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護衛編
女神のようなドレスをあなたに
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縞模様のパジャマを着たジードは朝を告げる目覚まし時計を止めると、高級ホテルの部屋の中央に置かれている貴族の家のような大きな寝台から体を起こしていく。それから両手を伸ばして口から大きな欠伸を吐き出した。
意識を夢の世界から現実へと引き戻した後は十分に体をほぐし、ベッドから降りると、洗面台へと向かっていく。
洗面台にはホテルのアメニティとして置かれている歯磨き粉を取ると、真っ白な粉を歯ブラシの上にかけ、口に入れると歯ブラシを左右へと動かしていく。3分ばかり同じような行動を繰り返すと、同じように備え付けられていた銀色のカップを手に取り、水を口の中に含ませると歯磨き粉ごと有害なものを洗面台の下へと吐き出したのであった。
それからパジャマから制服へと服を変えていく。
ジードが制服のネクタイを洗面台の前で巻いていた時のことだ。ジードの耳にドンドンと扉を叩く音が聞こえてきた。ジードはネクタイを軽く結んだ後に扉の前へと向かい、扉のノブをゆっくり引いて来訪者を出迎えた。
扉の前に立っていたのは彼の妻であるルイーダだ。
ルイーダはジードの手を取ると半ば強引に朝食会場へとジードを引っ張っていく。
だが、ジードは何を思ったのかエレベーターの前で踏み止まると、慌てて部屋へと戻っていく。
「どうしたんだ?ジード?」
背後から声をかけてくるルイーダの問い掛けに対してジードは無言で部屋からルームキーを持ち出し、ドアの鍵穴へとキーを差し込むことによって自身が引き返した目的を教えたのである。
それを見たルイーダはようやく夫が引き返した意味を知り、口元を緩めた。
「そうか、確かに鍵をかけさせる暇も与えなかった私が悪かったな。許してくれ」
「いいさ、それよりも飯にしようぜ。昨夜はあんなことがあって腹を減らしてたから腹ぺこなんだ。おれ」
「よく言うよ、お前は昨晩車の中に篭ってただけじゃあないか」
ルイーダは苦笑しながら言った。確かに昨晩のジードはルイーダはおろかエルダーと比較しても大した活躍はしていないといえるだろう。彼の昨晩の行動を振り返ってみると、巨大なリムジンの中でジェラルドを守っていただけだといってもいい。
功績に関していえば不利な状況にあるにも関わらず、ジードはその笑顔を崩していなかった。彼はエレベーターの中でルイーダを肘で軽く小突いてから、冗談めかした口調で彼が笑顔でいられる理由をルイーダに向かって語っていく。
「よく言うぜ、俺がジェラルドを守ってたからお前はあの怪物に専念できたんだろ?」
「フフッ、それを言われたら困る。私も反論ができないな」
ルイーダは困ったような笑いを浮かべながら答えた。このやり取りを機に二人の間に楽しい空気が生まれ、結局エレベーターが一階へと辿り着くまでの間二人はずっと微笑を浮かべ続け、お互いに冗談を言い合っていた。
二人は昨晩の殺し合いを経た後に与えられた束の間の休息を楽しんでいたのだ。
和かな表情を浮かべる二人が手を握りながら一階の食堂へと降りていくと、そこにはジェラルドと護衛の兵士たちが直立不動の姿勢で二人を待ち構えていた。
「で、殿下!?こんなに早く食堂にお着きになられるとは!?」
会場に着いたルイーダはジードから咄嗟に手を離し、両目を丸くしてジェラルドへと問い掛けた。
本来であるのならばジェラルドはまだ眠っている時間のはずだ。しかしジェラルドはしっかりした格好で祖国から連れてきた執事や兵士たちと共に二人を出迎えていたのだ。
困惑するルイーダを他所にジェラルドは頭を下げた。
「実は二人を驚かせたくてな……昨日は私の命を救ってもらって本当にありがとう!そのお礼というわけではないが、今夜の式典そしてその後に開かれる晩餐会に二人も招待したいと思っているのだ」
