政略結婚が恋愛結婚に変わる時。

美桜羅

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望んだ未来

6

俺の言葉によってすっかり落ち着いた桜をあとにして、静かな廊下を歩きながら考える事はただ一つ。



何で桜はあの時、俺に聞いてきたんだろう。

わけがわからない。

医者なんだから、手術を受けて欲しいに決まってる。

そんな事は、いくら小学生だからといって桜だって分かってるだろうに。

そう思いながら、自分の持ち場である小児科第二診察室と書かれているドアをゆっくりと開けて。

「…」

中に誰もいない事を横目で確認してから白衣を脱いで、俺が診察や提出書類を書く時に座る椅子の背もたれにかける。

…これから、二時間後まで診察は無いんだったな。

それなら提出書類を完成させよう。

そう思いながら、椅子を後ろに引いてふと机の上を見ると。

「…」

チカチカ

机の上に無造作に置いてあった深い青色をした携帯が。

新着メールを知らせる緑色に、点滅していた。

…誰だ。

そう思って引いた椅子に座りながら、机に置いてあった携帯を手に取って画面を開き少し操作をすると。



母さんから、メールか。

なんというタイミング。

そんな事を考えて。

メールの受信ホルダにある未読のマークが付いた、

“悠河瑞紀”

そう書かれた文字をタッチしながら思う事は。

何で、急にメールなんて。



あぁ。

そう言えば、一昨日から父さんと一緒にパリなんだっけ。

…っていうか。

父さん、仕事、最近休みすぎでしょ。

それ以前に母さんを連れ回しすぎだ。

いくら母さんが喜ぶからと言ってそこまで甘やかしたらいけないだろう。

でも、またそれを言ったら。

“俺はね社長と、同じ立場にある瀬川、ま、瀬川なんかに文句は言わせないけどね。
…社長に何も言われない限り誰も文句言えない立場にあるんだからほかっといてよ。
それにね、本気になればね、その辺の平社員が十分で稼ぐお金の三倍を一秒で稼げるから少しぐらい休んでも関係無い。
って言うか、人の心配する前に自分の心配したらどうなの。
まだ手術もさせてもらえない新米のくせに他人の仕事に口出しするとかそんな余裕あるの?ねぇ。”

“は、瑞紀を甘やかしてなんか無いよ、ふざけた事言わないでよ。
俺が行きたいから、そこに連れてってるだけでしょ。
瑞紀が喜ぼうが嫌だって言おうが知らない、関係無い。
あのさ、そんな事ばっかり言ってないで少しは勉強したらどうなの。
暇なの?
新米はたいして仕事がもらえないから楽そうで良いね。”

とかなんとかまたブツブツ言うんだ。

くそ。

そういう事を言う父さんの顔は思い出しただけで腹が立つ。

でも実際、そうだから何も文句が言えない所がまた腹立たしい。

そんな事を考えて眉を寄せながら表示されたメールを見ると。

そこには。
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