ハプロック神話

アンジェロ岩井

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第4章「美しき羽の蝶」

ジャイアントーその④

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フレーゲルは自分の頭が咄嗟に相手の足にへばり付くなんて考えに至ったことに対して感謝した。何故かというと咄嗟に足の脛にへばり付くなんて事を考えなければ、自分は相手の足に踏み潰されて死んでしまったかもしれなかったからだ。
「クソッ!放せッ!」
セバスティアンはフレーゲルを引き離さんと足を懸命に振っていた。
「へっ、離すもんかよ…このままてめえの足に大怪我喰らわさせてやるぜ!」
フレーゲルは騎士の槍を相手の足に思いっきり突き刺した。
「ウグッ!中々痛いことをしてくれるじゃあねぇか!これが目ん玉だったらと思うとゾッとするぜ…やはり足と腕だけにしといて正解だったな」
セバスティアンはそう言うと足と腕を元のサイズに戻したためにイーサカとフレーゲルは放り出された。
「グッ!あのヤロー手荒く放り投げやがって…オレとイーサカが死んでしまったらどうすんだよ!」
イーサカはフレーゲルの渾身のギャグに思わずクスリと笑ってしまった。何故これが渾身のギャグかと言うとJ・Kことクウニャウマ・ジェームズからギャングの世界は命の取り合いだと聞いていたからだ。その事をフレーゲルが知らないわけがあるまい、だから死んだらどうすんだと言う言葉に笑ってしまったのだ。
「てめえ~何笑ってんだよぉ~まぁいいぜ、オレはこれからお前を病院に連れて行くけどいいよな?」
「…その必要はないぜ、コレを見て見な」
イーサカは胸ポケットからさっき拾った空き缶を取り出した。
「成る程ぉ~それで衝撃を防いだって訳かぁ~まるで防弾チョッキで銃弾を防ぐみたいに、あの野郎のパンチの衝撃をそれで防いだって訳かぁ、あの時お前が缶を拾わなかったら暫くリタイアになってたな」
フレーゲルはイーサカが無事だったことに安堵したのか、満面の笑みでそう言った。
「あぁ、それよりどうする?あの野郎がJ・Kの元に行ってしまったらどうすんだ?ヤバイことになっちまうぜ」
「大変だぁ~早くJ・Kに知らせねぇとよぉ~」
フレーゲルが慌てふためいていた。
「…なら、お前が行きな…適任ってもんだぜ、オレがまた襲ってくるである奴を迎え撃つぜ!」
「…いいや、J・Kにはあんたが伝えてくれよぉ~奴はオレがブッ殺してやる!さっきオレをビビらせた制裁を受けさせねぇと気が済まねぇよ!」
フレーゲルのその意見をイーサカは逞しいと思ったが、やはりフレーゲルのガードゴーストの力では力量不足だと考えてその意見を突っぱねた。
「だめだ…やはりここはオレが足止めをしねぇと」
「何言ってんだよ!ここは俺が奴を迎え撃って…」
フレーゲルがそこまで言ったところで向かい側から迫ってくる巨大な手がイーサカを狙っている事を察してフレーゲルは気づいていないイーサカを突き飛ばして迫ってくる腕を攻撃した。
「来い!オレが相手してやるぜ!」
騎士の槍を相手に向けるフレーゲルを見てイーサカは何も言わずにJ・Kことクウニャウマ・ジェームズの場所へと走っていった。
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