魔法刑事たちの事件簿

アンジェロ岩井

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聖杯争奪戦編

弁護士とアサシン 前編

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セレブロはナイフを仕舞ってから、確実に始末するためだろうか。武器保存ワーペン・セーブから、より一層殺傷力の高いサーベルを取り出し、そのサーベルの刃を赤川に向ける。
そして……。
(刃を私の体や首などに一気に突き立てる気なのか?それで、私を殺す気か!?)
赤川はセレブロの意図を察知し、サーベルを持ったセレブロが突っ込んで来るなり、赤川は即座に武器保存ワーペン・セーブから、唐刀と呼ばれる武器を取り出し、サーベルとか重なり合わせる。
「お前ら、日本人は日本刀を使うとばかり思っていたのだが……」
と、セレブロが呟いているので、赤川は自分の意見を伝え、セレブロを脅かしてやる事にする。
「いいや、私は日本刀や日本の品物は嫌いでね、虫酸が走るんだ、今、着ているスーツだって海外で作られた奴なんだぜ」
赤川はセレブロの攻撃を防いでいるとは思えないような、余裕の笑みで言ってやる。
「そんな事は外国人のオレには知った事ではないがね、それよりもオレが今、一番興味を持っているのは、お前がいつ死ぬのかということなんだ……」
セレブロはそう言うと、サーベルを持つ手の力を強める。赤川は一瞬だけ、冷や汗をかいたようだが、すぐに元の弁護士特有の余裕ぶった笑みを浮かべる。
「フフフ、私はね、弁護士という職業柄、いつでも笑うようにしているんだ……法廷で追い詰められた時でも、修行が苦しい時でもね……昌原会長の姿を思い出して、いるのだよ、あのお方の励ましの言葉を思い出すだけで、私は救われるような気がするんだ……」
セレブロは赤川友信という男に心底恐怖した。思わず生唾を飲み込むほどに。それもそのはず、赤川がまるで300年前に現れたいわゆる独裁者と呼ばれる人間を狂信する兵士のように見えたからだ。
「お前の会長と呼ばれる男は余程、怖い男らしいな……」
セレブロは思った事を考えもせずに口に出す。
「会長が怖いだと?会長は既にロマノフ帝国でも布教を続けているんだッ!ロシア人の信者だって増大しているッ! それなのに、お前は会長を恐怖するのか!?」
赤川は唐刀の揺れる音が聞こえるくらいに、右手を極度に震わせていた。そして、親の仇でも見るかのような目でセレブロを睨みつけている。
「許せない……お前だけは許せいない……」
赤川はそう言うなり、右手から一つの小さな光る球を作り出し、それを空中に浮かべる。野球ボールくらいの大きさの球だ。
セレブロがその光景を見上げていると……。
「死ねッ!」
と、赤川が右手を振り下ろし、野球ボールくらいの球を放り投げる。
セレブロは自分の魔法野生の速さワイルド・スピードを使用し、赤川の球を逃れた。
そして、一旦距離を置くために、皇居近くの公園へと移動する。
それを見たのか、赤川は唐刀を鳴らしながら、公園へと急ぐ。
「どこだッ!どこにいるッ!昌原道明会長を侮辱したあの男は……」
街灯で照らされた赤川の顔は唇をめくり、歯をむき出しにしていた鬼のような形相であった。
セレブロは入り口近くの茂みから、赤川が公園に入るのを確認した。唐刀をチャンバラごっこをしている子供のように振り回しながら、自分を追っているようだ。まさに狂信者。セレブロは公園に茂みに隠れながらも、そう冷静に赤川を観察していた。
「お前だけは許さないぞッ!出てこいッ!」
そんな分析をしていると、赤川が自分の茂みの近くにまで来たらしい。赤川の革靴の足音がセレブロの耳に響く。
「近くにいるのは分かっているんだッ!出てこい、昌原会長を侮辱した事を謝罪しろッ!」
と、自分の目と鼻の先の距離にまでいるので、セレブロは奇襲を仕掛ける事にする。
セレブロは先程、締まったサーベルの代わりに、小さな二本のナイフを取り出し、赤川の喉に突き刺さんとばかりに、突っ込んでいく。
セレブロは手応えがあると確信したのだが、その瞬間に自分が何にナイフを突き立てたのかを理解した。
「きっ、貴様……」
「そうだよ、お前が刺したのはオレの魔法で作られた、のさッ!」
そう言うなり、赤川はその場からすぐに逃れる。まるで、突然現れた教師を避ける生徒のように。
取り残されたのはセレブロたった一人。
だが、セレブロはここは冷静に、自分の魔法を使用し、その場を逃れた。
セレブロと赤川が逃れた僅か一秒後に赤川の球は爆発した。球の爆発により、茂みのほとんどが吹き飛ばされてしまう。
(まるで小型爆弾のようだ……あと、少しあの場に残っていたら、オレはあの爆発に巻き込まれていたのか……)
セレブロは安堵のため息を吐こうとしたが、背後に気配を感じ、すぐに武器保存ワーペン・セーブから、45口径の大きなオート拳銃を取り出し、その銃口を背後に向ける。
「早いな、感激しそうだ……」
そこに立っていたのは、赤川友信その人であった。
「お前は……」
「驚いたか?オレはあの場から逃れた後に、お前は公園の中央に避難するとばかり考えていたからな、ここで待ち伏せしたのさ、ワザワザあんなに早いスピードで動いたのは、オレの球を避けるだけじゃあなかったんだよッ!」
そう言うなり、赤川は新たに球を作り出し、セレブロに向けて放り投げる。
セレブロはその球を光が動くかのような早いスピードで避け、赤川を探索する。
公園の中央には爆発の跡が……。ここにいるとは考えにくい。と、すると……。
セレブロは皇居に向かう方角の入り口を見つめる。
(もしかしから、あの男はオレに爆弾を放り投げ、勝負を続けるふりをして、皇居へと向かったに違いない……オレは図られたのか?)
セレブロはそう考えると、急いで皇居へと向かわずにはいられない。
自分の魔法を使い、皇居に急ぐ。



