魔法刑事たちの事件簿

アンジェロ岩井

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横須賀騒乱編

午前零時 前田慶太の『松風』

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孝太郎はまず、レーザーガンを前田慶太に向かって、発射しようかと考えたのだが……。
「おっとォォォォォォ~~!!! お前さん何を企んでいたァァァァァァァ~~!! 」
慶太は槍を構えて、孝太郎の方に突っ込む。
「クソッ!」
孝太郎は咄嗟にレーザーガンの引き金を引こうとするのだが。
「無駄よッ!オレの槍がお前を叩くスピードの方が断然早いと思うぜッ!」
と、慶太は自分の槍で孝太郎を弾き飛ばそうとするのだが。
孝太郎は何とか、自分の右腕で慶太の槍を破壊する。
前田慶太の先祖伝来の槍(と言っても、精巧に作られたレプリカだが……)は中村孝太郎の手により壊れてしまう。
「お~オタクは中々強い魔法を持っているじゃあなの」
慶太の言葉に孝太郎は「そりゃどうも」と愛想笑いを浮かべる。
「でもよぉ~そんな魔法で『松風』を潰せると思うなよォォォォォォ~~!! 」
慶太は今度は武器保存ワーペン・セーブから、細長い唐剣と呼ばれる古来の長い刀を取り出す。
「それを槍代わりにオレを始末する気なのかい?」
慶太は孝太郎の質問に答えようとはしない。その代わりにミルクのように白い歯を見せて笑う。
そして、孝太郎に向かって、唐剣の剣先を向け、突っ込んでくる。
孝太郎は突っ込もうとする慶太に向かって、レーザーガンの引き金を引いたのだが、孝太郎の攻撃は『松風』が咄嗟に首の向きを左に変えた事により、慶太はレーザー光線の直撃を避けることが出来たのだ。
「オタクはレーザーガンなんてチャチなもんに頼らなくちゃあ、オレを倒せないのかい?」
「倒す?勘違いしてもらっては困るね、オレの目的はあんたらに法の裁きを受けさせる事だね」
その言葉を聞くなり、慶太はクックッと笑い出す。
「これは驚いた。あんたは完璧にオレを超えられる気でいるらしいね」
慶太は唐剣のライオンの犬歯のように鋭い刃先を見せながら呟く。
「その通りだ。お前を逮捕し、オレはあんたに法の裁きを受けさせるッ!」
孝太郎は震える事なく、自分の指先を『松風』の馬上に座っている慶太に向かって突きつけている。
「なら、やってみろよォ~!! 」
孝太郎は慶太の突進攻撃を飛び上がる事により、回避する。それから、自分のいや、豊臣家伝来の魔法である鋼鉄の将軍ジェネラル・オブ・スティールを使い、前田慶太の方に向かって、落ちていく。そう昔、理科の実験でも行なった通りに浮遊力の応用だ。重いものは地球の重力に引っ張られる。今、孝太郎はこの魔法を使う事により、鉄砲の弾も。或いはレーザー光線すら、意に返さない。
だが、それを防ぐための重さは相当なものだろう。孝太郎はご先祖伝来の魔法を教わった際にこの魔法は上手いこと使えば、防御にも使えるのではないかと思案していた。不安だったが、試してみる価値はある。
孝太郎は自分と先祖の魔法の可能性に賭けた。その結果はどうだろうか。
前田慶太は突然の落下を予想できずに、何か行動するわけでもない。つまり、唐剣や別の魔法を使って、反撃する余裕はなかったのだ。だから、慶太は『松風』にこの場から逃れるように指示を出す。
だが、『松風』は前田慶太の身柄こそ守れたものの、その石炭のような漆黒の尻尾を巨大な落下物と化した孝太郎により挟まれてしまう。
「くっ、逃げるぞ! 」
そうは言ったものの、この場から逃れられないのは慶太には火を見るよりも明らかであった。
どうすればいいかと思案していると、慶太の前方から3人の男女が現れた。
「さてと、どうする?」
「決まってんだろ、あたしの刀で斬り刻んでやるよ」
「やり過ぎだろ、オレらの目的はテロリストを法の裁きにかける事なんだから」
慶太は思わず生唾を飲み込む。慶太の目の前に現れたのは石井聡子。倉本明美。柿谷淳一の白籠市のアンタッチャブルの面々が揃っていたのだから。
