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近づく距離
4
その日の夜。
家でいつものように夜ご飯を食べ終わった後。
俺がリビングにある手前のソファに座りながら読みかけの本を読んでいると。
「知哉さん。」
瑞紀にそう呼びかけられて。
目線を離しがたかった本からふと顔を上げると。
「…私も、本、読みたいです。」
何だ、急に。
今、良いところだったのに。
思わず眉を寄せて。
「良いよ、勝手に持って行きなよ。」
そう言ってまた本を読み続けようと顔を下げた時。
「…でも、あの、」
は?
まだ何かあるのか。
眉を寄せながら再び顔を上げて眉を下げる瑞紀を見上げる。
「たくさん、本の種類があって、どれが良いのか分からないから教えて下さい…」
何言ってんだ、この女。
甘えるんじゃない、鬱陶しい。
「何言ってんの、自分で選びなよ。ちゃんとジャンルわけしてあるか「お願いします!」
瑞紀の強気な言葉に思わず怪訝な顔になってしまう。
瑞紀は控えめに本を持つ俺の腕を手に取って。
「…お願いします。知哉さんが選んでくれた本が良いんです。」
…
その言葉に。
俺はため息をつきながらも。
重い腰をゆっくりと上げた。
たくさんある本の一つ一つに目を配りながら。
「どういうジャンルが良いの。」
俺の後ろから歩いて来る瑞紀にそう声をかける。
「…読んだ最後には幸せになる物が良いです。」
何だそれは。
たくさんありすぎだろう。
そう思いながら。
「じゃあ、恋愛小説が良いね。…これとか読んだ事ある?」
そう良いながら、一冊の本を手に取る。
…これなら読みやすいだろう。
薄いし、比較的言葉が簡単にしてある。
そう言いながら手渡すと。
瑞紀はその本を受け取ってパラパラとめくりながら。
「…最後は、幸せな気持ちにさせてくれますか?」
俺を笑いながら見てそう聞く瑞紀に。
俺はその本の内容を思い出しながら。
「結末言うと面白くないだろうから言わないけど、確か。すごく良く出来てる話だったと思うよ。」
俺がそう言うと。
瑞紀は笑って。
「…じゃあ、これを借ります。ありがとうございます。」
…
そう言う瑞紀を見下ろしながら。
やっと、本の続きが読める。
そう思いながら出口に向かって歩き出そうとすると。
「…返すのが遅くなっても構いませんか?」
また、後ろから声をかけられて。
は?
そんなの、遅いって言ってもしれてるだろう。
「…良いよ。」
俺が振り向きながら言った返事に。
瑞紀は俺が手渡した本を大切そうに抱えながら。
「ありがとうございます。」
…
俺はそんな瑞紀を眉を寄せながら、遠くから見て。
静かに。
「電気、消すから。早くおいで。」
と言った。
家でいつものように夜ご飯を食べ終わった後。
俺がリビングにある手前のソファに座りながら読みかけの本を読んでいると。
「知哉さん。」
瑞紀にそう呼びかけられて。
目線を離しがたかった本からふと顔を上げると。
「…私も、本、読みたいです。」
何だ、急に。
今、良いところだったのに。
思わず眉を寄せて。
「良いよ、勝手に持って行きなよ。」
そう言ってまた本を読み続けようと顔を下げた時。
「…でも、あの、」
は?
まだ何かあるのか。
眉を寄せながら再び顔を上げて眉を下げる瑞紀を見上げる。
「たくさん、本の種類があって、どれが良いのか分からないから教えて下さい…」
何言ってんだ、この女。
甘えるんじゃない、鬱陶しい。
「何言ってんの、自分で選びなよ。ちゃんとジャンルわけしてあるか「お願いします!」
瑞紀の強気な言葉に思わず怪訝な顔になってしまう。
瑞紀は控えめに本を持つ俺の腕を手に取って。
「…お願いします。知哉さんが選んでくれた本が良いんです。」
…
その言葉に。
俺はため息をつきながらも。
重い腰をゆっくりと上げた。
たくさんある本の一つ一つに目を配りながら。
「どういうジャンルが良いの。」
俺の後ろから歩いて来る瑞紀にそう声をかける。
「…読んだ最後には幸せになる物が良いです。」
何だそれは。
たくさんありすぎだろう。
そう思いながら。
「じゃあ、恋愛小説が良いね。…これとか読んだ事ある?」
そう良いながら、一冊の本を手に取る。
…これなら読みやすいだろう。
薄いし、比較的言葉が簡単にしてある。
そう言いながら手渡すと。
瑞紀はその本を受け取ってパラパラとめくりながら。
「…最後は、幸せな気持ちにさせてくれますか?」
俺を笑いながら見てそう聞く瑞紀に。
俺はその本の内容を思い出しながら。
「結末言うと面白くないだろうから言わないけど、確か。すごく良く出来てる話だったと思うよ。」
俺がそう言うと。
瑞紀は笑って。
「…じゃあ、これを借ります。ありがとうございます。」
…
そう言う瑞紀を見下ろしながら。
やっと、本の続きが読める。
そう思いながら出口に向かって歩き出そうとすると。
「…返すのが遅くなっても構いませんか?」
また、後ろから声をかけられて。
は?
そんなの、遅いって言ってもしれてるだろう。
「…良いよ。」
俺が振り向きながら言った返事に。
瑞紀は俺が手渡した本を大切そうに抱えながら。
「ありがとうございます。」
…
俺はそんな瑞紀を眉を寄せながら、遠くから見て。
静かに。
「電気、消すから。早くおいで。」
と言った。
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