魔法刑事たちの事件簿

アンジェロ岩井

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第一部 『白籠町のアンタッチャブル (決して触れられないもの達)』

第十二話 白籠駅騒乱ーその①

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白籠市での滞在を終え、竜堂寺清太郎は地元の神戸へと帰還しようとしていた。
「では、折原さん。聡子を立派な警察官へと育て上げてくださいね」
「勿論ですわ、わたし達にとっても、大事な仲間ですし……」
絵里子のその言葉を聞くなり、清太郎は安堵の表情を浮かべていた。
「では、失礼致しま……」
と、ここで銃声が鳴り響く。
一瞬。ほんの一瞬の出来事出であった。竜堂寺清太郎は背後からの銃弾により倒れてしまう。
彼の手下も絵里子たちも慌てて駆け寄ってくるが、もはや何の意味もないことを悟った。清太郎は腹を撃たれてしまったのだから。
また、この銃撃事件は奇襲とも呼ばれる事件とも言えるもので、周りに彼を守るように固まっていた部下たちでさえも、周りの人間の隙間を縫って彼に銃弾が当たるなど考えもしないだろう。
「組長! しっかりしてくだせぇ! 」
部下の一人が声をかけたものの、清太郎は唸り声を上げるばかりだった。
そんな清太郎を突き飛ばさんばかりの勢いで向かってくるのは、あの石井聡子であった。
「父さァァァァ~~ンンンンンンん~~!!! 」
もはや、そこに他人行儀も気まずさもない。銃により撃たれた父親を心配する娘の顔そのものだ。
「いや、死んじゃあイヤよ! お願い、父さん目を開けて! 」
うずくまっている父親を心配していると、何と駅の全てのシャッターが閉められる音がした。
「どういう事だ!?重病人がいるんだぞ! 一刻も早く救急車を呼ぶべきなんじゃあないのか!?どうして、シャッターを閉める!?」
叫ぶように尋ねる孝太郎の声に答えたのは、動揺する大衆の中で唯一平静を保っていたとも思われる男。
「くっくっ、残念だが、そうはいかねえぜ、お前らはここに完璧に閉じ込められたんだ。そう、組長の作戦でなッ!」
すると、彼は武器保存ワーペン・セーブを使い、そこから45口径のオート拳銃を向ける。
「お前らは、おしまいなんだよ、覚悟しなッ!」
男の声に眉を寄せて険しい表情を浮かべたのは、白籠市のアンタッチャブルの参謀役とも言える中村孝太郎。
「お前らはクズだということはすぐに分かったよ、そして思った……」
孝太郎は男と同じ魔法を使い、ポンプ式のショットガンを取り出し、それを持った後には、それを片手で軽々しく持ち上げると、その銃口を男に向ける。
「お前らは片付けるのにはこれが一番だとなッ!」
孝太郎は武器保存ワーペン・セーブから、ポンプ式のショットガンを取り出し、瞬時に構え、その銃口を男に向ける。
「お前はオート拳銃……オレはショットガン……どちらが強いか尋ねてみるか?」
「上等だぜ、クソガキが……」
男が45口径のオート拳銃の引き金に手を当てようとした時。
「うっ、なんだ……」
突然、男の拳銃が孝太郎の方に向かって吸い寄せられていく。
「何がどうなっていやがる!?」
「オレの魔法さ、オレの魔法は強力な上級魔法でね、しかも空間を破壊するという優れものさ……お前の拳銃までの空間を破壊し、拳銃を吸い寄せたんだッ!」
「成る程ね、くっくっ……」
男は額に手を当てて大笑いとも例えられる笑いを浮かべ終えると、すぐに孝太郎をサメのように鋭い目で睨みつける。
「悪かったよ、魔法師相手に銃で戦おうなんて、考えが浅はかだったな、見せてやるよ、オレの魔法をッ!」
男は空中から一本のヨーヨーを取り出す。
「それが魔法だといいたいのか?」
孝太郎は相手の男がふざけているのかと勘違いしたが。