「へへへ、オレを捕まえるのにそれだけの人数がないとできないらしいね」
慶太は3人を侮蔑するように言ってのけたが、3人は特に意に返していないようだ。
「おいおい、この前田慶太さんが相手してやろうって言っているんだぜ」
「へん、『松風』の無いお前に何が出来るって言うんだよッ!」
そう言って、徳川家を呪う刀である『村雨』を鞘から抜き出したのは淳一。
「オレだって、剣の初心じゃあない、お前の心臓を突くくらいの事は出来るんだッ!」
慶太は唐剣の円月系の刃先を淳一に向ける。
「お前さんの刀とオレの刀じゃあ、リーチの長さが違うッ!引き返すんなら、今の内だぜ、坊や」
慶太は唐剣の剣先を向けてニヤリと笑う。
「舐めるなよ、オレが何年剣をやってきたと思っているんだ?本来ならば、オレが本多太郎を討ち取っても良かったと言っていいんだぞ」
「ふん、お前、噂じゃあ、中村孝太郎一行が刈谷阿里耶一味に挑んでいる頃にお前はノホホンと汚職警官として、ノンビリしていたそうじゃあないか、そんな奴に討たれるほど、オレは落ちぶれちゃあいないね」
「……」
淳一は慶太の言葉には何も言わないままだ。いや、正確には静かに心の中で怒っていたと捉えるべきだろうか。淳一は火山が活動前に火口で静かに溶岩を沸かすように怒りを煮えたぎらせていたのだ。
そのために、彼は目を閉じていた。怒りを静かに貯めるために。
「何をビビっていやがるんだよッ!お前のような腰抜けの坊やにオレが殺せるかよ! ほら、悔しかったら、オレの胸を突いてみな」
そう言うと、慶太は動かない『松風』から飛び降り、淳一にワザと自分の胸を突くように挑発する。
「ほらほら、オレを討つんだろ?どうだよ、突いてみなッ!」
淳一は答えない。
「ほら、オレの心臓はここにあるぜ」
慶太は明らかに相手をからかう事に夢中になり過ぎ、うっかり相手の顔色と周囲の反応を見るのを忘れてしまう。
「どうしたやってみろよ、オレはお前のような、腐りきった公僕が一番大嫌いなんだ。特に暴力団と癒着しているようななんかは、この世から消してもいいと思ってるくらいなんだッ!」
ここで、ようやく淳一の目が見開くの人間には捉えられないような速さで、鞘から『村雨』を抜き取ると、慶太を一気に斬り捨てる。
淳一の攻撃を食らった慶太は呻き声を上げて、その場に崩れ落ちる。
「安心しろ、峰打ちだ」
淳一はゆっくりと鞘に刀を鞘に納める。
「やったァ! とうとう、門番まで、倒してしまったらしいよ! 今度こそ、要塞に侵入できるよ!! 」
聡子は興奮気味に言った。
「そうだな、予定よりだいぶ早くに基地に到達できた。オレとしては嬉しい限りだよ」
「あとは無線で、他の玄関口から侵入するように言うだけだよな?」
「ああ、その通りさ、あとは無線か携帯端末を……」
そう言って、孝太郎が携帯端末を取り出そうとした時に。
どこからともなく紫色の鋭い刃が飛んできて、孝太郎の携帯端末を破壊する。
「何者だ?」
孝太郎が後ろを振り向くと、そこには迷彩の軍服、そしてその上は軍隊帽ではなく、山高帽を被った青年が立っていた。
「あまり、抵抗なさらないように、あっ、そうそう、私としましては、その刃に触れない事をオススメ致します。私の能力であるですから……」
その言葉に全員が凍りつく。
「それもタダの毒ではございません。我々の保管しているレベル5のウィルスと同等の威力がある事をお伝えしておきます」
四人はここは逆らうべきではないと、感じ、男についていく。
「どうぞ、ここが我々の基地です」
どデカイ自動ドアを開いた先はよくアニメやドラマで見る軍基地そのものが現れた。
「いかがですか?我々の施設は?」
男の質問に孝太郎は答えない。
「フフフ、いいでしょう。私としましては、島准将閣下から、あなた達を特別室に招待するように言われておりますので……」
そう微笑する男の姿は孝太郎には何とも不気味に思えた。
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