赤川友信は最初から、ロシア人の敵と勝負を続けるつもりは毛頭ない。少し戦うと見せかけ、皇居で聖杯のカケラを手に入れる予定だったのだ。
「さてと、ここを侵入するのは容易では無いようだが……」
赤川は警備員を自分の魔法を使って、別の門に誘き寄せ、そちらの方に釘付けにしてから、自分がこの門から侵入する。
かなり疲れるだろうが、構わない。これは昌原会長からの命令なのだから。
赤川が別の方向に、球を放り投げようとした時だ。自分の右頰が切れる気がした。大事な右頰から生温かい液体が垂れてくる。
「誰だ!?」
赤川の問いかけには誰も応じない。
(セレブロか……?アイツはどこに行ったのか、検討がつく筈がないんだッ!大体、皇居に向かうなんて考えよりも、まずは私が勝負に怖気づき、逃げたのだと考える方が妥当だからな……)
赤川がそう勝手に結論を導き出した時だ。今度は自分の左頬が切られた。もう我慢できない。
赤川は既に唐刀を仕舞ってしまっていたために、セレブロの攻撃には処置できそうになさそうだ。諦めて、消音器の付いた小型のショットガンを取り出す。
「ちくしょう! 」
赤川はヤケになり、上空に弾を発射する。
だが、何もない。歯磨き粉のチューブから、歯磨き粉が出た時のような小さな音がしたのみ。
赤川の苛立ちは頂点に達していたのかもしれない。今度はアイツが自分の頰を切る前に、仕留めなければ。
赤川がそう意気込んでいると、右手から小型のショットガンが弾かれてしまう。
「ちくしょう! 」
赤川は一か八か、球を作り出して、相手の様子を伺うことにする。
ここら辺一帯を巻き込む可能性もあるためか、セレブロも手を出さない。
だが、問題は皇居を離れた時だ。赤川は自分が相手のロシア人の実力を侮っていた事を察して、下唇をギュッと噛み締めた。
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