153 / 223
第三章『私がこの国に巣食う病原菌を排除してご覧にいれますわ!』
愛の書き置きは思っていたよりも重いらしくて
しおりを挟む
カーラがギルドマスターとクレイトンの双方を唖然とさせるような提案を行なってからしばらくの沈黙が続いた。無限ともいえる沈黙の時間が続いた後に耐え切れなくなり、声を出したのはクイントンであった。
「お嬢様、教えてください。私は何をすればよろしいのでしょうか?」
クイントンの目は真剣そのものであった。彼の目に迷いはない。
驚いたのはギルドマスターの方であった。クイントンがカーラの提案に乗るとは思えなかったのだ。
恐怖して怯え、辞退する時こそカーラに。カーラが無理ならばヒューゴに処理を頼もうかと考えていたので、二人がクイントンを殺さないで済むということを考えてホッと胸を撫で下ろしたのだった。
ギルドマスターはこの場が丸く収まったことで和解し、カーラと仲良さげに会話を交わすクイントンを黙って見つめていた。
先程まで極度の恐怖と緊張のために震えていた手は今やすっかり元の通りとなり、今では酒場の中で一番雄弁な語り手になっていた。酒を啜り、つまみを片手に花を咲かせる姿を見て、他の客たちからもカーラを呼ぶようにと指示を出された。あまりにもしつこいので、ギルドマスターはヒューゴを呼んで、
「しつこくてたまったもんじゃない。あいつらにカーラはお抱えの酒場女じゃないと言ってやれ」
と、至極真っ当な指示を出した。
ヒューゴはギルドマスターから伝えられた指示を聞いて、一字一句をそのまま伝えたのであった。
ヒューゴの言葉を聞いて客たちがまたしても騒ぎ出したので、ギルドマスターは客を黙らせるために干した羊肉を使った特製のつまみを差し出さなくてはならない羽目になった。
心底から疲れ切った様子のギルドマスターは仲良さげに酒を酌み交わすカーラとクイントンという青年の姿を見ながら溜息を吐いたのだった。
カーラとクイントンは共に他愛のない雑談を繰り返していき、やがて雑談も尽きてきた頃にカーラが瞳を光らせながら真剣な口調で問い掛けた。
「重ねて、念を押しますけれども本当にお力をお貸しくださるのですよね?」
「もちろんです。ロバート様を裏切ることにはなりますが、それでもオレにとってはロバート様以上にあなたの方が大事なんです」
「クイントンさん、あなたがこれから裏切るのはハンセン家だけじゃなくてよ。人の道、踏み外してはいけない道徳……そういったものをこれから全て裏切ることになりましてよ」
「……それも駆除人の因果ってやつですよね」
「えぇ、だから先程の提案を呑んでくれるとは思わなかったんですの。駆除人の罪というものは大変に重いものですので」
カーラは目を伏せながら先程、自身が語った事を思い返していく。カーラは確かにクイントンを仲間に引き入れるということを提案したのだ。仲間に引き入れ、駆除の片棒を担がせることで警備隊や自警団に自首をさせることを防ぐという
駆除人の掟に逆らっての特例を提案したのであった。
もちろん、その提案に逆らってクレイトンが自首などを行えばカーラの提案は泡のように消え、カーラのみならず提案を了承したギルドマスターもその咎を免れることはできまい。同じ駆除人仲間から駆除されてしまうだろう。仮に駆除人仲間からの手を逃れたとしても警備隊や自警団に捕まり、死刑を免れることはできない。
とどのところ、クレイトンが裏切って仕舞えばどちらに転んだとしても二人は浮かばれないということになるのだ。
クレイトンに計画の件をカーラの訴える目が真剣なものになるのも理解できる。
カーラの心配を他所にクレイトンが笑っているから心配にもなるのだろう。
だが、カーラの心配は杞憂といってもよい。というのも、クレイトンは裏切るつもりなど毛頭なかった。元からカーラには強く惹かれているのだ。カーラの正体が害虫駆除人であったとしてもそれをロバートに口外するつもりなどない。
それどころか、クレイトンは幸福の絶頂にあったといってもいい。自分の愛する人と秘密を共有できた上に仕事に手を貸すことができるのだ。これ以上の幸せは感じられない。
クレイトンは別れる直前にラブレターを差し出すかのような感覚で自身の記憶を頼りにしたハンセン公爵家屋敷の見取り図と公爵家が一同に集う日とを教え、そのまま酒場を後にしたのだった。