「いいや、お前さんはオレを阿呆か何かだと思っているようだがなッ!それは勝手な判断というものさッ!オレの真価はこの魔法により発揮されるのさッ!」
男は清太郎の近くにいた孝太郎のいる場所まで、一気に距離を詰め上げると、ヨーヨーを放つ。
孝太郎はヨーヨーを難なく避けたのだが、孝太郎の避けたヨーヨーは駅の柱にぶつかり、柱に損害を与えた。ヒビが入るくらいに。
「どうだ?これがお前の頭に当たると思うと怖いだろ?」
「いいや、近づいて攻撃してきたのは、お前さんの運の尽きだったな」
孝太郎は右手を思いっきり横に振り、男までの僅かな距離を破壊し、自分の元へとすい寄せる。
「どうだ、これでお前さんを捕まえたぜ、ヨーヨーの力とやらも大したことは無かったようだな)
孝太郎の言葉に、男は苦虫を噛み潰していたようだが。
駅の正面の扉が破壊される音と共に、男はすぐに苦虫を噛み潰したような顔を笑顔に変えた。
「お前らはもう終わりなんだよ、今、来たのは、組長と全ての組員さッ!厄介なポリ公と鬱陶しい別の組織のヤクザのボスを始末するために、最初から考えていた計画だそうだぜッ!」
男の言葉に孝太郎はしまったと握り拳を宙に空振りさせる。
「孝ちゃん! あたしも参戦していいかしら!?」
「お前が!?」
孝太郎は今、現在瀕死の清太郎の面倒を見ている絵里子の言葉に思わず二度聞きする。
「確かに言ったわよ、清太郎さんの怪我は大丈夫よ、あたしの魔法は病気でも怪我でも致命傷でない限りは治せるのよ! 」
孝太郎は我が孫ながら、頼もしい存在だと考えざるを得ない。
幼い頃はただのわんぱくな女の子だと思っていた姉が、今では立派な連邦捜査官だ。孝太郎はそんな姉を誇りに思った。
「ナイス! ナイス判断さ絵里子! 」
孝太郎は親指を立てて笑ってみせる。
「ありがとう! なら、あたしも全力を出して頑張るわ! 」
絵里子は駅の正面から新たに突入してくるメンバーと乗客に扮していた(この駅に入ってからの乗客は全て、刈谷の手下だったのだ)メンバー相手に絵里子は武器保存ワーペン・セーブを使用し、空中からスコーピオン機関銃を取り出し、それを手に持ち、ワザと体を滑らせ、自分たちに迫ってくるヤクザの足元に銃弾を撃ちまくる。
ヤクザたちは足を撃たれた痛みと衝撃から、次々とバランスを崩し、倒れていく。
「やったわね! あとは刈谷阿里耶を倒すだけかしら……」
そんな絵里子の側にナイフが投げられる。
「なっ、一体何者なの!?」
絵里子の問いかけに答えるように、それまで革靴ばかりだった足音の中から、ハイヒールの足音が自分の方に向かってくるのを聞く。
「もしかして……」
「察しがいいわね、久方彩香よ、あんたをこの場で始末してあげてもいいんだけれど……向こうに行きましょう?」
そんな彼女が指差すのは、駅の奥の方。つまり、駅構内のデパートに繋がる場所。
「仲間と孤立させたいみたいね、いいわ、付いて行くわよ! 」
絵里子は空中を飛んでいく彩香を追ってデパートの奥へと消えて行く。


孝太郎は男から何かを尋問しようとしていたが。
「ぐっ、グゥゥゥゥゥゥ~~! 」
突然、男が胸を押さえて死んだのだ。
「何がどうなっている!?」
孝太郎が目を丸くしていると。
「オレがやったんだよ、次はお前だよ、坊やの分際で、生意気にもヤクザの商売に首を突っ込んだ愚かな坊や……」
「お前が、刈谷阿里耶だな?」
孝太郎の再確認に、阿里耶は口元を緩めてから……。
「そうだよ、とにかくここじゃあやりにくててしょうがねえ、駅の奥の方へ来いや」
孝太郎は勝負を付けるためにも、罠だと分かっていながら、この美しい男に従って、駅の奥へと消えて行く。
孝太郎は決着を付ける時が来たなと腹を括った。
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