政略結婚が恋愛結婚に変わる時。

美桜羅

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すれ違う二人

16

*瑞紀side*
脱衣所のドアを後ろ手に閉めてから。

何のためにこんなに頑張ったのかと考えると涙が出てくる。

脱衣所の奥へと進んで、トレンチコートを脱いでコートを置く場所にかけて。

目の前にあった洗面所についている大きな鏡を見ながら、ひどい顔だとため息をついてワンピースの後ろについているファスナーを下げた時。

バタンっ

勢い良くドアが開いて。

その先には思いっきり眉を寄せて怒ってる、知哉さん。

何で。

怒ってるの?

怒りたいのは、むしろ私。

泣いてる顔を見られまいと、必死で、伏せた顔の代わりに開いてる背中を向けて前を向くと。

知哉さんは、反対方向を向く私に一歩一歩近づいて来て。

それに対応するように、私も一歩一歩前に進むけど。

私の前は。

壁。

私が壁にひっついて、知哉さんが近づいてくる距離をどうにも出来なくなった時。

知哉さんは俯く私の顔の横に手を置いて。

知哉さんの声が頭上で響く。

「…こっち、向きなよ。」

「やです…」

「瑞紀。」

「…や。」

知哉さんのため息が聞こえて。

「何で急に行かないとか君が決めてるの。俺が行くって言ったら行くんだよ。」



何で、私なの?

広瀬先生と

一緒にいたじゃない。

私じゃなきゃいけない理由なんて

きっと無い。

広瀬先生と、

行けば良いじゃない。

「…行きません…っ」

私が絞り出した声でそう言うと。

知哉さんは。
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