「そ、そんな畏れの多い」
「何を言うのだ。私の命は二人がいなければとっくの昔にあの恐ろしい暗殺者たち、もしくは悪魔王とやらに奪われていたのだ。その命の恩人にお礼を言うのは人として当然のことではないか」
「殿下……私は一介の騎士に過ぎません。ジードも同様です。そのような者に高貴なお方がわざわざ頭をお下げになられるなどーー」
「何を言うのだ。身分などは関係ない。人として当たり前のことなのだ。何も遠慮する必要などない」
ジェラルドはそう言って微笑むと、二人を上座に案内し、その上に座らせたのである。
流石にジェラルド自らが給仕を買って出るような真似はしなかったが、それでも二人を主役のように立ててくれたので、ルイーダは困ったような笑みを浮かべるしかできなかった。
ルイーダたちにとって王様気分ともいえる朝食が済んだ。
それから後のことであるが、基本的に護衛たちは夜まで時間を持て余すことになる。夜に執り行われる歓迎の式典で述べる祝辞や作法の復習をするジェラルドとは対照的にその背後をついて回るだけで済む護衛たちにはそんなものは関係がなく、練習をする必要がないからだ。
そのため部屋の前に護衛として立つ一部の者を除けば空いた時間は部屋に戻るか、街を見学に行くということになっていた。
だが、大抵の者は貴重な時間を部屋で寝るために用いることはせず、二度とは来られない異国の首都を見学に向かうのだ。
護衛たちの中でもルイーダとジードは例外的にガレリアの人間である。それでも二人は首都から遠く離れた場所で日常を送っている。そのため首都には今まで一度も来たことがないのだ。
それ故に二人で並びながら首都を散策していたのである。
流石は首都である。普段二人が住んでいる街とは比較にならないほど人や物が溢れかえっていた。
たくさんの物が溢れかえる中でもルイーダが目を惹かれたのは身綺麗なドレスが置かれている服飾店である。ルイーダはジードから離れ、正反対の極に吸い寄せられる磁石のように服飾店へと向かっていった。
服飾店のショーウィンドウの中央には飾り気がないシンプルな白色のドレスを着たマネキンをルイーダは食い入るように見つめていた。ショーウィンドウの前に手を押し付けて夢中で眺める姿は年相応の少女のように愛おしく感じられた。
恐らくそれはドレスの魅力でもあるのだろう。というのもそれはジードから見ても素敵なドレスであった。シンプルで袖のないドレスであるが故に元の美しいルイーダが着ればその魅力をふんだんに引き出すことは想像に難い。首元に同じく飾り気のない金色のネックレスでも巻いてやれば多くの貴公子たちがルイーダに夢中になるに違いない。
だが、ドレスの横に置かれている値札はジードの手元にある金を大いに上回るものであった。これでは買ってやることなどできない。もちろんルイーダもジードの財政事情を理解しているので「欲しい」とは一言も言わない。自分の妻に聡明な頭があり、夫の懐事情を察することができる故に自身の愛する妻の願いを叶えてやれない自身に不甲斐のなさがより一層感じられてしまうのだ。
ジードが両肩を落とし、溜息を吐いていると、背後から気配を感じて慌てて振り向いた。
するとそこにはホテルの部屋の中でジェラルドと共に祝辞の述べ方や礼儀作法を復習しているはずの執事の姿が見えた。
「な、なんだ、あなたか」
ジードは両肩の力を抜いて溜息を吐いた。その姿からは歴戦の騎士という風格を全く感じさせなかった。
「そうですよ。刺客かと思って不安にさせてしまい申し訳ありませんでした。実はお二方がホテルを出てから殿下はずっと気にしておられましてね」
「何をですか?」
「お礼ですよ。殿下はこの滞在中にお二方にお礼ができなかったことを気に病んでおられまして、そのお礼としてお二方を今夜の式典の後に開かれる晩餐会に招待したいということでした」
それに際してジード式典用のスーツを、ルイーダにドレスをプレゼントしたいということであった。