クレイトンが去った後、カーラはギルドマスターに屋敷の見取り図を渡し、酒場を後にしたのだった。
カーラは自宅へと向かう途中で今日のことを思い返していく。今日ギルドマスターには急ぎの駆除とハンセン公爵家がこちらの首を狩ろうとしていることを告げられたのだった。急ぎの駆除を終わらせた後でこちらの首を狩る前にハンセン公爵家の首を狩ってやろうということで駆除の相談を行おうと考えていたのだが、その前にクレイトンに駆除の現場を見らてしまったのだ。
これに関しては予想外の出来事だった。
それでも因果は良い方向へと転がっていく。クレイトンを助命する代わりに仲間に引き入れることで屋敷の見取り図と駆除に必要な情報とを引き出すことに成功し、より円滑な駆除が約束されたのだった。
一刻も早くレキシーにこの件を報告しなくてはなるまい。カーラは浮き上がる喜びを抑え切れずに軽いステップを踏みながら夜の街を駆けていく。
自宅で夕食を用意しながらカーラを待ち侘びていたレキシーは上機嫌で帰ってきたカーラを見て驚いたようだ。両目を丸くしてカーラを見つめている。
「あんた、珍しいことがあったもんだねぇ。駆除の帰りにそんな機嫌良さげに帰ってくるんだもの」
「あら、私が機嫌が良いのはある事情がありますの」
「事情だって?」
レキシーが両眉を上げながら問いかける。
「聞いてくださいな。レキシーさん、新しいお仲間が加わるんですの」
「本当かい?助かったよ。最近相次ぐ抗争で街の駆除人が減っていたからねぇ。で、あんたのいう新人はどんな得物を使うんだい?」
「恐らく凶器は握ったこともない方でしょうね」
「凶器を握ったこともない?それは本当かい?」
「えぇ、だってそのお方はズブの素人ですもの」
その言葉を聞いてレキシーはカーラがふざけているのかと勘違いしたが、顔こそ笑っているものの、その視線はひたむきであったので嘘ではないと判断した。
それから何も言わずにカーラに夕食を勧めた。カーラは出来立ての豆のスープを啜り、サラダを口に付け、白色の丸パンを齧っていく。
満足がいくまで食べ終えた後にレキシーはデザートとして帰りに果物屋で買ってきたという林檎を差し出した。新鮮で水々しさを帯びておりスベスベとした綺麗な林檎であった。
カーラが喜んだ顔で林檎に口をつけようとレキシーがその前に林檎を取り上げたのだった。
「な、何をなさいますの!?とても美味しそうな林檎だというのにッ!お預けなんてあんまりですわッ!」
「ねぇ、カーラ。この林檎食べたいかい?」
レキシーは怪しげに笑った。あまりにも邪悪な笑顔であったので、カーラは御伽噺に登場する魔女を連想させられた。
林檎を食べることができずに体を震わせているカーラにレキシーは先程と同様の邪悪な笑みを浮かべながら、
「じゃあ、今夜何があったのか話してごらんよ」
「……仕方がありませんわ」
カーラは観念して何があったのかを語っていく。林檎を切りながら話を聞いたレキシーは始めは驚き、次に怒り、最後に呆れたのだった。
レキシーは頭痛が痛いという表情で額を抑えながら、
「全く、馬鹿なことをしたもんだねぇ」
と、吐き捨てたのだった。
「面目しだいもありませんわ。ただ、クレイトンさんはハンセン公爵家の内情にも通じられたお方……仲間にするにはとっておきのお方かと」
「けど、駆除の現場を見られた人間には冥界の門をくぐってもらうってのが駆除人の領分だろ?それはあんたが前にあたしに言ったことじゃあないか」
カーラの頭に思い浮かぶのは少し前、ジョー・ゴットフリートの駆除を行った際にその現場を目撃したナタリーという女性の件だった。
その時にカーラはレキシーに対して先程のレキシーの台詞とほとんど同じ台詞をレキシーに対して口にしていたのだった。
カーラが答えられずにいると、レキシーは黙って均等に切った林檎を口にし、頬杖をつきながらカーラを見つめていた。
どこか冷たい視線であったので、カーラが耐え切れずに苦笑していた時だ。
「まぁ、あの時もあんたはナタリーを手に掛けなかったしね。わかったよ、今回の件は大目に見てあげるよ」
カーラは喜びを表現するためにレキシーに抱き付いたのだが、レキシーは困ったような笑いを浮かべるばかりであった。
この選択が正しかったのかどうかは神のみぞ知るはずだ。レキシーはそんなことを考えながらその日は床に就いた。
