146 / 233
聖杯争奪戦編
魑魅魍魎の四国ーその⑥
しおりを挟む
石川葵とその手下が、高知城で白籠市のアンタッチャブルと激しい戦いを行なっている頃。
宇宙究明学会の会長、昌原道明は美人の信者に特別な修行を行える事を心待ちにしていた。今回に至っては、入信した信者はロシア人の美人だと聞いている。
昌原にとっての、修行を行う相手の中心は日本人の女性なので、外国人の女性に特別な修行を行えるというのは、やはり特別な事であった。そんな事を考えていた時だ。昌原の四国支部のドアがノックされる音が聞こえる。
「失礼します。ミーチェです。今晩は昌原道明会長が、特別な修行を行ってくれるとの事なので、わたくし……今から緊張しておりますの」
頰を赤らめているメガネのロシア人の女性は、昌原の胸を激しくときめかせた。それは、中学生がクラス一番の女子に心を動かすのと同じようなものであり、昌原にとってのギムジナウム時代からの癖の一つであった。
「緊張することは無い、この場ではお前と私の一対一の修行なんだからな」
昌原はそう言って、自分のベッドに来るように手招きする。
ミーチェと名乗るメガネのよく似合う美人は、恥ずかしそうに昌原のベッドへとやって来る。
「さてと、まず始めに言っておくがな、お前には悪いマントラが付いておる」
その言葉にミーチェは頰を青くする。誰だってそうだろう。自分が信じている教祖から、悪いマントラが付いているなんて言われたら、顔面を蒼白になってしまうだろう。自分だってそうだ。と、昌原が一人で納得でしていると……。
「お願いです! 昌原会長! わたしの悪いマントラを取り除いてください! 」
懇願するように昌原を見つめる。守ってくださいと懇願しているかのように。
昌原はミーチェを可愛らしいと思う反面、つい無意識のうちにカサカサの唇を舐め回していた。
余程、ミーチェの事が可愛らしいと思っていたらしい。こんな事では、教祖としての威厳が保てないではないか。
昌原はミーチェにそう言ってやりたかったが、そこは言ってやらない事にする。
弟子のダメな部分を受け入れてこその教祖ではないか。昌原は不安がるミーチェなる女性を優しく抱擁してやる。
「大丈夫だ、お前の悪縁は必ず、ワシが払ってらやるから」
ミーチェは昌原道明という男の嘘偽りのない言葉に思わず心が揺さぶられてしまう。彼は心から自分の事を思っているのだと。
今までの男連中は誰もかもが、自分の頭脳を利用しようという連中ばかりだった。イワンも例外ではない。
イワンは自分の恋人を気取っていたが、恐らく内心は同じだろう。自分の頭しか見ていない。昌原に出会うまでは、利用されている事に気が付いていなかったのだ。男は所詮自分を利用するために……。
今回のトニー・クレメンテの例がいい例だ。あれが自分の利用ではなくては何なのだ。ミーチェは宇宙究明学会に心から入信する事を決めた。
ミーチェも昌原を抱き返す。
「どうしたんだね、ミーチェ……そんなに抱きつかれては、ワシは身動きが取れんな」
口ではそうは言っていたが、昌原の言葉は父親から娘へと出るような優しげな言葉であった。
「お願いです! 許してください! 昌原会長!! わたしはあなたを利用しようと……」
ただ事ではない様子に昌原は特別な修行を一旦やめて、ミーチェに事情を尋ねる。
ミーチェから一通りの情報を聞き終えると、昌原はまず怒りに駆られた。自分を殺そうとしたのだ、許せない。
だが、彼女は心底から反省しているようだし、トニー・クレメンテが向かい側のビルから自分を狙っている事も聞き終えた。
それに免じ、ミーチェは改めて自分の弟子にしてやってもいい。昌原は怯えるミーチェを再び抱き締めてやる。
「大丈夫だ、お前も苦労したらしいな、よく戦った……お前はもう一人じゃあないんだ、安心して、ワシの教えに従いなさい」
昌原は最後に優しく頭を撫でてやる。ミーチェは幼い女の子のようにワンワンと泣き出す。
それから、昌原は気の済むまでそこで泣いていなさいと、ベッドにミーチェを放置し、カーテンを閉め、寝室を跡にする。