なんというタイミングで声をかけてきたのだろうか。ジードはその偶然に思わず右端の唇を吊り上げてしまった。運命の神様とやらは本当に存在しているらしい。
ジードはここぞとばかりに執事の男を手招きして、自身の近くへと呼び寄せ、その耳元でルイーダが近くの服飾店に飾られているドレスを欲しがっていることを教えた。
執事の男は話を聞き終えると、一度頭を下げてから服飾店へと入っていった。
少しばかり時間が掛かったので、その間もジードはルイーダがその場から逃れないように押し留めておかなくてはならなかった。
ルイーダは明らかに不審な態度のジードを怪しんでいたが、服飾店から両手にドレスを抱えた執事が現れたのを見て、ジードがどうしてジードがこの場に押し留めたのかを察した。
「ジード、お前もしかしてこのドレスを私に?」
「オレからじゃないよ、殿下からのプレゼントだってさ」
ジードがルイーダにそう答えると、執事がルイーダにドレスを手渡したのであった。
今は箱の中に入っているとはいえ憧れていたドレスが手に入ったことに変わりはない。ルイーダは感慨深い思いで満たされていくのであった。
執事からドレスの入った箱を手渡されると、ルイーダは両目を輝かせながらジードに問い掛けた。
「こ、これ本当に私が着てもいいのか?」
「いいんじゃあないのか?少なくともオレは止めないぜ」
ジードの許可を聞いたルイーダは小躍りをしながら箱に入ったドレスを掴んでいた。
それを見ていたジードはルイーダの元に近寄ると、声を潜ませながらルイーダの耳元で囁いた。
「このドレス、一度オレのためだけに着てくれないかな?」
それを聞いたルイーダはジードの意図を理解してのか、両頬を赤く染め上げながら小さく首を縦に動かした。
「わ、わかった。少しだけだからな」
動揺はしていたもののルイーダは満更でもなさそうな顔を浮かべている。
ルイーダはジードに自身が着飾った姿を見せることが堪らなく嬉しいものであったらしい。
二人は心の底からの笑顔を浮かべてホテルに戻っていった。
意識を夢の世界から現実へと引き戻した後は十分に体をほぐし、ベッドから降りると、洗面台へと向かっていく。
洗面台にはホテルのアメニティとして置かれている歯磨き粉を取ると、真っ白な粉を歯ブラシの上にかけ、口に入れると歯ブラシを左右へと動かしていく。3分ばかり同じような行動を繰り返すと、同じように備え付けられていた銀色のカップを手に取り、水を口の中に含ませると歯磨き粉ごと有害なものを洗面台の下へと吐き出したのであった。
それからパジャマから制服へと服を変えていく。
ジードが制服のネクタイを洗面台の前で巻いていた時のことだ。ジードの耳にドンドンと扉を叩く音が聞こえてきた。ジードはネクタイを軽く結んだ後に扉の前へと向かい、扉のノブをゆっくり引いて来訪者を出迎えた。
扉の前に立っていたのは彼の妻であるルイーダだ。
ルイーダはジードの手を取ると半ば強引に朝食会場へとジードを引っ張っていく。
だが、ジードは何を思ったのかエレベーターの前で踏み止まると、慌てて部屋へと戻っていく。
「どうしたんだ?ジード?」
背後から声をかけてくるルイーダの問い掛けに対してジードは無言で部屋からルームキーを持ち出し、ドアの鍵穴へとキーを差し込むことによって自身が引き返した目的を教えたのである。
それを見たルイーダはようやく夫が引き返した意味を知り、口元を緩めた。
「そうか、確かに鍵をかけさせる暇も与えなかった私が悪かったな。許してくれ」
「いいさ、それよりも飯にしようぜ。昨夜はあんなことがあって腹を減らしてたから腹ぺこなんだ。おれ」
「よく言うよ、お前は昨晩車の中に篭ってただけじゃあないか」
ルイーダは苦笑しながら言った。確かに昨晩のジードはルイーダはおろかエルダーと比較しても大した活躍はしていないといえるだろう。彼の昨晩の行動を振り返ってみると、巨大なリムジンの中でジェラルドを守っていただけだといってもいい。