翌日レキシーがカーラを伴って診療所へ向かうと、診察時間の前だというのに扉の前が騒がしかった。
レキシーは人をかき分け、集まった患者の一人に何があったのかを問い掛けた。
すると、患者の一人はひどく慌てた様子で、
「大変ですよ、レキシー先生!診療所に大貴族が現れたんですよ!」
「診療所に大貴族だって?」
レキシーが訝しげな視線で入り口を見つめると、そこには立派な馬車と身綺麗な服を整えた侍女を連れ添ったエミリー・ハンセン公爵令嬢が見えた。
どうして、こんなところにエミリーがいるのだろう。レキシーが首を傾げていた時だ。エミリーがレキシーの元へと駆け寄り、勢いよく抱き付いたのだった。
「レキシー先生!お久しぶりですわ!」
「エミリー様、あんたどうしてこんなところに?」
「決まっていますわ。最愛の従姉妹に会いにきたんですの」
目的はカーラであったらしい。人混みをかき分けて、カーラは溜息を吐きながらエミリーの前へと現れたのだった。
「お嬢様、教えてください。私は何をすればよろしいのでしょうか?」
クイントンの目は真剣そのものであった。彼の目に迷いはない。
驚いたのはギルドマスターの方であった。クイントンがカーラの提案に乗るとは思えなかったのだ。
恐怖して怯え、辞退する時こそカーラに。カーラが無理ならばヒューゴに処理を頼もうかと考えていたので、二人がクイントンを殺さないで済むということを考えてホッと胸を撫で下ろしたのだった。
ギルドマスターはこの場が丸く収まったことで和解し、カーラと仲良さげに会話を交わすクイントンを黙って見つめていた。
先程まで極度の恐怖と緊張のために震えていた手は今やすっかり元の通りとなり、今では酒場の中で一番雄弁な語り手になっていた。酒を啜り、つまみを片手に花を咲かせる姿を見て、他の客たちからもカーラを呼ぶようにと指示を出された。あまりにもしつこいので、ギルドマスターはヒューゴを呼んで、
「しつこくてたまったもんじゃない。あいつらにカーラはお抱えの酒場女じゃないと言ってやれ」
と、至極真っ当な指示を出した。
ヒューゴはギルドマスターから伝えられた指示を聞いて、一字一句をそのまま伝えたのであった。
ヒューゴの言葉を聞いて客たちがまたしても騒ぎ出したので、ギルドマスターは客を黙らせるために干した羊肉を使った特製のつまみを差し出さなくてはならない羽目になった。
心底から疲れ切った様子のギルドマスターは仲良さげに酒を酌み交わすカーラとクイントンという青年の姿を見ながら溜息を吐いたのだった。
カーラとクイントンは共に他愛のない雑談を繰り返していき、やがて雑談も尽きてきた頃にカーラが瞳を光らせながら真剣な口調で問い掛けた。
「重ねて、念を押しますけれども本当にお力をお貸しくださるのですよね?」
「もちろんです。ロバート様を裏切ることにはなりますが、それでもオレにとってはロバート様以上にあなたの方が大事なんです」
「クイントンさん、あなたがこれから裏切るのはハンセン家だけじゃなくてよ。人の道、踏み外してはいけない道徳……そういったものをこれから全て裏切ることになりましてよ」
「……それも駆除人の因果ってやつですよね」
「えぇ、だから先程の提案を呑んでくれるとは思わなかったんですの。駆除人の罪というものは大変に重いものですので」
カーラは目を伏せながら先程、自身が語った事を思い返していく。カーラは確かにクイントンを仲間に引き入れるということを提案したのだ。仲間に引き入れ、駆除の片棒を担がせることで警備隊や自警団に自首をさせることを防ぐという
駆除人の掟に逆らっての特例を提案したのであった。
もちろん、その提案に逆らってクレイトンが自首などを行えばカーラの提案は泡のように消え、カーラのみならず提案を了承したギルドマスターもその咎を免れることはできまい。同じ駆除人仲間から駆除されてしまうだろう。仮に駆除人仲間からの手を逃れたとしても警備隊や自警団に捕まり、死刑を免れることはできない。
とどのところ、クレイトンが裏切って仕舞えばどちらに転んだとしても二人は浮かばれないということになるのだ。
クレイトンに計画の件をカーラの訴える目が真剣なものになるのも理解できる。
カーラの心配を他所にクレイトンが笑っているから心配にもなるのだろう。
