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第4部 皇帝の帰還
大聖堂の戦いーその③
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クリフはヴィトの姿を改めて見つめる。
剣を構えて、堂々とした様子はまさに「皇帝」の名に相応しい。
このような、絶対に逆らってはいけないような空気。自分などは砂糖を運ぶアリにしか過ぎないと思わせるような圧倒的な権威。
そして、この人にならば殺されても構わないと言いたくなるようなオーラ。
クリフを怯えさせるのには十分すぎた。
「クリフ! 何をやっておる! お前の相手は目の前の男じゃろうがッ!」
サンドーラの言葉に、クリフはようやく平静を取り戻す。
だが、不完全なのは間違いないらしく、彼のような手練れの剣士らしかねない様子で、剣をプルプルと震わせていた。
「そっちが嫌ならば、やめてやってもいいんだぜ」
そうは言いつつも、ヴィトは剣先を引っ込めようとはしない。
ヴィトの体からは絶対的な強さカリスマ性を感じさせられるオーラが放たれている。
クリフは何度も何度も息を整える。そして、自分に言い聞かせた。
この、オーラは幻想に過ぎないと。
クリフはヴィトに向かって、剣を振り上げて、真っ直ぐに突き進む。
だが、ヴィトは真っ直ぐと迫ってくるクリフに怯むこともなく、剣を構え直し、突き刺すような姿勢で、クリフを待ち構えた。
クリフは今ならば、ヴィトが突き刺すよりも前に自分がヴィトの体を叩きれると判断して、躊躇うことなく突き進んだのだが……。
「え……」
クリフはその言葉を最後に言葉を一言も発さなくなってしまう。
何故なら、クリフの心臓には他ならぬ皇帝の剣の剣先が突き刺さっていたから……。
ヴィトは事切れた、クリフに何の感情も見せることなく、地面にうつ伏せに倒れたクリフの心臓から剣を引き抜いて、
「さてと、次は誰が来る?あんたらがおれを殺すために呼んだ、刺客の数はこれで全部なのかい?」
サンドーラは思わずに年寄りも若く見える、ピンク色の形の良い下唇を噛み締める。
クリフとアイザックは既に殺され、ニコラスは例の女との戦闘を継続している。
こうなってしまえば……。
サンドーラは僧衣の横に下げていた剣を引き抜き、ヴィトにその三又の剣先を向ける。
「ならば、ワシがお相手致そうかな?皇帝陛下……」
「おれは皇帝じゃあないからな、それに坊さんが戦うケースというのも始めて……いや、アイツを含めれば、あんたで二人目か……」
ヴィトがこの時に脳裏に浮かべた相手の名前はライター・ヘンプであったが、彼はカルト教団の教祖であるために、正規の坊さんとは言えなかった。
「ほう、ならば是非ともお手合わせ願いたいのう……」
サンドーラは三又の剣をヴィトの前で、グルグルと回してみる。
やる気らしい。ヴィトは勇気と皇帝としての覚悟を持って、この「帝国の敵」の相手に臨んでやることにする。
マリア・ド・フランソワはこんなにも皆んなが、命を掛けてくれて、戦っているというのに、自分だけ「役立たずなお姫様」であると思われる事が腹ただしくてしょうがなかった。
どうして、ミラノリア・ファミリーの時といい、王国奪還戦の時といい、王国と帝国との戦争の時でさえも、自分は誰かに守られてばかりなのだろうか。
いや、もうこの場においては違うと言わせたい。自分の愛する人に認めてもらいたい。
マリアはその想いから、こっそりと持ってきた魔法の杖を握り締める。
(あたしは決めたの……もう、「守られるだけのお姫様」なんて卒業するんだって! )
マリアは手始めに、聡子を苦しめている、ニコラスに向かって、杖の先端部を向ける。
(この距離なら、あたしの炎魔法が外れるはずもない……確実に聡子を助けられるわ! )
マリアはニコラスに向かって、炎を放つ。
石井聡子はニコラスとの戦いの途中に、相手のニコラスに向かって、大きな炎の火球が近づいて来るのを確認する。
