政略結婚が恋愛結婚に変わる時。

美桜羅

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すれ違う二人

5

急いで学校に行き、いつもの場所に車を停めて受付の所まで歩く。

それから、受付の中にいた人に向かって。

「すみません、2-5の担任の広瀬先生、呼んでいただけますか。」

「少々お待ち下さい。」

事務員はそう言って何やらゆっくりとした動作で電話をかけている。

…おい。

何してる。

ボタンくらいもっと早く押せるだろう。

少しでも早くしろ。

そのくらい走って呼びに行け。

歩くな。

ちんたらするな。

そう思う気持ちを抑えようとしても、抑える事が出来ず、脚がトントンと動く。

くそ。

遅い。

そう思っていると。

向こうから広瀬が走って来て。

「悠河君、こっち!靴を脱いで、そこに置いてあるスリッパを履いて来て!」

…何でお前に指示されなきゃならないんだ。

そう思いつつ。

その指示に急いで従う。

俺が横に来た事を確認した広瀬は。

「瑞紀、ずっと貴方の事呼んでるの。」

そう言って歩き出した。

二人で、保健室、と書かれたプレートが掛かっている部屋に入って。

中にいた白衣の女の人が、俺を見て瑞紀の保護者だと気づいたらしくカーテンが掛かっている一角を指差して
「こっちです。」
と言った。



広瀬より先に前に出て、指さされたカーテンを開けると。

そこには、少し汗をかいて、眉を寄せて苦しそうな表情をした瑞紀がベットに横たわっていた。

俺が眉を寄せてその様子を見ながら、カーテンを締め直して、瑞紀が寝ているベットのすぐ横にあった椅子に腰を下ろす。

…どうやって車まで運ぼうか。

起こしても歩ける状況じゃないだろう。

じっと苦しそうな表情をしている瑞紀の顔を見ながら考えていると。

瑞紀が、小さく口を開いて。

「…っさ、」

「…」

さ?

は?

何が言いたい?

言いたい事があるならはっきり言え。

そう思いつつ、眉を寄せていると。

瑞紀はさっきより少し大きな声で。

「…っ、知哉さ」

俺の

名前を

呼んだ。
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