だが、カーラの心配は杞憂といってもよい。というのも、クレイトンは裏切るつもりなど毛頭なかった。元からカーラには強く惹かれているのだ。カーラの正体が害虫駆除人であったとしてもそれをロバートに口外するつもりなどない。
それどころか、クレイトンは幸福の絶頂にあったといってもいい。自分の愛する人と秘密を共有できた上に仕事に手を貸すことができるのだ。これ以上の幸せは感じられない。
クレイトンは別れる直前にラブレターを差し出すかのような感覚で自身の記憶を頼りにしたハンセン公爵家屋敷の見取り図と公爵家が一同に集う日とを教え、そのまま酒場を後にしたのだった。
クレイトンが去った後、カーラはギルドマスターに屋敷の見取り図を渡し、酒場を後にしたのだった。
カーラは自宅へと向かう途中で今日のことを思い返していく。今日ギルドマスターには急ぎの駆除とハンセン公爵家がこちらの首を狩ろうとしていることを告げられたのだった。急ぎの駆除を終わらせた後でこちらの首を狩る前にハンセン公爵家の首を狩ってやろうということで駆除の相談を行おうと考えていたのだが、その前にクレイトンに駆除の現場を見らてしまったのだ。
これに関しては予想外の出来事だった。
それでも因果は良い方向へと転がっていく。クレイトンを助命する代わりに仲間に引き入れることで屋敷の見取り図と駆除に必要な情報とを引き出すことに成功し、より円滑な駆除が約束されたのだった。
一刻も早くレキシーにこの件を報告しなくてはなるまい。カーラは浮き上がる喜びを抑え切れずに軽いステップを踏みながら夜の街を駆けていく。
自宅で夕食を用意しながらカーラを待ち侘びていたレキシーは上機嫌で帰ってきたカーラを見て驚いたようだ。両目を丸くしてカーラを見つめている。
「あんた、珍しいことがあったもんだねぇ。駆除の帰りにそんな機嫌良さげに帰ってくるんだもの」
「あら、私が機嫌が良いのはある事情がありますの」
「事情だって?」
レキシーが両眉を上げながら問いかける。
「聞いてくださいな。レキシーさん、新しいお仲間が加わるんですの」
「本当かい?助かったよ。最近相次ぐ抗争で街の駆除人が減っていたからねぇ。で、あんたのいう新人はどんな得物を使うんだい?」
「恐らく凶器は握ったこともない方でしょうね」
「凶器を握ったこともない?それは本当かい?」
「えぇ、だってそのお方はズブの素人ですもの」
その言葉を聞いてレキシーはカーラがふざけているのかと勘違いしたが、顔こそ笑っているものの、その視線はひたむきであったので嘘ではないと判断した。
それから何も言わずにカーラに夕食を勧めた。カーラは出来立ての豆のスープを啜り、サラダを口に付け、白色の丸パンを齧っていく。
満足がいくまで食べ終えた後にレキシーはデザートとして帰りに果物屋で買ってきたという林檎を差し出した。新鮮で水々しさを帯びておりスベスベとした綺麗な林檎であった。
カーラが喜んだ顔で林檎に口をつけようとレキシーがその前に林檎を取り上げたのだった。
「な、何をなさいますの!?とても美味しそうな林檎だというのにッ!お預けなんてあんまりですわッ!」
「ねぇ、カーラ。この林檎食べたいかい?」
レキシーは怪しげに笑った。あまりにも邪悪な笑顔であったので、カーラは御伽噺に登場する魔女を連想させられた。
林檎を食べることができずに体を震わせているカーラにレキシーは先程と同様の邪悪な笑みを浮かべながら、
「じゃあ、今夜何があったのか話してごらんよ」
「……仕方がありませんわ」
カーラは観念して何があったのかを語っていく。林檎を切りながら話を聞いたレキシーは始めは驚き、次に怒り、最後に呆れたのだった。
レキシーは頭痛が痛いという表情で額を抑えながら、
「全く、馬鹿なことをしたもんだねぇ」
と、吐き捨てたのだった。
「面目しだいもありませんわ。ただ、クレイトンさんはハンセン公爵家の内情にも通じられたお方……仲間にするにはとっておきのお方かと」
「けど、駆除の現場を見られた人間には冥界の門をくぐってもらうってのが駆除人の領分だろ?それはあんたが前にあたしに言ったことじゃあないか」
カーラの頭に思い浮かぶのは少し前、ジョー・ゴットフリートの駆除を行った際にその現場を目撃したナタリーという女性の件だった。
その時にカーラはレキシーに対して先程のレキシーの台詞とほとんど同じ台詞をレキシーに対して口にしていたのだった。
