魔法刑事たちの事件簿

アンジェロ岩井

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ジャパニーズコネクション編

オメルタ(血の掟)ーその④

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サルは歯をギリギリと食いしばる。
あの日本人の警官も強いのだが、サルが何よりも恐れのはトニー・クレメンテからの報復である。これまでもトニーを裏切った依頼人は何人もあったそうだが、ことごとくトニーに殺されたそうだ。それだけ、トニーは恐ろしい男なのだ。あの魔法と悪魔なような射撃技術に敵うものは一人もいない。
「ふふふ、良かった待っていたよ……我々ボルジア・ファミリーはキミを歓迎するよ……火を点けたのもキミが戦いやすいようにするためだったんだよ! キミだって戦うのなら、有利な方がいいだろ?」
サルは懸命に言い訳と命乞いをかけた言葉を繰り返すが、トニーには何の意味もないようで、見下すような冷ややかな目でサルを見ていた。
「分かったよ、オレが悪かった……仲直りしようじゃあないか」
サルは頭を掻きながら、抜け足差し足で後ずさりするが。
「お前との契約は終了だ。部下に守られて、安全なところにでも行くんだな、行けたらの話だが……」
トニーはM16の銃口をサルに向けながら言う。
「悪かったとは思っているんだ……お願いだ。頼む! この通りだッ!」
サルは一生懸命に頭を下げるが、トニーは「言い残すことはそれだけか?」と冷たく言い放つ。
「くっ、話しても解ってもらえんのなら、いいッ!お前ら、オレを守るんだッ!」
その言葉に50名のファミリーの兵隊たちがサルを守るように囲む。
「鉄壁の守りを築いたつもりらしいな?まぁ、そんなものわたしには通用せんがね……」
トニーはファミリーの兵隊たちが銃を発砲するより前に、M16で兵隊たちを攻撃する。トニーの攻撃にサルを囲っていた兵隊たちは次々と倒れていく。
「うっ、うわァァァァァァァ~~!! もうダメだァァァ~~!! 」
列から逃げようとした兵隊の脚を孝太郎は撃ち抜く。
「お前らには後から聞きたい話があるんだ。悪いが、大人しくしててもらうぜ」
孝太郎の言葉に、兵隊は大人しく首を縦に動かすより他になかった。
「まぁ、一人くらいならばいいだろう……」
トニーはそれからも、M16とそれから新たに武器保存ワーペン・セーブから取り出した45口径のリボルバーを使い分けながら、兵隊の数を着々と減らしていく。気づいてみれば、50名はいたであろうファミリーの精兵たちがあっという間に15名近くにまで減っていた。
「まっ、まさか……ここまでの強さとは……」
「キミの魔法は強力なんだろ?どうだ、わたしとやってみないか?」
そのトニーの言葉に何かが吹っ切れたのか、サルは自分の右腕から大量の棘を放つ。
トニーはそれらを全てM16の銃尻で地面へと叩き落とす。
「それがキミの魔法かい?」
「その通りさ、これがわたしがドン・ボルジアより見初められた魔法……お前にはこれで死んでもらうぞ! 」
やけなのか、サルは引きつった笑顔を浮かべていたが、トニーの同情心を買うこともなく、ただあの棘は痛そうだなと思われただけだ。
「いくぞォォォォォォ~!!! 」
サルは棘を次々と放つが、トニーはそれらを軽々と避け、或いは先ほどと同様にM16の銃尻で棘を叩き落とす。
「確かにな、淳のやつが恐れるのも無理はない、あんな単純な魔法師じゃあ、この魔法は強力に思われ……」
そんな時だ。サルが武器保存ワーペンへ・セーブから、古い形のトンプソン機関銃(いわゆるシカゴタイプと呼ばれるタイプのものだ)を取り出す。
それから、その銃口をトニーに向ける。
(何をする気なんだ?わたしをアレで狙い撃ちする気なのか?)
だが、そのトニーの疑問は弾にくっ付いて撃たれる棘を見て、ようやく解決できた。アイツは弾に棘をくっ付けて、それを強力な武器として使っていたのだ。
しかも、シカゴタイプのトンプソン機関銃の弾倉に付けられている弾の数は恐らく呼びの弾倉を含めなければ、50発。
しかも、質より量のタイプで、一回に何発も出るから、その全てにやつの弾が込められている事になる。
「フフフフフ、おいトニーさん! オラァ、アンタを過大評価していたようだよ、お前さんはもっと強いと思っていたんだがね、アンタの強さはこの街のボスの刈谷淳と同じくらいなのかい?」
「いいや、キミはわたしを見くびり過ぎているようだね、武器保存ワーペン・セーブにわたしが保存しているのが、本当に武器だけかと思うのかい?」
「どういう事だァァァ~そりゃあ?」
次の瞬間にサルの目の前に灯油缶のようなものが投げつけられた。サルはこの缶で自分を攻撃するのかと勘違いし、攻撃したのだが。
「うわッ!液体が、オレの体に……」
なんと、棘で破壊した缶から液体が溢れ出て、自分の体にべと付いてしまったのだ。サルは気持ち悪くなり、その場から何としてでも逃げ出そうとするが。
「くっくっ、マンマとわたしの罠にハマってしまったようだね、これは何かな?」
トニーは火の点いたマッチを見せる。
「それがどうしたんだよ?」
「いいや、今わたしがキミに投げ付けたのは、でね……それから、さっきの缶をご覧?」
トニーの言われた通りに、サルはガソリンを見てみる。と、そこには。
「なっ、オレの空けた穴以外にも、一つ小さな穴が空いているだとォォォォォォ~!! 」
「よく気付いたね、偉いよ、そしてそのガソリンはちょうど燃えている屋敷の近くにまで続いている……そこで、わたしが火の点いたマッチをガソリンに落としたら、どうなるかな?」
その言葉に、サルは青ざめて、やめてくれと叫ぶ。その言葉にトニーは笑いながら。
「もう、遅いよ、キミの人生はチェックメイトだ……」
トニーがガソリンに火を投入する。サルは慌てて、その場から逃げ出そうとするが、今から逃げてもタップリとガソリンを浴びた体としては、逃げても体からガソリンが落ちて、火がたどり着くまでの道が広がるだけ。
サルは燃え盛る火の中で焼き殺された。
「炎のダンスを披露してくれたようだね、まぁ、キミの若い頃に自分を愛してくれた女を魔女にした君には当然の報いだと思うけどね」
トニーの一言には何か深い重みを孝太郎には感じられた。
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