すぐに自らの護衛を務めていた、東信徒庁の長官に向い側のビルにトニー・クレメンテが自分を狙っている事を伝える。
「いいか、少しでも早く、トニー・クレメンテを捕まえるんだッ!このビルにいる信者全員を総動員してもいい!! だから、絶対にその殺し屋をワシの前に引き摺り出せ! ワシが直々に宇宙に返してやる……」
昌原の剣幕に睨まれては、東信徒庁の桃田恵は小さな声で肯定の言葉をつぶやくしかない。あのトニー・クレメンテなら、いくら信者を動員しても、捕まえられないのではないかという言葉を飲み込んででも。
瀬戸大橋では、相変わらず船上での激闘が続く。滝川と荒井は相変わらずの手刀或いは拳での激闘を続けていた。
「どうだ、もっと来たら、いいだろう! 」
荒井はあくまでも受け身の滝川を挑発し続ける。手招きまでしている有様だ。
「いいや、おれは下手に動きたくはない主義なんでね! 遠慮しておくよ! それより、キミこそそんなみっともない手足をフラフラとさせてないで、こっちに掛かってきたら、いいじゃあないか! 」
滝川は挑発に挑発で返す。
「いいや、それはお前の方だぜ! 」
荒井はそうは言いつつも、滝川の挑発が効いたらしい。こちらに手刀を繰り出してくる。
滝川はまた寸前のところで、右か左に首を避けて交そうと思ったが、そこに思いも寄らない罠が待っていた。
手刀から、凄まじい衝撃波が放たれた。
「な、一体何が起こっている!?」
滝川は思わず、船の端にまで吹き飛ばされる。荒井はツカツカと距離を詰めてくる。
「魔法だよ、おれの魔法を使ったんだ、おっと、今後お前に警戒されては困るからな、名前とどんな魔法を使うのかは内緒だ、お前を倒した後には、横に立っているあのメガネの女にもコイツを喰らわせてやるぜ」
荒井は衝撃波を作り出すオーラの付いた手刀を見せながら言った。
「やってみろよ! そうなる前におれが止めやるぜッ!」
滝川は唾を海に吐き捨てながら言った。
「そこは、血反吐を吐くもんじゃあないのか?まぁ、血反吐を吐くほども一生懸命に戦っていないからな、お前のような表面だけ、頑張っていると取り繕っているような奴に、おれが倒せるとは思えん」
荒井は手招きで、更に滝川を挑発する。
滝川は挑発に乗る事を選んだらしい。右ストレートを荒木に向ける。
荒井は滝川が激昂した際には、その行動を予測していたらしく、右ストーレトを自分の右手の掌で受け止める。
「ふん、だから言っただろう?お前の攻撃なんて、無駄なんだとな」
と、ここで滝川に変化が起きたのを荒井は見逃さない。なんと、あろうことかクックっと笑い出したのだ。
「お前さぁ、周りをよく見ないのは、悪い癖だって言われなかったか?」
その言葉に荒井は太く整った片眉を動かす。
「どういう事だ?」
「この拳には予め、魔法を最小限にとどめていた事、それに時間が経つにつれて、その魔法が爆発するように計算した事……」
「ま、まさか……」
そう、その「まさか」だ。滝川の拳が眩いばかりの閃光に包まれ、気が付けば、荒井は教団のヨットの端に吹き飛ばされていた。
腕はまだ痺れている。自分の魔法を衝撃波を放つ所ではないだろう。
油断した。荒井は部下と共に彼ら3人に銃口を突き付けられながら、自分の反省点を省みる。
自分の魔法素直な力は拳に衝撃波をくっ付ける魔法。
だからこそ、純粋な戦闘能力は高い方だと自負していた。それが、こんな奴に。
荒井は悔しさでいっぱいだった。
全員が、応援の警察に連れられていく中、柴田は不意に滝川の魔法の事を聴きたくなる。
「そう言えばさ、あんたの魔法……どんな魔法だっけ?」
滝川はよくぞ聞いてくれましたと言わんばかりの満面の笑みで答えた。
「おれの魔法は複雑な力ですよ、荒井の魔法と同じで、その場で拳に衝撃波をくっ付ける事もできるんですが、自分さえ念じれば、好きな時に拳にくっ付けた衝撃波を大きくする事ができるんですよ」
相変わらずの強さに柴田は苦笑した。
宇宙究明学会の会長、昌原道明は美人の信者に特別な修行を行える事を心待ちにしていた。今回に至っては、入信した信者はロシア人の美人だと聞いている。
