政略結婚が恋愛結婚に変わる時。

美桜羅

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揺れ動く心

10

朝。

7時50分。

俺はいつもより少し高めのスーツを着て出かけられる状態にした後、瑞紀の部屋のドアを叩く。

コンコン

「…瑞紀。早く行くよ。」

俺がドアの外からそう言うと。

まるで俺が呼びに来るのを待っていたかの様に。

瑞紀はゆっくりとドアを開けて。

「…」

目の前に現れた瑞紀は。

いつもより何倍も綺麗に着飾っていて。

ピンク色のミニドレスも。

赤く彩られた唇も。

ゆるく巻いてアップされた髪の毛も。

全て。

俺は、そんな瑞紀を見ながら。

「…それなら、十分副社長の息子さんにも気に入ってもらえるよ。」

俺がそう言うと。

瑞紀は、眉を寄せて。

「っ違います!これは、知哉さんのためにっ「行こうか。靴も合わせて買って来てるから。」

俺は靴箱から用意して置いたヒールを取り出しながら。

瑞紀の言葉を無理矢理打ち消した。


俺が無言で車の運転席に乗り込むと、瑞紀も戸惑いながら助手席に乗り込んで。

しばらく車を運転して。

ふと気づく。

車の中に、甘い香りが漂ってる。

俺が、“普通”だと言ったあの匂い。

瑞紀をちらっと見ると。

瑞紀は泣きそうな顔をしながら、窓の外の風景を見ていて。



…最悪だ。

酔いそう。

その匂いをどうにか追い出そうと運転席の窓を開けた。
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