したらしくその美しいロングの髪を指でなぞっていた。だが金髪の小柄な美青年は納得しなかったらしくイーサカの近くにあったテーブルを思いっきり叩いた。
「そんなことを言って！J・Kを始末しに来たんだッ！」
テーブルを叩いた青年を別のブラウンの短い髪をした青年が窘めた。
「まぁまぁ落ち着けよ…この人がJ・Kを始末にしに来たんだったらとっくに何かやっている筈だろう？俺たちが来る前にさ…」
「…フレーゲルの言う通りだ、その人は調査に来ただけだ…エドガーお前の言う通りならとっくにわたしはヴァルハラに旅立っていたな」
クウニャウマは自虐的に微笑んだ。
「分かった！俺たちは全員お前を敵じゃないと見なそうじゃあないか！だがもしオレたちのリーダーJ・Kに手を出したら殺すより酷い目に合わせてやるからなッ！」
全員…特に長いブラウンの青年はとびきりドスが聞いていた。イーサカはその脅しに苦笑するばかりであった。それと同時にあることをリーダーである美しい女に指摘した。
「…どうでもいいがよ、エックのこと忘れてないか？」
その言葉にクウニャウマはハッと息を呑んだ。
「そうだ…忘れていた！早く救急車を！」
イーサカは彼女の行動にやれやれと呆れた独り言を呟いた。