カーラが答えられずにいると、レキシーは黙って均等に切った林檎を口にし、頬杖をつきながらカーラを見つめていた。
どこか冷たい視線であったので、カーラが耐え切れずに苦笑していた時だ。
「まぁ、あの時もあんたはナタリーを手に掛けなかったしね。わかったよ、今回の件は大目に見てあげるよ」
カーラは喜びを表現するためにレキシーに抱き付いたのだが、レキシーは困ったような笑いを浮かべるばかりであった。
この選択が正しかったのかどうかは神のみぞ知るはずだ。レキシーはそんなことを考えながらその日は床に就いた。
翌日レキシーがカーラを伴って診療所へ向かうと、診察時間の前だというのに扉の前が騒がしかった。
レキシーは人をかき分け、集まった患者の一人に何があったのかを問い掛けた。
すると、患者の一人はひどく慌てた様子で、
「大変ですよ、レキシー先生!診療所に大貴族が現れたんですよ!」
「診療所に大貴族だって?」
レキシーが訝しげな視線で入り口を見つめると、そこには立派な馬車と身綺麗な服を整えた侍女を連れ添ったエミリー・ハンセン公爵令嬢が見えた。
どうして、こんなところにエミリーがいるのだろう。レキシーが首を傾げていた時だ。エミリーがレキシーの元へと駆け寄り、勢いよく抱き付いたのだった。
「レキシー先生!お久しぶりですわ!」
「エミリー様、あんたどうしてこんなところに?」
「決まっていますわ。最愛の従姉妹に会いにきたんですの」
目的はカーラであったらしい。人混みをかき分けて、カーラは溜息を吐きながらエミリーの前へと現れたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」
魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。
鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。
(な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?)
実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。
レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。
「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」
冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。
一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。
「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」
これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
『外見しか見なかったあなたへ。私はもう、選ぶ側です』
鷹 綾
恋愛
「お前のようなガキは嫌いだ」
幼く見える容姿を理由に、婚約者ライオネルから一方的に婚約を破棄された
公爵令嬢シルフィーネ・エルフィンベルク。
その夜、嫉妬に狂った伯爵令嬢に突き落とされ、
彼女は一年もの間、意識不明の重体に陥る――。
目を覚ました彼女は、大人びた美貌を手に入れていた。
だが、中身は何ひとつ変わっていない。
にもかかわらず、
かつて彼女を「幼すぎる」と切り捨てた元婚約者は態度を一変させ、
「やり直したい」とすり寄ってくる。
「見かけが変わっても、中身は同じです。
それでもあなたは、私の外見しか見ていなかったのですね?」
静かにそう告げ、シルフィーネは過去を見限る。
やがて彼女に興味を示したのは、
隣国ノルディアの王太子エドワルド。
彼が見ていたのは、美貌ではなく――
対話し、考え、異論を述べる彼女の“在り方”だった。
これは、
外見で価値を決められた令嬢が、
「選ばれる人生」をやめ、
自分の意思で未来を選び直す物語。
静かなざまぁと、
対等な関係から始まる大人の恋。
そして――
自分の人生を、自分の言葉で生きるための物語。
---
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる