政略結婚が恋愛結婚に変わる時。

美桜羅

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望んだ未来

4

俺がそう言うと。

桜は突然の俺の言葉に驚いたように目を見開きながら。

それでもしっかりとした口調で。

「…うん。」
と言った。

その様子を確認して、話し始める。

言葉を選びながら。

慎重に。

桜が。

少しでも治療に前向きになりますように。

そう願いを込めながら。

「…先生のお母さんも、桜と同じガンでね。」

「え!」

俺の言葉に、初めて他人に話したから当たり前だけどそんな事を知らなかった桜は驚く。

「それも今の桜より、大分病気が進行してたらしい。記憶もあやふやになって、体も骨と皮みたいにガリガリで。肌も血色がないくらい真っ白で。」

俺は、自分の手を組みながら。

「…何で、そこまで…?」

そうだ。

普通は、そんなになるまでほかっといたりしない。

なのに。

母さんは。

俺は、少し笑いながら。

「これを最初聞いた時は思わず先生も目を見開いたよ。…母さん、父さんと結婚するために父さんに何も言わずに抗がん剤治療も入院も全て諦めて死を覚悟して、父さんに会いに行ったらしい。」



女の子だからだろう。

結婚、と言う言葉を出すと、途端に桜の目がキラキラと輝く。

「でも、やっぱり治療を避け続けるわけには行かなかったみたいで。体調も段々と悪化して、隠し続けられなくなっていく事に気づいた母さんは、父さんに黙って突然いなくなったんだって。…父さんの前から。」

「…それで?」

「…父さん、必死に探してさ。母さんがいるかもしれない色んな所。でも先生の父さん、あまり人と話すのが得意じゃなくて。その頃母さんともあまり話してなくて…だから、父さんが思う母さんがいるかもしれない所も数が限られてた。」

「それでも必死で探してさ。…やっと見つけた時には母さん、もう父さんが知ってる母さんじゃ無かった、って言ってた。
…見るに耐えなかった、って。」

そんな話をする時の父さんは。

限界まで眉を寄せて。

あんな思いは二度としたくない、と繰り返す。

「…」

ふと桜を見ると。

桜の布団を握る手が。

震えてる。

「…そこで父さんは初めて母さんが末期のガンだった事を知って。最初は信じたく無かった、って言ってた。」

父さんは。

「でも、父さんは母さんを失いたく無かったから。どうしても、そばにいて欲しかったから。」

この話をする時。

「二人で、頑張るって決めて。いっぱい色んな手術した、って言ってた。」

いつも。

「母さんは今でも笑いながら、あの時は凄く手術の度に嫌な気持ちになったし、もうやめたいって思った事もあったけどお父さんが私を支えてくれたから頑張れた、だから再発もせずに生きてるって言ってた。」

今までに見た事もないような。

「父さんも、そんな母さんを見て。いつも見せないような顔で笑うんだよ。」

辛そうな顔をする。



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