功績に関していえば不利な状況にあるにも関わらず、ジードはその笑顔を崩していなかった。彼はエレベーターの中でルイーダを肘で軽く小突いてから、冗談めかした口調で彼が笑顔でいられる理由をルイーダに向かって語っていく。
「よく言うぜ、俺がジェラルドを守ってたからお前はあの怪物に専念できたんだろ?」
「フフッ、それを言われたら困る。私も反論ができないな」
ルイーダは困ったような笑いを浮かべながら答えた。このやり取りを機に二人の間に楽しい空気が生まれ、結局エレベーターが一階へと辿り着くまでの間二人はずっと微笑を浮かべ続け、お互いに冗談を言い合っていた。
二人は昨晩の殺し合いを経た後に与えられた束の間の休息を楽しんでいたのだ。
和かな表情を浮かべる二人が手を握りながら一階の食堂へと降りていくと、そこにはジェラルドと護衛の兵士たちが直立不動の姿勢で二人を待ち構えていた。
「で、殿下!?こんなに早く食堂にお着きになられるとは!?」
会場に着いたルイーダはジードから咄嗟に手を離し、両目を丸くしてジェラルドへと問い掛けた。
本来であるのならばジェラルドはまだ眠っている時間のはずだ。しかしジェラルドはしっかりした格好で祖国から連れてきた執事や兵士たちと共に二人を出迎えていたのだ。
困惑するルイーダを他所にジェラルドは頭を下げた。
「実は二人を驚かせたくてな……昨日は私の命を救ってもらって本当にありがとう!そのお礼というわけではないが、今夜の式典そしてその後に開かれる晩餐会に二人も招待したいと思っているのだ」
「そ、そんな畏れの多い」
「何を言うのだ。私の命は二人がいなければとっくの昔にあの恐ろしい暗殺者たち、もしくは悪魔王とやらに奪われていたのだ。その命の恩人にお礼を言うのは人として当然のことではないか」
「殿下……私は一介の騎士に過ぎません。ジードも同様です。そのような者に高貴なお方がわざわざ頭をお下げになられるなどーー」
「何を言うのだ。身分などは関係ない。人として当たり前のことなのだ。何も遠慮する必要などない」
ジェラルドはそう言って微笑むと、二人を上座に案内し、その上に座らせたのである。
流石にジェラルド自らが給仕を買って出るような真似はしなかったが、それでも二人を主役のように立ててくれたので、ルイーダは困ったような笑みを浮かべるしかできなかった。
ルイーダたちにとって王様気分ともいえる朝食が済んだ。
それから後のことであるが、基本的に護衛たちは夜まで時間を持て余すことになる。夜に執り行われる歓迎の式典で述べる祝辞や作法の復習をするジェラルドとは対照的にその背後をついて回るだけで済む護衛たちにはそんなものは関係がなく、練習をする必要がないからだ。
そのため部屋の前に護衛として立つ一部の者を除けば空いた時間は部屋に戻るか、街を見学に行くということになっていた。
だが、大抵の者は貴重な時間を部屋で寝るために用いることはせず、二度とは来られない異国の首都を見学に向かうのだ。
護衛たちの中でもルイーダとジードは例外的にガレリアの人間である。それでも二人は首都から遠く離れた場所で日常を送っている。そのため首都には今まで一度も来たことがないのだ。
それ故に二人で並びながら首都を散策していたのである。
流石は首都である。普段二人が住んでいる街とは比較にならないほど人や物が溢れかえっていた。
たくさんの物が溢れかえる中でもルイーダが目を惹かれたのは身綺麗なドレスが置かれている服飾店である。ルイーダはジードから離れ、正反対の極に吸い寄せられる磁石のように服飾店へと向かっていった。
服飾店のショーウィンドウの中央には飾り気がないシンプルな白色のドレスを着たマネキンをルイーダは食い入るように見つめていた。ショーウィンドウの前に手を押し付けて夢中で眺める姿は年相応の少女のように愛おしく感じられた。
