政略結婚が恋愛結婚に変わる時。

美桜羅

文字の大きさ
32 / 125
揺れ動く心

1

その日の夜。

洗面所で歯を磨いていると、瑞紀が少し閉めてあった洗面所のドアの隙間からチョコンと顔を出して。

「私、もう寝ますね。お休みなさい。」

そう言って瑞紀はちらっと瑞紀を見て視線をそらした俺に笑ってから、自室へ下がっていった。

歯を磨き終わったあと、俺は自室へ行ってから、書斎に入って手に持っていた今日読み終わった本をしまう。

それから、自分も寝ようと自室へ入ろうとすると。



そう言えば。

廊下って俺が寝る前いつも点いてて、俺が消してるな。

何でだ?

そんな事を思いながら。

パチン

いつもの様に廊下の電気を消して自室へ入ろうとすると。

ガタガタッ

瑞紀の部屋である隣の部屋から大きな物音がして。

…は。

思わず、何があったのかと瑞紀の部屋を開けると。

…暗くて、何も見えない。

「…っやだ!駄目!消さないで…っ!!」

…何で。

わけが分からない。

寝る前に電気を消すのは当たり前の事だろう。

だんだんと目が慣れてくる。

瑞紀が、布団の上で。

「点けて下さい…っ」

震えて。

取り乱して。

「…み、ずき」

俺が声をかけたにも関わらず。

「…っは、は、はっ、」

瑞紀の呼吸は荒くなっていく。

どうして良いかも分からずに、急いで瑞紀の部屋の電気を付けて、胸を抑える瑞紀に近づく。

「…はっ、は、や、だっ、」

「瑞「…っ」

俺が近づいていくと。

瑞紀は、俺のTシャツを強い力でひっばった。

「…っ」

予想しなかった行動に俺はバランスを崩し、ベットに手をつく。

「…っは、行かないで!」

瑞紀は過呼吸のまま、涙を流して訴える。

「瑞紀…っ、落ち着いて。」

過呼吸は、確か、自分のはいた呼吸を吸う事で治まるはず。

「は…っ、は、やぁ…っ、」

何か袋は無いかと周りを見回すも、そんな物はなくて。

「置い、…って、かないで…っ!は、…っは、は、」

は?

こいつは何を言っている?

ヒュ、とさっきまでしなかった空気の抜ける音がする。

まずい。

このままだと、気を失うかもしれない。

「…っや、お願い…っ!」

過呼吸の上、混乱してる。



袋を取りに行ってる時間は無いし、今俺がここを離れたら瑞紀はさらに混乱する一方だろう。

「…とっ、もや、…っさ」

俺の名前を呼んだ瑞紀を。

抱える様に抱きしめた。
感想 28

あなたにおすすめの小説

氷の宰相補佐と押しつけられた厄災の花嫁

瑞原唯子
恋愛
王命により、アイザックはまだ十歳の少女を妻として娶ることになった。 彼女は生後まもなく始末されたはずの『厄災の姫』である。最近になって生存が判明したが、いまさら王家に迎え入れることも始末することもできない——悩んだ末、国王は序列一位のシェフィールド公爵家に押しつけたのだ。

【完結】お飾り妃〜寵愛は聖女様のモノ〜

恋愛
今日、私はお飾りの妃となります。 ※実際の慣習等とは異なる場合があり、あくまでこの世界観での要素もございますので御了承ください。

愚かな恋

はるきりょう
恋愛
そして、呪文のように繰り返すのだ。「里美。好きなんだ」と。 私の顔を見て、私のではない名前を呼ぶ。

【完結】あなたに抱きしめられたくてー。

彩華(あやはな)
恋愛
細い指が私の首を絞めた。泣く母の顔に、私は自分が生まれてきたことを後悔したー。 そして、母の言われるままに言われ孤児院にお世話になることになる。 やがて学園にいくことになるが、王子殿下にからまれるようになり・・・。 大きな秘密を抱えた私は、彼から逃げるのだった。 同時に母の事実も知ることになってゆく・・・。    *ヤバめの男あり。ヒーローの出現は遅め。  もやもや(いつもながら・・・)、ポロポロありになると思います。初めから重めです。

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

《完結》王太子妃、毒薬飲まされ人生変わりました。

ぜらちん黒糖
恋愛
【第一章】ヘレンはトムス王太子と結婚して王太子妃となった。だが毒入りワインを誰かに飲まされ意識不明になってしまう。  意識不明の中、幽体離脱をして幽霊となりメイドのマリーに憑依して犯人を探し始める。 【第二章】ローズの息子ゼオドアを軸に物語は進む。 【第三章】ローズの父を軸に話が進む。 【第四章】マラオとマリーの恋愛を軸に話が進んでいきます。 そして第五章よりもうひとりの主役が登場します。

【完結】恋を失くした伯爵令息に、赤い糸を結んで

白雨 音
恋愛
伯爵令嬢のシュゼットは、舞踏会で初恋の人リアムと再会する。 ずっと会いたかった人…心躍らせるも、抱える秘密により、名乗り出る事は出来無かった。 程なくして、彼に美しい婚約者がいる事を知り、諦めようとするが… 思わぬ事に、彼の婚約者の座が転がり込んで来た。 喜ぶシュゼットとは反対に、彼の心は元婚約者にあった___  ※視点:シュゼットのみ一人称(表記の無いものはシュゼット視点です)   異世界、架空の国(※魔法要素はありません)《完結しました》

【完結】彼を幸せにする十の方法

玉響なつめ
恋愛
貴族令嬢のフィリアには婚約者がいる。 フィリアが望んで結ばれた婚約、その相手であるキリアンはいつだって冷静だ。 婚約者としての義務は果たしてくれるし常に彼女を尊重してくれる。 しかし、フィリアが望まなければキリアンは動かない。 婚約したのだからいつかは心を開いてくれて、距離も縮まる――そう信じていたフィリアの心は、とある夜会での事件でぽっきり折れてしまった。 婚約を解消することは難しいが、少なくともこれ以上迷惑をかけずに夫婦としてどうあるべきか……フィリアは悩みながらも、キリアンが一番幸せになれる方法を探すために行動を起こすのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも掲載しています。