あの日の風

雪美弥 麗華

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11話「さようなら」

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あれから目をつぶったまま、あの人は なにもしてこなかった。私が疑問に思っていると声が聞こえた。「よぉ、変態さん」その聞き慣れた声…1番大切な人の声…私は安心してゆっくりと目を開けた。すると、私を庇うかのように私に背を向け、私の目の前にりーたんが立っていた。「お、お前、な、なんで居場所が…」「悪いねぇ…こんなこともあろうかと嫌な予感がしてね、GPSを姉さんの肩に付けさせてもらったんだよねぇ、そしたら案の定、予感的中って訳さ、まぁ、これからテメェみたいなクズ野郎は 一発殴らなきゃ分からないから心優しい俺がその身に教えてやるよ、俺の姉さんにそんな汚い手で触ったことをな」りーたんは、冷静でいたけどかなり怒っていたことがわかった…だって私はりーたんのこんな顔見たことないもの…「な、なにを、、」「あれれェ?怯えちゃってるのォ?」「はっ、別に怯えてるわけじゃ…」「えー?でも体震えてるよ大丈夫ゥー?イジョウじゃないほど汗でてるけどォ?俺は高一だよォ?俺より年上だろォ?年下に怯えてていいのォ?」


「うるせぇ!」そう男は怒り俺に殴りかかろうとしてきたので俺は横蹴りを食らわせると男は倒れ込んだ。「うぐっ!?い、いってぇ!」「こんなんで痛がってるのォ?相当やばいねェ?君鍛えてないのォ?」「お、お前になにがわかる!音夢ちゃんは…!俺だけが幸せにできるんだ!音夢ちゃんは俺といれば幸せなんだよ!」「ならテメェの大好きな大好きな音夢ちゃんに聞いてみよっかァ?」「聞けよ!聞いてみろよ!」「姉さんは こいつといることが幸せ?」そう聞くと姉さんは震えながら 首を横に振って否定した。「アレぇ?否定されてるけど?」「な、なんで…」「自意識過剰もいいところだよなァ」「くそ…なんで、俺といればきっと幸せに…」「何が幸せなんだ?脅迫しておいて、姉さんには悪いがLINEの履歴見せてもらったよ。脅迫してまで姉さんを手に入れて それで無理矢理こんなことをする、このどこが幸せなんだ?逆の立場で考えてみなよ」


「…うるさいうるさい!欲しかったんだ、彼女の声も身体も!心も!邪魔をするなら殺してやる!」そう言って男は包丁を取り出して私の方へと突進してきた。「姉さん!」私はぎゅっと目をつぶったが周りが静かになって 私の体には何も刺されてなかった。おかしい…包丁を持ってこっちに来たはずだ…りーたんは油断していたし、あの距離では私を救えないはず…私はそうしてこわばりながらゆっくりと目を開けた。そこにはありえない情景が目に映った。「うそ、ありえない…あの距離で…」「うそだろ…」「どうして!なんで!なんで私を庇うの!理久!」「いてて…油断したよ…ほんと…はは、でも、もう……姉さん…こんな時に…名前で…呼ぶのは…ずるい…」りーたんの脇腹に包丁が深く突き刺さっていた。「ほら、もう、安心しな…サイレン鳴ったから…も、う、たす…かる…ぞ…」そうしてりーたんは 倒れた。「りーたん?ねぇりーたん?目を開けて?目を開けて…りーたん…まだ私は何も伝えてない…まだ言いたいこと沢山あるのに…まだ…まだ…だから、起きて…起きて!」私はりーたんの体を揺らしたがなんの反応もしなかった。男も予想もしてなかった出来事にキョウガクしていた。「やだよ、私を…おいて…死なないで、独りにしないで…お願い…りーたん…ううん、理久…目を開けて…なんで私なんかに命を捨てるの…また私の前から人がいなくなっていく…寂しいよ…行かないでよ…理久…」私はぎゅっと強く理久の手を握った。それはとても冷たかった。冷たくて 冷たくてまるで死んだと実感させられる。でも理久は微笑んで死んでいた。幸せだったとそんな顔で…「理久…理久…あぁ…」「音夢!無事か!って…え?」レイと警察が走って来たがレイはこの悲惨な光景を見てキョウガクしていた。そりゃそうだろう、だってだって…理久が…理久が…血塗れで倒れているのだから…警察は男を逮捕しに行って理久を持ち運ぼうとした。「まって!もってかないでよ!ねぇ!」「理久…なんで…」そうして警察は理久を持ち運んで行った、きっと病院に連れていくのだろう…それなら安心…だけど、けど…あんまりだよ…こんなの…なんで私ばかり…私の何がいけなかったんだろう…どの道を選んでも誰かが死ぬの…?私が生きてるから?私のせいでこんな悲惨なことに…  あぁ…なんて…悲惨な世界なんだろう「音夢…一体…」「理久が私を守って死んじゃった…」「ま、まだ生きてるよ!」「手が冷たかった…とても冷たかった…」「音夢…」「私… 明里ちゃんの幸せも奪っちゃった…理久の幸せも、2人の人生を全部私が…奪っちゃった…私はこの世には居ないほうがいいのかな…」「音夢…んなことない。音夢はここにいていいんだよ。少なくとも私は音夢に生きていて欲しい、生きて幸せになって欲しい  それに、もし音夢が死んだらりんさんが命をかけて 守った意味がなくなる。だから音夢は生きて、幸せになって、それがユウイツ音夢にできること、りんさんが命をかけてまで願ったことを無駄にはしないで生きて?りんさんの分まで、ね?」「レイ…ありがとう…けど やっぱりしばらく立ち直れそうにないや…」「うん、わかってる…」「だからねレイ…しばらく私の側にいて慰めて欲しい…」「わかった、しばらく音夢の側で慰めるから…とりあえずここからでよう…家に帰って落ち着こう…?」「うん…」そして私達は帰路を辿って行ったのだった。



《あとがき》
はーい 皆さん…私の作るお話は ドス黒いですね。いやーねホントは学園生活と書こうと思ったんですけどね何故か私が作るとこうなるね。さて、今回は凄く暗いどんよりとしたお話でしたね。私が助かったはいいものの…りーたんがけれど、体が冷たくなっただけで、死んでいるのかは わかりません。だから、生きているといいです… りーたんはいなくなってしまうのか…これから私達はどう生きるのでしょうか、
それでは、バイバイ!
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