恐らくそれはドレスの魅力でもあるのだろう。というのもそれはジードから見ても素敵なドレスであった。シンプルで袖のないドレスであるが故に元の美しいルイーダが着ればその魅力をふんだんに引き出すことは想像に難い。首元に同じく飾り気のない金色のネックレスでも巻いてやれば多くの貴公子たちがルイーダに夢中になるに違いない。
だが、ドレスの横に置かれている値札はジードの手元にある金を大いに上回るものであった。これでは買ってやることなどできない。もちろんルイーダもジードの財政事情を理解しているので「欲しい」とは一言も言わない。自分の妻に聡明な頭があり、夫の懐事情を察することができる故に自身の愛する妻の願いを叶えてやれない自身に不甲斐のなさがより一層感じられてしまうのだ。
ジードが両肩を落とし、溜息を吐いていると、背後から気配を感じて慌てて振り向いた。
するとそこにはホテルの部屋の中でジェラルドと共に祝辞の述べ方や礼儀作法を復習しているはずの執事の姿が見えた。
「な、なんだ、あなたか」
ジードは両肩の力を抜いて溜息を吐いた。その姿からは歴戦の騎士という風格を全く感じさせなかった。
「そうですよ。刺客かと思って不安にさせてしまい申し訳ありませんでした。実はお二方がホテルを出てから殿下はずっと気にしておられましてね」
「何をですか?」
「お礼ですよ。殿下はこの滞在中にお二方にお礼ができなかったことを気に病んでおられまして、そのお礼としてお二方を今夜の式典の後に開かれる晩餐会に招待したいということでした」
それに際してジード式典用のスーツを、ルイーダにドレスをプレゼントしたいということであった。
なんというタイミングで声をかけてきたのだろうか。ジードはその偶然に思わず右端の唇を吊り上げてしまった。運命の神様とやらは本当に存在しているらしい。
ジードはここぞとばかりに執事の男を手招きして、自身の近くへと呼び寄せ、その耳元でルイーダが近くの服飾店に飾られているドレスを欲しがっていることを教えた。
執事の男は話を聞き終えると、一度頭を下げてから服飾店へと入っていった。
少しばかり時間が掛かったので、その間もジードはルイーダがその場から逃れないように押し留めておかなくてはならなかった。
ルイーダは明らかに不審な態度のジードを怪しんでいたが、服飾店から両手にドレスを抱えた執事が現れたのを見て、ジードがどうしてジードがこの場に押し留めたのかを察した。
「ジード、お前もしかしてこのドレスを私に?」
「オレからじゃないよ、殿下からのプレゼントだってさ」
ジードがルイーダにそう答えると、執事がルイーダにドレスを手渡したのであった。
今は箱の中に入っているとはいえ憧れていたドレスが手に入ったことに変わりはない。ルイーダは感慨深い思いで満たされていくのであった。
執事からドレスの入った箱を手渡されると、ルイーダは両目を輝かせながらジードに問い掛けた。
「こ、これ本当に私が着てもいいのか?」
「いいんじゃあないのか?少なくともオレは止めないぜ」
ジードの許可を聞いたルイーダは小躍りをしながら箱に入ったドレスを掴んでいた。
それを見ていたジードはルイーダの元に近寄ると、声を潜ませながらルイーダの耳元で囁いた。
「このドレス、一度オレのためだけに着てくれないかな?」
それを聞いたルイーダはジードの意図を理解してのか、両頬を赤く染め上げながら小さく首を縦に動かした。
「わ、わかった。少しだけだからな」
動揺はしていたもののルイーダは満更でもなさそうな顔を浮かべている。
ルイーダはジードに自身が着飾った姿を見せることが堪らなく嬉しいものであったらしい。
二人は心の底からの笑顔を浮かべてホテルに戻っていった。
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2024年12月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
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