聡子は慌てて、ニコラスの腹を蹴って、柱にぶつける。
自身の身も、左の方向に大きく逸れる事によって、守る事ができた。
炎の火球はそのまま壁に向かい、一部の剣のコレクションを燃やし尽くす。
魔法の炎は一通りのコレクションを燃やした後に、そのまま消滅していく。
「一体、誰がこんな馬鹿な真似を?いや、あの娘か……支援はありがたいんだけれど、あたしらまで焼け死んだら、どうする気だったんだ!?」
聡子は思わず叫んでしまったが、ニコラスにとってはこの魔法が思わぬ反撃の糧になってしまったらしい。
顔を大きく弛緩させて、
「フフフ、これでお前はおれに向けていた剣を放さざるを得なくなったわけだよな?それにしても、おれをあの炎から庇ったのは何故だい?いや、大方検討がつくな、あのまま黙っていたら、自分までも焼け死んじまうからだろ?」
「それもあるんだけどさぁ~あたしは犯人に死亡されるってパターンが一番嫌いなんだよ、やっぱり犯人は自分の手で逮捕したいでしょ?」
聡子の言葉に再び頰を弛緩させるニコラス。
「そうなのか?フランソワの騎士団の考える事は分からんな」
「そうかよ、でもさぁ~あんたは、このあたしが捕らえてやるよ! そして、この世界での審判を受けなッ!」
聡子が『村正』の刃先を突きつけながら叫ぶ。それから、マリアの方に向き直り、
「悪いけれどね! 今回は邪魔しないでくれないかな!?あたしの経験した中でも、最高の戦いになりそうだからサ! 」
「いい度胸だ。オレは気に入ったぞ」
ニコラスは聡子の正々堂々とした態度が気に入ったのだろう。再び剣を構えて、聡子に突っ込んでいく。
聡子の『村正』はニコラスの長剣を難なく受け止める。
そのままお互いに剣を打ち付け合っていたためだろう。何度も何度も火花が弾け飛ぶ。
「素晴らしいぞ! 小娘! ここまで、オレの騎士としての、或いは武人としての心を呼び覚ましたのは、お前が初めだッ!」
ニコラスは何度も何度も聡子に向かって剣を振り下ろし、思わずに魂が揺さぶられてしまような熱い声で叫ぶ。
聡子も、その言葉と共にニコラスの剣を自身の日本刀の刃で受け止める際には満更でもなさそうな笑みを浮かべている。
そして、お互いに千回以上は打ち付けたと思われる時だ。剣が弾き飛ばされる音が聞こえた。
ようやく、決着が付いたらしい。激しい戦闘の末にこの死闘に勝利を収めたのは……。
「まさか、あたしが勝つとは思わなかっただろ?」
聡子が八重歯を見せ付けながら、ニコラスに向かって言う。
「そうだな、お前の力を見誤っていたかもしれん……分かった。お前の言う通りに投降し……」
だが、その言葉が最後まで発せさせる事はなかった。
彼は巨大なクワガタムシによって、食い殺されてしまったのだから。
「だ、誰がこんな事を!?」
聡子は慌てて、周囲を見渡す。
すると、あの憎きサンドーラがこれ見ようがしに肩に同じようなクワガタムシを乗せている。
聡子はニコラス殺害の真犯人を知った。
「お、お前は!?」
「フフフ、ニコラス……戦いになると、暑くなるのはお前の悪い癖だな、今度の人生ではもっと冷静な……そうだな、正々堂々とした武人の態度だけではなく、ちゃんと国に愛国心を持って、いざとなれば、国に反乱を起こしてでも、国に軍人の誇りを見せるような男になって、生まれ変わってほしいものだ」
聡子はサンドーラの言葉で、思わず横須賀騒乱の首謀者島和夫を思い出してしまう。
もしかしたら、彼はニコラスの生まれ変わりだったのかもしれない。
聡子の心のうちにそんな思いが芽生えた時だった。
「さてと、キミにも消えてもらおうか」
サンドーラの肩に留まっていた、クワガタムシが聡子に向かっていく。
マリアは杖をクワガタムシの方向に向けるが……。
(どうしよう! あたしが外してしまったら、一巻の終わりよ! 聡子は……)
マリアは自分の技術に聡子の命がかかっている事を自覚した。