昌原にとっての、修行を行う相手の中心は日本人の女性なので、外国人の女性に特別な修行を行えるというのは、やはり特別な事であった。そんな事を考えていた時だ。昌原の四国支部のドアがノックされる音が聞こえる。
「失礼します。ミーチェです。今晩は昌原道明会長が、特別な修行を行ってくれるとの事なので、わたくし……今から緊張しておりますの」
頰を赤らめているメガネのロシア人の女性は、昌原の胸を激しくときめかせた。それは、中学生がクラス一番の女子に心を動かすのと同じようなものであり、昌原にとってのギムジナウム時代からの癖の一つであった。
「緊張することは無い、この場ではお前と私の一対一の修行なんだからな」
昌原はそう言って、自分のベッドに来るように手招きする。
ミーチェと名乗るメガネのよく似合う美人は、恥ずかしそうに昌原のベッドへとやって来る。
「さてと、まず始めに言っておくがな、お前には悪いマントラが付いておる」
その言葉にミーチェは頰を青くする。誰だってそうだろう。自分が信じている教祖から、悪いマントラが付いているなんて言われたら、顔面を蒼白になってしまうだろう。自分だってそうだ。と、昌原が一人で納得でしていると……。
「お願いです! 昌原会長! わたしの悪いマントラを取り除いてください! 」
懇願するように昌原を見つめる。守ってくださいと懇願しているかのように。
昌原はミーチェを可愛らしいと思う反面、つい無意識のうちにカサカサの唇を舐め回していた。
余程、ミーチェの事が可愛らしいと思っていたらしい。こんな事では、教祖としての威厳が保てないではないか。
昌原はミーチェにそう言ってやりたかったが、そこは言ってやらない事にする。
弟子のダメな部分を受け入れてこその教祖ではないか。昌原は不安がるミーチェなる女性を優しく抱擁してやる。
「大丈夫だ、お前の悪縁は必ず、ワシが払ってらやるから」
ミーチェは昌原道明という男の嘘偽りのない言葉に思わず心が揺さぶられてしまう。彼は心から自分の事を思っているのだと。
今までの男連中は誰もかもが、自分の頭脳を利用しようという連中ばかりだった。イワンも例外ではない。
イワンは自分の恋人を気取っていたが、恐らく内心は同じだろう。自分の頭しか見ていない。昌原に出会うまでは、利用されている事に気が付いていなかったのだ。男は所詮自分を利用するために……。
今回のトニー・クレメンテの例がいい例だ。あれが自分の利用ではなくては何なのだ。ミーチェは宇宙究明学会に心から入信する事を決めた。
ミーチェも昌原を抱き返す。
「どうしたんだね、ミーチェ……そんなに抱きつかれては、ワシは身動きが取れんな」
口ではそうは言っていたが、昌原の言葉は父親から娘へと出るような優しげな言葉であった。
「お願いです! 許してください! 昌原会長!! わたしはあなたを利用しようと……」
ただ事ではない様子に昌原は特別な修行を一旦やめて、ミーチェに事情を尋ねる。
ミーチェから一通りの情報を聞き終えると、昌原はまず怒りに駆られた。自分を殺そうとしたのだ、許せない。
だが、彼女は心底から反省しているようだし、トニー・クレメンテが向かい側のビルから自分を狙っている事も聞き終えた。
それに免じ、ミーチェは改めて自分の弟子にしてやってもいい。昌原は怯えるミーチェを再び抱き締めてやる。
「大丈夫だ、お前も苦労したらしいな、よく戦った……お前はもう一人じゃあないんだ、安心して、ワシの教えに従いなさい」
昌原は最後に優しく頭を撫でてやる。ミーチェは幼い女の子のようにワンワンと泣き出す。
それから、昌原は気の済むまでそこで泣いていなさいと、ベッドにミーチェを放置し、カーテンを閉め、寝室を跡にする。
すぐに自らの護衛を務めていた、東信徒庁の長官に向い側のビルにトニー・クレメンテが自分を狙っている事を伝える。
「いいか、少しでも早く、トニー・クレメンテを捕まえるんだッ!このビルにいる信者全員を総動員してもいい!! だから、絶対にその殺し屋をワシの前に引き摺り出せ! ワシが直々に宇宙に返してやる……」
昌原の剣幕に睨まれては、東信徒庁の桃田恵は小さな声で肯定の言葉をつぶやくしかない。あのトニー・クレメンテなら、いくら信者を動員しても、捕まえられないのではないかという言葉を飲み込んででも。
