政略結婚が恋愛結婚に変わる時。

美桜羅

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揺れ動く心

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いつもと同じように家に帰って、玄関で靴を脱いでいると。

カチャリ

瑞紀がリビングのドアを少し開けてそこから顔を出した。

「知哉さん、お帰りなさい。」

…。

瑞紀の声に返事をしないまま、靴を脱ぎ終えて自室に入ってドアを閉めて。

無言でジャケットを脱いで壁に掛けてからシャワーを浴びようとドアを開けると。

「…」

目の前には瑞紀がいて。

「…」

じっと見つめて来る瑞紀から、視線を反らして無言で横を通り過ぎようとすると。

「…っ知哉さん?」

瑞紀が俺のワイシャツの裾を引っ張って。

反射的に俺が振り向くと。

「何かあったんですか?」

瑞紀の目線から逃れる様に前を向く。

「…何もないよ。離してくれる。」

「っだったら、何で目を合わせないんですか?!」

「…うるさいな。」

うるさい。

やめろ。

話すな。

口を開くな。

イライラする。

「最近、やっと少し「うるさいって言ってるだろう!」

ワイシャツを引っ張っていた瑞紀の手を勢い良く払いのけて。

俺の行動に目を見開いた瑞紀を冷たい目で見下ろす。

「…うるさいな、本当に。」

何を言おうとしたんだ、この女は。

馬鹿じゃないのか。

「変な事言わないでよ。何の事。勝手に勘違いしないでよ。最初に言った事は今でも変わってない。ご飯は、そっちの方が経済的だと判断しただけだ。」

俺の言葉に少し涙目になっている瑞紀を一瞥しながら。

「…勘違いされるようなら、ご飯は一緒に食べない。」

俺の言葉に瑞紀は焦ったように。

「っ待って下さい!」

「今晩から、朝も夜もご飯は作らなくて良い。」

そう言って、何も言えない瑞紀を廊下に残したまま、シャワーに向かった。


…これが元通りの形。

あれから、瑞紀と俺は一切話さなくなった。

朝、廊下で会って瑞紀が話し出そうとしても無視する日々。

そうしてるうちに瑞紀は俺に話しかけなくなった。

瑞紀は、家に帰って来なくなったし、俺だって一日の大半を会社で過ごす毎日。

これが、あるべき姿。

何を、

考えてた?

何を、

俺は。
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