だが、プレッシャーに押しつぶされるわけにはいかない。
勇気を振り絞って、クワガタムシに向かって、先ほどの魔法を放つ。
剣を構えて、堂々とした様子はまさに「皇帝」の名に相応しい。
このような、絶対に逆らってはいけないような空気。自分などは砂糖を運ぶアリにしか過ぎないと思わせるような圧倒的な権威。
そして、この人にならば殺されても構わないと言いたくなるようなオーラ。
クリフを怯えさせるのには十分すぎた。
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サンドーラの言葉に、クリフはようやく平静を取り戻す。
だが、不完全なのは間違いないらしく、彼のような手練れの剣士らしかねない様子で、剣をプルプルと震わせていた。
「そっちが嫌ならば、やめてやってもいいんだぜ」
そうは言いつつも、ヴィトは剣先を引っ込めようとはしない。
ヴィトの体からは絶対的な強さカリスマ性を感じさせられるオーラが放たれている。
クリフは何度も何度も息を整える。そして、自分に言い聞かせた。
この、オーラは幻想に過ぎないと。
クリフはヴィトに向かって、剣を振り上げて、真っ直ぐに突き進む。
だが、ヴィトは真っ直ぐと迫ってくるクリフに怯むこともなく、剣を構え直し、突き刺すような姿勢で、クリフを待ち構えた。
クリフは今ならば、ヴィトが突き刺すよりも前に自分がヴィトの体を叩きれると判断して、躊躇うことなく突き進んだのだが……。
「え……」
クリフはその言葉を最後に言葉を一言も発さなくなってしまう。
何故なら、クリフの心臓には他ならぬ皇帝の剣の剣先が突き刺さっていたから……。
ヴィトは事切れた、クリフに何の感情も見せることなく、地面にうつ伏せに倒れたクリフの心臓から剣を引き抜いて、
「さてと、次は誰が来る?あんたらがおれを殺すために呼んだ、刺客の数はこれで全部なのかい?」
サンドーラは思わずに年寄りも若く見える、ピンク色の形の良い下唇を噛み締める。
クリフとアイザックは既に殺され、ニコラスは例の女との戦闘を継続している。
こうなってしまえば……。
サンドーラは僧衣の横に下げていた剣を引き抜き、ヴィトにその三又の剣先を向ける。
「ならば、ワシがお相手致そうかな?皇帝陛下……」
「おれは皇帝じゃあないからな、それに坊さんが戦うケースというのも始めて……いや、アイツを含めれば、あんたで二人目か……」
ヴィトがこの時に脳裏に浮かべた相手の名前はライター・ヘンプであったが、彼はカルト教団の教祖であるために、正規の坊さんとは言えなかった。
「ほう、ならば是非ともお手合わせ願いたいのう……」
サンドーラは三又の剣をヴィトの前で、グルグルと回してみる。
やる気らしい。ヴィトは勇気と皇帝としての覚悟を持って、この「帝国の敵」の相手に臨んでやることにする。
マリア・ド・フランソワはこんなにも皆んなが、命を掛けてくれて、戦っているというのに、自分だけ「役立たずなお姫様」であると思われる事が腹ただしくてしょうがなかった。
どうして、ミラノリア・ファミリーの時といい、王国奪還戦の時といい、王国と帝国との戦争の時でさえも、自分は誰かに守られてばかりなのだろうか。
いや、もうこの場においては違うと言わせたい。自分の愛する人に認めてもらいたい。
マリアはその想いから、こっそりと持ってきた魔法の杖を握り締める。
(あたしは決めたの……もう、「守られるだけのお姫様」なんて卒業するんだって! )
マリアは手始めに、聡子を苦しめている、ニコラスに向かって、杖の先端部を向ける。
(この距離なら、あたしの炎魔法が外れるはずもない……確実に聡子を助けられるわ! )
マリアはニコラスに向かって、炎を放つ。
石井聡子はニコラスとの戦いの途中に、相手のニコラスに向かって、大きな炎の火球が近づいて来るのを確認する。
聡子は慌てて、ニコラスの腹を蹴って、柱にぶつける。
自身の身も、左の方向に大きく逸れる事によって、守る事ができた。
炎の火球はそのまま壁に向かい、一部の剣のコレクションを燃やし尽くす。
魔法の炎は一通りのコレクションを燃やした後に、そのまま消滅していく。
「一体、誰がこんな馬鹿な真似を?いや、あの娘か……支援はありがたいんだけれど、あたしらまで焼け死んだら、どうする気だったんだ!?」
聡子は思わず叫んでしまったが、ニコラスにとってはこの魔法が思わぬ反撃の糧になってしまったらしい。
顔を大きく弛緩させて、
「フフフ、これでお前はおれに向けていた剣を放さざるを得なくなったわけだよな?それにしても、おれをあの炎から庇ったのは何故だい?いや、大方検討がつくな、あのまま黙っていたら、自分までも焼け死んじまうからだろ?」
「それもあるんだけどさぁ~あたしは犯人に死亡されるってパターンが一番嫌いなんだよ、やっぱり犯人は自分の手で逮捕したいでしょ?」
聡子の言葉に再び頰を弛緩させるニコラス。
「そうなのか?フランソワの騎士団の考える事は分からんな」
「そうかよ、でもさぁ~あんたは、このあたしが捕らえてやるよ! そして、この世界での審判を受けなッ!」
聡子が『村正』の刃先を突きつけながら叫ぶ。それから、マリアの方に向き直り、
「悪いけれどね! 今回は邪魔しないでくれないかな!?あたしの経験した中でも、最高の戦いになりそうだからサ! 」
「いい度胸だ。オレは気に入ったぞ」
ニコラスは聡子の正々堂々とした態度が気に入ったのだろう。再び剣を構えて、聡子に突っ込んでいく。
聡子の『村正』はニコラスの長剣を難なく受け止める。
そのままお互いに剣を打ち付け合っていたためだろう。何度も何度も火花が弾け飛ぶ。
「素晴らしいぞ! 小娘! ここまで、オレの騎士としての、或いは武人としての心を呼び覚ましたのは、お前が初めだッ!」
ニコラスは何度も何度も聡子に向かって剣を振り下ろし、思わずに魂が揺さぶられてしまような熱い声で叫ぶ。
聡子も、その言葉と共にニコラスの剣を自身の日本刀の刃で受け止める際には満更でもなさそうな笑みを浮かべている。
そして、お互いに千回以上は打ち付けたと思われる時だ。剣が弾き飛ばされる音が聞こえた。
ようやく、決着が付いたらしい。激しい戦闘の末にこの死闘に勝利を収めたのは……。
「まさか、あたしが勝つとは思わなかっただろ?」
聡子が八重歯を見せ付けながら、ニコラスに向かって言う。
「そうだな、お前の力を見誤っていたかもしれん……分かった。お前の言う通りに投降し……」
だが、その言葉が最後まで発せさせる事はなかった。
彼は巨大なクワガタムシによって、食い殺されてしまったのだから。
「だ、誰がこんな事を!?」
聡子は慌てて、周囲を見渡す。
すると、あの憎きサンドーラがこれ見ようがしに肩に同じようなクワガタムシを乗せている。
聡子はニコラス殺害の真犯人を知った。
「お、お前は!?」
「フフフ、ニコラス……戦いになると、暑くなるのはお前の悪い癖だな、今度の人生ではもっと冷静な……そうだな、正々堂々とした武人の態度だけではなく、ちゃんと国に愛国心を持って、いざとなれば、国に反乱を起こしてでも、国に軍人の誇りを見せるような男になって、生まれ変わってほしいものだ」
聡子はサンドーラの言葉で、思わず横須賀騒乱の首謀者島和夫を思い出してしまう。
もしかしたら、彼はニコラスの生まれ変わりだったのかもしれない。
聡子の心のうちにそんな思いが芽生えた時だった。
「さてと、キミにも消えてもらおうか」
サンドーラの肩に留まっていた、クワガタムシが聡子に向かっていく。
マリアは杖をクワガタムシの方向に向けるが……。
(どうしよう! あたしが外してしまったら、一巻の終わりよ! 聡子は……)
マリアは自分の技術に聡子の命がかかっている事を自覚した。
だが、プレッシャーに押しつぶされるわけにはいかない。
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