瀬戸大橋では、相変わらず船上での激闘が続く。滝川と荒井は相変わらずの手刀或いは拳での激闘を続けていた。
「どうだ、もっと来たら、いいだろう! 」
荒井はあくまでも受け身の滝川を挑発し続ける。手招きまでしている有様だ。
「いいや、おれは下手に動きたくはない主義なんでね! 遠慮しておくよ! それより、キミこそそんなみっともない手足をフラフラとさせてないで、こっちに掛かってきたら、いいじゃあないか! 」
滝川は挑発に挑発で返す。
「いいや、それはお前の方だぜ! 」
荒井はそうは言いつつも、滝川の挑発が効いたらしい。こちらに手刀を繰り出してくる。
滝川はまた寸前のところで、右か左に首を避けて交そうと思ったが、そこに思いも寄らない罠が待っていた。
手刀から、凄まじい衝撃波が放たれた。
「な、一体何が起こっている!?」
滝川は思わず、船の端にまで吹き飛ばされる。荒井はツカツカと距離を詰めてくる。
「魔法だよ、おれの魔法を使ったんだ、おっと、今後お前に警戒されては困るからな、名前とどんな魔法を使うのかは内緒だ、お前を倒した後には、横に立っているあのメガネの女にもコイツを喰らわせてやるぜ」
荒井は衝撃波を作り出すオーラの付いた手刀を見せながら言った。
「やってみろよ! そうなる前におれが止めやるぜッ!」
滝川は唾を海に吐き捨てながら言った。
「そこは、血反吐を吐くもんじゃあないのか?まぁ、血反吐を吐くほども一生懸命に戦っていないからな、お前のような表面だけ、頑張っていると取り繕っているような奴に、おれが倒せるとは思えん」
荒井は手招きで、更に滝川を挑発する。
滝川は挑発に乗る事を選んだらしい。右ストレートを荒木に向ける。
荒井は滝川が激昂した際には、その行動を予測していたらしく、右ストーレトを自分の右手の掌で受け止める。
「ふん、だから言っただろう?お前の攻撃なんて、無駄なんだとな」
と、ここで滝川に変化が起きたのを荒井は見逃さない。なんと、あろうことかクックっと笑い出したのだ。
「お前さぁ、周りをよく見ないのは、悪い癖だって言われなかったか?」
その言葉に荒井は太く整った片眉を動かす。
「どういう事だ?」
「この拳には予め、魔法を最小限にとどめていた事、それに時間が経つにつれて、その魔法が爆発するように計算した事……」
「ま、まさか……」
そう、その「まさか」だ。滝川の拳が眩いばかりの閃光に包まれ、気が付けば、荒井は教団のヨットの端に吹き飛ばされていた。
腕はまだ痺れている。自分の魔法を衝撃波を放つ所ではないだろう。
油断した。荒井は部下と共に彼ら3人に銃口を突き付けられながら、自分の反省点を省みる。
自分の魔法素直な力は拳に衝撃波をくっ付ける魔法。
だからこそ、純粋な戦闘能力は高い方だと自負していた。それが、こんな奴に。
荒井は悔しさでいっぱいだった。
全員が、応援の警察に連れられていく中、柴田は不意に滝川の魔法の事を聴きたくなる。
「そう言えばさ、あんたの魔法……どんな魔法だっけ?」
滝川はよくぞ聞いてくれましたと言わんばかりの満面の笑みで答えた。
「おれの魔法は複雑な力ですよ、荒井の魔法と同じで、その場で拳に衝撃波をくっ付ける事もできるんですが、自分さえ念じれば、好きな時に拳にくっ付けた衝撃波を大きくする事ができるんですよ」
相変わらずの強さに柴田は苦笑した。
0
あなたにおすすめの小説
ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜
遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!
木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。
「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」
そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる